
無形文化遺産の伝承と普及に注力 中国山東省
山東省棗荘(そうそう)市市中区の社区(コミュニティー)で、子どもに地方劇「柳琴戯」の指導をする同市芸術劇院の市級無形文化遺産「柳琴戯」伝承者の郭暁玲(かく・ぎょうれい)さん。(8月9日撮影、棗荘=新華社記者/郭緒雷)
【新華社済南11月21日】中国山東省浜州市恵民県の胡集書会文化展示ホールでは毎週末の午前中、子どもたちに無形文化遺産を教える講座が開かれている。芝居の衣装を着た十数人の子どもたちが一列に並び、「曲芸(中国の各地方に伝わる歌や語りを中心とする民間演芸の総称)」を教える馮寿林(ふう・じゅりん)さんがその横で、伝統楽器の「三弦」をつまびいて子どもたちの歌に伴奏をつける。
中国の伝統演芸「西河大鼓」の伝承者である馮さんは、この2年間、伝統的な曲芸の世界の新たな変化を感じている。「ここ何年か、芝居と歌を習いに来る子どもがますます増え、学習意欲が高まり続けている」という。

無形文化遺産の伝承と普及に注力 中国山東省
山東省日照市の莒(きょ)県で、剪紙(せんし、切り絵細工)を体験する子どもたち。(7月26日撮影、日照=新華社記者/郭緒雷)
同県では今年、14の郷・鎮全てで合計45回の夏期講座を開催し、参加した児童・生徒の数は累計800人を超えた。
同省菏沢(かたく)市曹県荘寨鎮の無形文化遺産特別教室で、無形文化遺産プロジェクト「曹県皮影」の伝承者、任銀来(じん・ぎんらい)さんが皮影戯(ピーインシー、影絵芝居)を披露していた。上演後は子どもたちに皮影戯の歴史を解説し、人形の操作方法を丁寧に教えた。

無形文化遺産の伝承と普及に注力 中国山東省
山東省東営市の利津県で、子どもに沙泥(さでい)を用いた澄泥(ちょうでい)の置物の作り方を教える黄河澄泥印の無形文化遺産伝承者の張金霞(ちょう・きんか)さん。(資料写真、東営=新華社記者/袁敏)
任さんは「子どもたちの多くがこうした芸能の形式に興味を持ってくれる。多くの伝統的な古典物語が皮影戯によって上演されることで、子どもたちは優れた伝統文化をより深く理解することができ、無形文化遺産の継承にも新たな活力を吹き込むことができる」と語った。
同省徳州市斉河県大黄郷にある新時代文明実践ステーションで、子どもたちが興味津々で手に持ったわらをいじっていた。わら細工職人の雲廷臻(うん・ていしん)さんの指導の下、子どもたちはわらを組み合わせ、はめ込み、回し、かみ合わせて、6本の掛け金に「変身」させた。

無形文化遺産の伝承と普及に注力 中国山東省
山東省浜州市恵民県の胡集書会文化展示ホールで、伝統演芸「西河大鼓」の曲目を練習する子どもたち。(資料写真、浜州=新華社記者/高天)
雲さんは「わら細工という伝統的な無形文化遺産の技法について、これまで子どもたちの知識は教科書での理解にとどまっていたが、実際にやってみるとはっきりとイメージでき、より興味を刺激される」と指摘した。
山東省は現在、図書館や展覧館、農村部の小中高校などの場を生かし、無形文化遺産の伝承者や民間の職人、学生を組織して農村で無形文化遺産教室を開催し、子どもたちに地元で伝統文化の魅力に触れる機会を提供するとともに、無形文化遺産の文化の育成と継承を促進している。(記者/高天)