障害者がつくるVRアート「仮想空間では自由になれる」と神足裕司さんも夢中

障害者がつくるVRアート「仮想空間では自由になれる」と神足裕司さんも夢中

  • 日刊SPA!
  • 更新日:2022/08/06

障害者がつくるVRアートをみんなで体験したいーー。

そんな「福祉×VR」の可能性を探るプロジェクトがいま、静かに注目を集めている。

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主催するのは、知的障害や発達障害を持つ人や引きこもりの当事者をサポートする社会福祉法人「千楽(ちらく)」

創作プログラムとしてVRアートを導入している同施設が、利用者が描いたVRアートを鑑賞、体感する展覧会を企画したところ……

世界的VRアーティストで、NFTコンテンツが1,300万円で落札されたことも話題になったせきぐちあいみさんと、高齢期の福祉を拡張するXR(クロスリアリティ)を研究する登嶋健太さん(東京大学先端科学技術研究センター)がスペシャルアドバイザーとして参加。

運営資金80万円をクラウドファンディング「READYFOR」で募ると、わずか2日で目標額を達成したのだ。

現在は、ネクストゴールとして地方での展覧会開催のための支援を募っている(8月20日午後11:00まで)。

◆「福祉×VR」の可能性

「その人らしく生きる、を諦めない」を理念に掲げる千楽では、もともと、絵画や染色といった創作プログラムを積極的に行なっていた。言葉でのコミュニケーションが難しい人でも、創作の過程や行動から、心境の変化や隠された思いを知ることができるからだ。

一方で、VRの活用がはじまったのは2021年。旅行や外出もままならない利用者のために、学生ボランティアが中心になり登嶋さんが提供する「擬似体験旅行(VR旅行)」会を開催したのがきっかけだった。

ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を通じて、さまざまな場所への擬似旅行を楽しんだ利用者は皆、満面の笑顔になる。

VRは好奇心を刺激する。

利用者や家族らとのコミュニケーションをつなぐ。

現実世界では乗り越えることが難しい障害も、バーチャルの世界では簡単に乗り越えられる。

そんな「福祉×VR」の可能性を確信し、VRアートがプログラムとして導入されたのだ。

◆描くテーマは「#わたしの居場所」

利用者たちは現在、11月の展覧会に向けて「#わたしの居場所」をテーマに制作を進めている。

VRアートは、HMDを装着し、手にしたコントローラーを筆としてバーチャル空間に立体物を描く。当然ながら、ほとんどの人にとって初めての体験。

利用者もサポートする職員も一緒になって、「あーでもない」「こーでもない」と試行錯誤を繰り返す。しかし、それが楽しい。

今ではVRプログラムを楽しみに通所する利用者もいるという。

◆コラムニスト神足裕司さんも参加

じつは、このプロジェクトにはコラムニストの神足裕司さんも参加している。

2011年9月にくも膜下出血で倒れ、要介護5となった神足さん。数年前からVRに興味を持ち、360度カメラでの撮影に取り組んできた。その熱は冷めるどころか、現在では(無謀にも!?)夫婦共作によるVRアート作品のNFT出品を目指している。

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神足裕司さん

◆VRは自由になれる場所

どうして、そこまで夢中になったのか? それは、神足さんにとって、「VRは自由になれる場所」だったから。

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VRゴーグルをつけた神足さん

「ボクはくも膜下出血の後遺症で、半身麻痺となり寝返りも打てない。もちろん歩くことなんてできなくて、さらに視野が狭かったり、言語や記憶にも障害がある。当然、現実の世界では苦労することも多い。

そんなボクにとってVRを使えば、自由な世界に身を置ける。もちろん今の自分のままでもいい。違う人間になりたければもう一人の自分にもなれる。VRはもう一つの本当の世界。その世界の中で空間に絵を描くという、今まで味わったことのない感覚がボクを惹きつける。ぜひ皆さんにもその世界を味わってもらいたい」(神足さん)

<文/鈴木靖子>

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