【ルポ】「これまでのひどいことをチャラにしようとするだけ」 安倍元首相「国葬」反対デモで見たもの

【ルポ】「これまでのひどいことをチャラにしようとするだけ」 安倍元首相「国葬」反対デモで見たもの

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  • 更新日:2022/09/24
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「国葬させない女たちの会」に参加した20代の女性(撮影/上田耕司)

27日に執り行われる安倍晋三元首相の国葬に反対するデモや集会が、主に都市部で開かれている。市民グループは当日、国葬と同時刻、国会正門前での集会なども予定している。9月に入ってから、首都圏で繰り広げられたいくつかの集会をルポした。

【写真】新宿で中野で、記者が見た「国葬反対」デモや集会※記事前編<<【ルポ】ピンク色のプラカードで安倍元首相「#国葬反対」掲げて デモで見えた「強行」への反発>>から続く

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9月10日、東京・新宿駅南口で開かれた集まりに行った。「国葬させない女たちの会」とNPO法人「アジア女性資料センター」が行った集会には、120人が参加した(主催者発表)。女性が7割ほどで、年齢層は幅広い。

友人とともに参加していた20代の女性にも話を聞いた。

「今、フリーターです。ネットで調べて来ましたが、何か行動したかった。ツイッターで行動するのも大切だと思うけど、リアルで顔が見える集会に参加したかった。きょうはリレートークが見られて満足です」

41歳と38歳の姉妹で参加した2人組。妹のキキさんは「国葬の撤回 愚行をチャラにはさせない」、姉の里子さんは「純粋な一般人です」というプラカードを持っていた。

姉いわく、集会やデモに「ちょこちょこ参加している」。一般的に、デモには若者の参加が少ないことをこう感じていた。

「もしかしたら『国葬』という言葉にピンときていないのかもしれないですね。私たちはデモに2011年から参加しているんですけど、基本的には30代40代の方って仕事で忙しい。それに、稼ぎたい時期だからノンポリみたいになっていく。もちろん、人が亡くなったことに対して反対するのに抵抗があるという人もいるでしょう」(姉の里子さん)

■リレートークでアピール

ジェンダーの観点からも国葬に反対だと話した。こう続ける。

「安倍元首相の政治というのはジェンダーのバックラッシュ(反動)だった。フェミニズムやマイノリティー、セクシュアリティーの問題をつぶしてきた」

一方、妹は、

「自民党という保守的な考え方と統一教会とがつながったんだと思います。今回の国葬の強行で本質が見えたという感じがします」

女性たちがリレートークでアピールしていった。

「私の体に口出しするな」

「家族の形を勝手に決めるな」

参加者は、そうシュプレヒコールを上げていた。

「アジア女性資料センター」の本山央子代表理事は、普段は大学の研究員や講師をしているという。

「この会で国葬反対の集会を開くのは今回で2度目。私たちが主張したいのはジェンダーに焦点を当てることです。安倍政治はすごく差別的なことをやってきた。国葬によって、安倍元首相のやってきたことが正当化されてしまうのはとても大きな問題だと思います。女性をあれほど差別しながら、『女性活用』などと言って非正規で安く使う一方、極右の女性を政治家として取り立ててきた。そして家族に矛盾を押しつけてきた。子育て、介護にも、国がまともにお金を出さないのは、最終的に女が面倒を見ればいいと思っていたからですよ。安倍政治は『保守的家族イデオロギー』というところで統一教会とつながっているのです」

本山さんは、そう憤った。

■国葬という形での強制に疑問

中野駅前では第1、第3火曜日、「安保法制の廃止をめざす中野アピール実行委員会」が国葬反対のスタンディングを開いている。共同代表の松井奈穂さんは中野区育ちで、いまは練馬区在住。

「会は7年前に作りました。現在は立憲民主党都議、区議と日本共産党区議、市民グループが一緒になって活動しています。私はどこの党にも所属していません。私はこれまで街頭に立ち、モリカケ問題、桜を見る会、共謀罪、秘密保護法などで、さんざん安倍元首相を批判してきました。それなのに、安倍元首相の国葬だなんてふざけんじゃない、という気持ちです。国葬で、これまでやってきたひどいことを全部、チャラにしようとしているだけじゃないでしょうか」

そう声を上げた松井さんは、現在、小学校で図工の講師をしているという。

「人を弔う気持ちというのは自由です。それなのに、国葬という形で強制しようとしている。『半旗を掲げよ』とか『黙祷しろ』とかいう意見もある。いくら地方自治体の職員であっても、そんなことをさせてはダメ。それが教育の現場に持ち込まれたらもっとダメ。私たちは中野区長と教育長に対して、『弔意の強要は絶対にしないでください』という要望書を出してきました」(松井さん)

国葬に16億6000万円の費用を使うということに関しては、

「新型コロナの影響や異常気象で水害に苦しむ人もいる。これからどうやって生活を立て直すのかというところなのに、国葬にそんなお金をつぎ込んでいいんですか。税金の使い道を間違っていませんか。アベノミクスで日本沈没なのに、なおさらこれですからね」

と、松井さんの怒りはおさまらない。

■「日本に民主主義が根付かない」

冒頭の浦和駅前の集会に参加していた国学院大名誉教授の菅井益郎氏(日本公害史)は、ダンボールを切って「国葬反対」と書いた紙を貼り付け、手に持ってデモ行進していた。

「選挙に行って投票することだけが、政治行動ではありません。私は『デモを日常化せよ』と主張しています。そのくらいしないと日本に民主主義が根付かない」

菅井名誉教授は、今月19日の代々木公園から出発した1万3千人規模のデモ行動にも参加した。

「私は欧米の市民運動のデモにも参加しましたが、もっとたくさんの市民が道一杯に広がってデモしています。日本ではデモ規制が厳しすぎる。デモをしないと日本の政治は変わりませんよ。反対する声をもっと上げて、さあどうするんだ、こっちは見てるぞ、ということを示さなきゃいけないと思っています」

(AERA dot.編集部・上田耕司)

上田耕司

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