100の顔を使い分けるマスクマンは実業家 実家の米屋を発展させ、さまざまなビジネスを展開

100の顔を使い分けるマスクマンは実業家 実家の米屋を発展させ、さまざまなビジネスを展開

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  • 更新日:2022/08/05
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重くて鋭いキックを披露するスーパークラフターU【写真:柴田惣一】

毎週金曜日午後8時更新 柴田惣一のプロレスワンダーランド【連載vol.106】

“謎の関節技職人”スーパークラフターU(SCU)は「100の顔を持つ男」だった。キャプチャーで野村直矢、渡瀬瑞基とREAL BLOODを結成しているSCU。なぞのマスクマンとして、重いキック、鋭い切れ味のサブミッションを披露している。

長年のプロレス観戦歴を誇る知人が「今は団体もたくさんあって、選手の数も多い。とても全部は見られない。SCUはキャプチャーで初めて目にしたが、強くてビックリした。こんな素晴らしい選手がいるなんて。私にとっては”まだ見ぬ強豪”そのもの。みんなにも知ってほしい」と興奮気味だった。

全日本プロレスに乗り込んだ野村、渡瀬組に同行した際には、2人が脱ぎ捨てたTシャツを素早く手にするなど、セコンドとしても活躍。183センチ、100キロとぶ厚い体には似合わないスピーディな動きを披露した。ただ、手出しはせず、一言も発しないまま引き揚げたため「あれは誰?」と会場には「?」マークがアチコチに出現していた。

キャプチャーでのトークショ―でも、北原光騎の質問に「押忍」としか答えず、いよいよ謎は深まる一方だったが、その正体はプロレスラーとして活躍しながら、いくつかのジムでインストラクターを務める格闘家だった。

キッズクラスからシニアの個人コーチまで老若男女を指導。本人は「厳しい」と言うが、その口調、物腰は柔らかい。わかりやすい説明に加え自らお手本を示す姿に、一目で優秀な指導者であることが判明。都内、埼玉県内のジムを連日、ハシゴしている。

格闘家人生の原点は小学生のころにあった。プロレスにはまり、テレビ朝日勤務の親類から、新日本プロレスのチケットを入手。「いい席をいただいていた。テレビ中継によく映りこんでいた」と楽し気に振り返る。

中学生のころから、空手道場に通い、キックボクシングの修行にも打ち込んだ。当時はまだK-1など格闘技イベントもないころで、高校卒業前の進路指導では「大きいからプロレスだろう」と勧められ、プロレスラーを目指した。

入門テストにも合格した。ところが、空手時代の無理な減量がたたり、ヒザを痛めてしまい無念のリタイア。10年近く「闇の時代を過ごした」とサラリーマン生活を送っていた。ただ格闘家としての体のうずきは押さえきれなかった。自宅近くのジムに通ううちに「指導を頼む」と声を掛けられ、インストラクターとして始動。巨体、動きの良さに「レスラー、やってみない?」と目をつけられ、マスクマンとしてデビューを果たした。

その後、チェーンソーを手に暴れるレザー・フェイスなど、マスクマンとして大暴れ。いろいろなファイトスタイルにも対応できるのは実力があってこそだ。自宅の一室を100を超えるマスク、コスチュームが「占拠している」と告白。

端正で優しい顔立ちだが、素顔でリングに上がったことはないという。「マスクマンとしてしかオファーが来ない」と苦笑いだが、一日に5試合、5人の違ったキャラクターで出場したこともある。週末を中心に、平日でも代わりの指導員が用意できれば、ジムをお休みし試合出場する売れっ子だ。年間200試合以上、参戦したこともあるという。

「リングに上がれることが嬉しくて仕方ない」とニコニコ。暗黒の10年を体験したこともあり「レスラーでいられることが幸せ」とまぶしいほど笑顔が輝く。プロレスラー、インストラクター……。「仕事が趣味」というほど忙しい日々を送っている。

実家の米屋を発展させ、さまざまなビジネスを手掛ける実業家でもある。「The Jet」ことベニー・ユキーデが今でも憧れの人。プロレス入りをいったんは断念した。ヒザは、現在も痛むというが、重爆キック、ドロップキックはド迫力。関節技にもこだわりがある。

「お声がかかればどこのリングでも行く。いろんな選手と対戦したい」と、やる気満々。プロレスに対する向上心はますます燃え上がっている。クラフターは職人。UWFへも思い入れもある。スーパーな職人でU。スーパークラフターUの素顔を知るにつれ、ますます応援したくなった。

柴田惣一

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