元・白鵬が「令和の怪物・落合」に付け人デビュー命じる なぜ親方衆はその決断を絶賛したか

元・白鵬が「令和の怪物・落合」に付け人デビュー命じる なぜ親方衆はその決断を絶賛したか

  • NEWSポストセブン
  • 更新日:2023/03/19
No image

十両力士のなかで十分に存在感を放っている落合(写真/時事通信社)

綱取りに挑んだ大関・貴景勝が休場に追い込まれるなど、大相撲3月場所の幕内の土俵は波乱が続いている。そうしたなか、十両の土俵で存在感を見せているのが、1月場所に幕下15枚目格付け出しでデビューし、史上最速の初土俵から1場所で新十両に昇進した令和の怪物こと落合(19、宮城野部屋)だ。関取のデビュー戦を白星で飾ると、前半戦を6勝1敗の成績。大関経験者や幕内優勝経験者など実力者がひしめく十両で実力を十分に見せているが、師匠の宮城野親方(元横綱・白鵬)は、現状に満足しているわけではないようだ。

【写真あり】師匠の元横綱・白鵬と並んで笑顔の落合。髷が結えないのはスピード出世の証拠。表情からも師弟の自信が窺える。

好調を維持する落合だが、6日目からは関取の立場でありながら、宮城野部屋の先輩で身長204センチの北青鵬(21)の付け人を務めている。北青鵬は鳥取城北高の2年先輩にあたるが、関取が付け人をすることは異例のことだという。担当記者はこう言う。

「落合が2日目に、同じ新十両の玉正鳳(30、片男波部屋)に敗れたことと無関係ではないのだろう。玉正鳳は関取になった今場所も兄弟子の玉鷲(38)の付け人を続けていた。片男波部屋はこの2人の他に序二段力士が2人いるだけなので、付け人が足りない。そんななかで玉正鳳は義理の兄(玉鷲夫人は玉正鳳の姉)の付け人を買って出ているわけです。そういう苦労人に、超スピード出世の落合が負けた。師匠の元・白鵬としては、落合にも付け人のような経験が必要と考えて命じたようだ」

新十両場所として初めて15日間の取組を経験するうえ、付け人業務までこなすとなれば疲労度は増すが、若手親方は「宮城野親方の“英断”だ」と拍手を送る。

「幕下以下の力士には関取や親方の付け人をやったり、チャンコ番をしたりといった仕事がある。部屋では風呂場での背中流しから、ちゃんこの給仕、身支度までやる。本場所中は関取の明荷や座布団の運搬など、付け人の仕事は多岐にわたるが、勉強になることも多い。付け人をやることで角界のしきたりを覚え、付け人の気持ちがわかるようになる。関取になった時に、そういう経験が生きてくるのです。嫌な思いをさせられた関取を反面教師にできれば、付け人から慕われる関取になれる。部屋のちゃんこの味を覚えれば、新しく部屋を興した時に伝統を引き継ぐこともできる。

付け人が足りない時は一門内の他の部屋から応援を出してもらうが、関取がいない部屋では“付け人をさせると勉強になるのでよかった”と親方も喜んで出してくれる。有望な新人には親方の付け人をやらせてエリート教育をすることも少なくない。付け人時代の経験がその後の力士人生に与える影響が大きいという考えだ」(若手親方)

「付け人をやったことがないのでありがたいです」

今回の宮城野親方の決断が周囲から賞賛されているのは、近年、付け人の経験をほとんどせずに関取に出世していく力士が目立つなかで、その弊害を指摘する声も少なくないからだ。前出・若手親方が続ける。

「最近は大学や実業団でタイトルを獲って付け出しデビューし、2~3場所で関取となるケースが少なくない。そのためチャンコ番の経験もなく、着物をたたむことすらできない学士力士が増えている。下積みが長い苦労人に比べ、学生相撲経験者のなかには現役時代から付け人の評判が悪く、引退後に部屋を興しても弟子の教育に苦労している者もいる。史上最速のスピード出世をしている落合にとって、いい機会になるんじゃないか」

力士は番付による「格差」がはっきりする世界だ。序ノ口と序二段は冬でも一重のウールの着物だけで、マフラーやコートは十両以上の関取にならないと着用できない。履物も序ノ口と序二段は素足に下駄、雪駄は三段目以上にしか許されない。幕下以上になれば畳張りの雪駄が履ける。いきなり幕下15枚目格に付け出された落合は、付け人だけでなくこういった格差も経験していない。それゆえか、6日目に付け人をすることになったことを明かした落合はこんなコメントを残している。

「付け人をやったことがないのでありがたいですし、自分自身の勉強だと思っています。付け人の方がどういう気持ちでされているのかというのを、自分もやらないと分からないと思うので体験してみたいです」

宮城野親方の狙いは、十分に伝わっているようだ。

NEWSポストセブン

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加