心霊ビデオ撮影にハマった男性、夜のアパートで彼を襲った「忌まわしき事件」

心霊ビデオ撮影にハマった男性、夜のアパートで彼を襲った「忌まわしき事件」

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2020/11/21
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怪談社は、糸柳寿昭氏と上間月貴氏の両名を中心に怪談実話を蒐集し、トークイベントや書籍の刊行を行う団体だ。その二人が全国各地の忌み地、いわくつき物件を中心に取材。その情報を作家・福澤徹三氏が書き起こしたのが、怪談実話集『忌み地』『忌み地 弐』(講談社文庫)である。同書から選りすぐりの怪談実話をお届けする。

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〔PHOTO〕iStock

心霊ビデオ

その日の午後、上間は上野公園で取材をしていた。

特に対象は決まっておらず、ひまそうな人物に声をかける。飛び込みで民家を訪ねるときとちがって、ストレートに怪談実話を集めているのを明かす。

それだけでは不審に思われるので怪談社の資料を見せるが、知っているというひとはまれだ。しかしその日は四十代なかばの男性に声をかけると、

「怪談社、知ってますよ」

笑顔でそういった。

「ぼく怪談が大好きなんで、本も読みました」

上間は礼をいってから本題に入って、

「ご自分で体験されたことはないですか」

「あります。二〇〇〇年代のはじめ頃、あちこちの心霊スポットにいってまして」

当時はレンタルビデオ店で、ドキュメンタリー風の心霊ビデオが人気があった。

一般から投稿された映像や取材した映像といった触れ込みだが、実際に投稿された映像はすくなくフェイクも多かった。

「あの頃はぜんぶ本物だと思ってましたから、自分でも撮ってやろうと思って──」

ビデオカメラを持って心霊スポットや廃墟にいった。

撮影した映像を自宅で入念にチェックする。けれども心霊らしきものは映っていない。ときおり現地で不可解な声を聞いたが、なぜか録音されていない。

崩れかけた廃墟で怪我をしたり、山や草むらで虫に刺されたり、警察に通報されて廃屋の二階から飛びおりたり、さんざんな目に遭った。

帰ったはずの友人が…

ある日、アパートの部屋に友人の男性が遊びにきて、ふたりで酒を吞んだ。

そのとき心霊スポットの映像を見せると、

「おまえ、こんなところに、よくひとりでいけるな」

友人は妙に感心した。

夜が更けた頃、酔いのせいもあって眠くなった。床に寝転がってうとうとしていたら、友人が肩を揺すって、

「なあ、また心霊スポットのビデオ観せて」

彼は寝ぼけ眼をこすって、さっきとはべつの映像を再生した。

それを観はじめた友人の後ろでまた横になると、携帯が点滅していた。

携帯を見たらメールがきていて、

──きょうはありがとう。あした早いから帰るわ──

メールを送ってきたのは、いまビデオを観ている友人だった。

彼は驚いて軀を起こした。背後から友人を見つめたら、あきらかに体型がちがう。となると、いまビデオを観ているのは誰なのか。その誰かはなにがおもしろいのか、ビデオを観ながらくすくす笑っている。

彼は足音を忍ばせて玄関にいき、靴を履くなり部屋を飛びだした。

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〔PHOTO〕iStock

そのままコンビニや公園で時間を潰し、空が明るくなってきた頃、アパートにもどった。恐る恐る部屋に入ると、さっきの「誰か」はいなくなっていた。

けれどもビデオデッキには「誰か」が観ていたビデオが入っていた。

それ以来、心霊スポットのビデオをすべて処分し、映像を撮りにいくのもやめた。

「もうビデオは厭だから、いまは怪談本を読むだけにしてます」

彼はそういって笑った。

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