ANA、企業参加型CO2削減プログラム始動 代替燃料「SAF」で排出量減

ANA、企業参加型CO2削減プログラム始動 代替燃料「SAF」で排出量減

  • Aviation Wire
  • 更新日:2021/10/14

ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下の全日本空輸(ANA/NH)は10月14日、同社便を利用する企業と共同でCO2(二酸化炭素)排出量削減に取り組む仕組み「SAF Flight Initiative(SAFフライトイニシアチブ)」を立ち上げたと発表した。代替燃料「SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)」を活用してCO2削減につなげる。排出権取引とは異なり、植物油などを原料とするSAFをフライトに使うことで実際の排出量を減らす。

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羽田空港の格納庫でSAFフライトイニシアチブを発表するANAの平子裕志社長ら=21年10月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
・物流大手とSAF使用貨物便
・需要顕在化で供給拡大へ

物流大手とSAF使用貨物便

今回の取り組みは、貨物便を対象にした「カーゴ・プログラム」と、海外出張など旅客便による「コーポレート・プログラム」を用意。プログラムに参加すると、第三者機関の認証を受けたCO2削減証書を発行する。いずれも法人向けで、海外ではルフトハンザ ドイツ航空(DLH/LH)のように個人向けにもCO2削減プログラムを提供している航空会社があり、ANAも将来的な展開を視野に入れている。

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SAFを使用した777F貨物機で運航されたANAの成田発フランクフルト行きNH8405便(同社提供)

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羽田空港の格納庫でSAFフライトイニシアチブを発表するANAの平子裕志社長=21年10月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

第1弾として、物流・貨物事業の大手3社とSAFを使用した貨物便を運航。日本通運(9062)、近鉄エクスプレス(9375)、日本郵船(9101)傘下の郵船ロジスティクスの積み荷を、SAFを給油したボーイング777F貨物機(登録記号JA772F)による9月29日の成田発フランクフルト行きNH8405便で空輸した。

11月に英国で開かれる気候変動対策の国際会議「COP26(国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議)」や、2022年4月の東京証券取引所の市場区分変更を前に、ESG(環境・社会・企業統治)経営を進める企業にSAFの存在を知ってもらい、国産SAFの実用化や価格引き下げに向けた機運を高める。

14日に羽田空港の格納庫で取り組みを説明したANAの平子裕志社長は、「現在のSAFの使用量は(航空燃料全体の)0.1%にも満たない。COPのスキームに航空業界は入っておらず、CO2を直接削減できるのがSAFだ。排出権取引を使わない形でできる」と語った。

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コーポレート・プログラムを説明するANAの井上慎一専務=21年10月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

「SAFの製造には技術開発が必要で、原料の希少性といった課題もあり、原料の候補を広げる必要もある」(平子社長)として、今後東証のプライム市場の上場企業に求められるTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)など気候変動情報の開示を視野に、今回の取り組みを通じてANA便を利用する企業とともにSAFによるCO2削減を進める。

今後展開する海外出張を主体とするコーポレート・プログラムについて、ANAの営業を統括する井上慎一専務は、「COP26や東証の(市場区分変更の)タイミングで、企業の意識が高まってくる。ムーブメントが起きることが大切だ」と述べ、“ファーストムーバー”となる価値観を共有できる企業から売り込みを図りたいという。

需要顕在化で供給拡大へ

SAFは従来「バイオ燃料」と呼ばれていたもの。これまでの植物油などに加え、さまざまな原料から製造されるようになり、IATA(国際航空運送協会)が呼称を改めた。ANAはSAFの調達について、2020年10月にフィンランドに本社を置くNESTE(ネステ)社と提携し、生産量が少ない中で一定規模は安定的に供給してもらえる契約を結んでいる。翌11月には、国内の航空会社による日本発便では初のSAFによる定期便を運航した。

今回の取り組みにより潜在需要を顕在化させることで、SAFメーカーに対しても供給拡大を求めていく。

また、10月8日には日本航空(JAL/JL、9201)とSAFの理解を広げるための共同レポート「2050年航空輸送におけるCO2排出実質ゼロへ向けて」を策定したと発表。JALは2050年までにCO2排出量実質ゼロを目指す長期目標を2020年6月に策定しており、日本の航空大手2社が共同で国産SAFの実用化など、SAFの普及につながる活動を進めていく。

Tadayuki YOSHIKAWA

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