<純烈物語>「大丈夫?」は不安感ではなくワクワク感 マネジャーの目から見たメンバーとは?<第46回>

<純烈物語>「大丈夫?」は不安感ではなくワクワク感 マネジャーの目から見たメンバーとは?<第46回>

  • 日刊SPA!
  • 更新日:2020/05/23

―[ノンフィクション連載「白と黒とハッピー ~純烈物語」]―

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ライブの間、そっとメンバーを見守る山本マネジャー(右)

◆<第46回>「大丈夫?」は不安ではなくワクワク感。純烈マネジャーの目から見たメンバー

当たり前のことだが、グループのマネジャーはメンバーの人数分の面倒を見なければならない。仕事としての経験値を積んでいるならばともかく、山本浩光の場合はスタートから6人のために動き回らなければならなかった。よくよく考えれば、とてつもないハードルの高さだ。

だが、本人に言わせると「だからこそ続けることができた」となる。つまり、6人組のマネジメントをするのが普通という環境。一人のアーティストについた経験がない分、大変さを感じる上での比較対象がなかった。

素人ならではの強みという点で、山本と結成当時の純烈は共通している。何度となく「もうやめたるわ!」と声を荒げたことはあっても本気でやめたいと思ったのは、どんなに純烈が売れて仕事が忙しくなろうと一度もない。

最初はなかなか埋められずにいたメンバーとの距離感が縮まっていく中で、一緒にクリエイトすることの楽しさに気づいていったわけだが、一方では踏み込めば踏み込むほど酒井一圭という人間の実像へ近づくことになる。これはメンバー、スタッフを含め純烈丸に乗る上での通過儀礼のようなものだ。

「最初は酒井一圭を理解していないから、日に日に言うことが違うのを見てなんやこいつは?と思っていました。理解どころか、むしろ不信感が募って『こいつ、ホンマに引きずり回したろうか』となるわけです。それが、何がきっかけだったのかは思い出せないんですけど、酒井の話を全部受け止めようとするからシンドいんちゃうかと思うようになったんですね。

面白いことや、なかなかなええことを言っとるなあというのを頭の中に残して、どうでもいいことは右から左に流そうと。そうしたら、酒井一圭が理解できるようになったんです。そこからですね、本当の意味で密にやるようになったのは。それまでこっちは探り探りだったのが、1年ぐらいで距離が縮まっていきました」

芸能界にいる人間であれば、もちろん芸能人としての感覚は備えている。ただ、その一方で「これはこの世界にいる人間やったらせんやろ」ということも酒井はやる。

安パイな方向に誰もが進める中で、この男はそっちが面白いとあれば率先して反対方向へいこうとする。そういう酒井が、山本は好きなのだという。

目を光らせる立場からすると安パイの方がいいし、よけいな気苦労を味わいたくなければそこでブレーキをかけるのがむしろ正常な判断となる。ところが山本は「大丈夫なのか?」が不安ではなくワクワク感に向かっていくという、まことにもって純烈のマネジャーが天職としか言いようがない体質にあった。

◆枠にとらわれない狂った感覚を素でできるのが酒井

「枠にとらわれないあの狂った感覚ね。それを素でできる人間が面白くないはずないじゃないですか。楽屋の扉が開いていて、中からアンアンと何やらなまめかしい声が聞こえてくる。なんやろうと思って覗いてみたら、酒井がエロ動画を流していて、それを見た周りの反応を別のスマホで録っている。そんなことが日常ですから。そんなもん、本当にくだらなくてどーでもいいことやないですか。でも、それを現場でできるところがおもろい。

例の“グジュグジュ”(昨秋放送されたテレビ番組で『後上翔太は歯磨きのあとゆすいだ水を吐き出さずに飲み込む男』と晒し上げた件)も、常識的な判断では事務所的にもグループ的にもアウト。普通の歌手だったら、たとえそうだとしても絶対に見せない部分ですわ。でも酒井は逆転の発想で、後上ならそういうことをやってもポジティブな形で成立するというように持っていっているのがわかるんです」

計算してやっている部分と適当なところが入り混じっており、それに関しては今でも完ぺきには見分けられていない。そこがわかっているのは、この世で酒井本人たった一人なのだろう。

それでも幼少期のいたずら心とうまくいくために必要な計算高さの両方を備える酒井が、山本にはたまらなく魅力的に映る。そして長く付き合うほどに、同じ感性を共有するようになってくる。

この連載を続ける中で、公開前の原稿チェックは山本が担当しているのだが、これまで「ここは削ってください」と言われたことはほとんどない。理由を聞くと「僕は酒井と同じ感覚だし、ホンマはそんなに気にしないんで」。

つまり酒井の代わりに見ているのであり、あいつならここはOKだろうという判断。けっしてチェックを緩くしているのではなく、あくまでも純烈のカラーや姿勢に基づいた結果、そうなっている。

ザルにならぬよう、自分は出してもいいのではと思っても事務所的にはどうかとなった時は、社長に見てもらい判断を委ねる。記事にしてもメンバーの発言も、純烈内にこのようなシステムが確立された上で世に発信されているのだ。

そんな山本にとって、唯一の年上となるメンバーが小田井涼平。このあたりは、マネジャーとしての視点からパブリックイメージとは少し違った部分が語られる。

◆ルーティンを崩さずマイペースすぎる小田井

「小田井さんはねえ……この人も酒井とは違う意味でフザケたおっさんやなと思います。まあ時間にルーズというか、マイペースすぎるんですわ。こっちは時間に追われていて他のメンバーも揃って急いでいるっていうのに、そこでもマイペース。でも、それが小田井さんにとってのルーティンなんです。

LiLiCoさんと結婚するまではコンサート開始直前まで姿が見えなくて『小田井さんはどこや!』『さっきまであそこにいました』『さっきやない、今はどこにいるんや!』っていうのが茶飯事で。でも、ステージにはちゃんといてくれる。そういうのが続いてきたから、一応あせりますけど今となっては安心感もあるんですけどね」

なぜ小田井の姿が消えるか、理由は明白だった。パチンコ好きにとって、知らぬ街の店で打つのは燃えるらしい。

地方へいくと、小田井はイキイキする。それを把握しているから、どんなにあたふたしてもギリギリのところで……という信用も芽生えた。

今はLiLiCo夫人との溶岩のように固い約束で“禁玉”を続けているが、持ち前のマイペースなところは変わらない。その一方で、周りに左右されぬこそ俯瞰で物事を見ている。何かあった時に山本が決まって小田井に相談するのは年上であるとともに、そうした立ち位置の人物であることころが大きい。

「場数を踏んできた中で、それぞれの役割分担が確立されることでトークがなめらかになっていった。6人の時はみんなが喋るので何を言っているのかわからなかったんですけど、そのうち主に酒井、小田井、友井(雄亮)がしゃべって、ほかの3人は振られるまでは喋らないようにすることで改善されていったんです。その流れで、小田井さんの滑ることを恐れないハートの強さが発揮されるようになった。

ここでこういうツッコミを入れて……というのは、あの人の中でちゃんと全体を見た上で組み立ててやっているんだと思います。僕らには言わないけど、勉強したんでしょうね。そこで培ったスキルを純烈以外でも生かすべくどうしていくかも考えているでしょうし、それがどんな面白いものになるかを考えるとワクワクします。小田井さんも狂ってますから。だって、マトモだったら酒井についていっていないですよ」

◆一番芸能人らしい、末っ子後上

年上ときたら、お次はメンバーでもっとも年下となる後上について語っていただこう。山本との年齢差は13歳と、一回り以上になる。

後上自身が「考え方が合理的」と分析するように、山本から見てもそこは同じに映るという。他者から見ても同様の人物像であるのは、人間として表裏がない事実を証明している。

「後上が一番芸能人らしいですよ。それは、オーラとかじゃなく芸能人として演じきれるという意味でね。これはいい意味でとらえていただきたいんですけど極端な話、嫌いなものでも芸能人というスイッチが入ったら好きと言えるタイプで、それほど切り替えがキッチリできている。プロとして演じられるという意味では、それは才能じゃないですか。

そこは酒井と同じで計算高さも備わっている。合理的な考え方で生きてきたから、物事を数値化して判断できるんでしょうね。よけいなものを省くクールさっていうんですか。それを機械的に受け取る人もいれば、物事を合理的に進める力量として見る人もいる。僕は、そういう人間性はいい部分だと思って見ています」

メンバーで唯一、タレント経験がないまま純烈に入った男が、実は山本の目にはもっとも芸能人らしく映るというのも面白い。合理的な考えのもと自分で答えを出す、つまりは物事を自己完結でまとめられる。

人を巻き込むことなく、自分で答えが出せるから「他人に興味がないんじゃないか」となる。それが、末っ子の後上をメンバーがイジる恰好のネタとされる。

「おまえは愛というものを知らないだろう? あれほど親御さんが愛情を注いで育てたのに、息子にはない。愛を知らずして愛の唄を歌うって、どういうことや」

まったく同じことを言っても、根底に“後上アゲ”の意図があるのとないのとで伝わり方は真逆となる。純烈のファンはそのやりとりの行間を読み、呼吸を楽しんでいる。

後上が「そんなことないですよ!」と反論する姿までが、一つの作品となっている。演じていながら、裏表を使い分けることなく生身の自分で勝負しているからこそ成立する純烈ならではの妙。誰よりもそれを楽しんでいるのが、実は山本なのかもしれない。

何度となく、純烈のマネジャーを続ける上で「楽しい」という言葉が出てきたが、それだけで「こいつらに懸けてみよう」とはならなかったはず。面白さを超越したところにこそ、人間の心を揺さぶるものはあるからだ。山本にとって、それに当たるのが白川裕二郎だった。

「白川はねえ……歌に関してこれまで何度も何度もカベにブチ当たって打ち砕かれてきたんです」

これまで嬉しそうに純烈を語っていた山本の目線が数秒間、虚空をとらえた――。

撮影/ヤナガワゴーッ!

―[ノンフィクション連載「白と黒とハッピー ~純烈物語」]―

【鈴木健.txt】

(すずきけん)――’66年、東京都葛飾区亀有出身。’88年9月~’09年9月までアルバイト時代から数え21年間、ベースボール・マガジン社に在籍し『週刊プロレス』編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。50団体以上のプロレス中継の実況・解説をする。酒井一圭とはマッスルのテレビ中継解説を務めたことから知り合い、マッスル休止後も出演舞台のレビューを執筆。今回のマッスル再開時にもコラムを寄稿している。Twitter@yaroutxtfacebook「Kensuzukitxt」blog「KEN筆.txt」。著書『白と黒とハッピー~純烈物語』が発売

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