「税務調査が自宅にやってきた...」1日の流れや“ペナルティ”を税理士が詳しく解説

「税務調査が自宅にやってきた...」1日の流れや“ペナルティ”を税理士が詳しく解説

  • 幻冬舎ゴールドオンライン
  • 更新日:2021/11/25
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相続対策として生前贈与をしていても、税務調査によってひっくり返されてしまうことがあります。ここでは辻・本郷税理士法人の山口拓也氏が「相続税の税務調査」がやってきた際の当日の流れや、見られるポイント、問題があった場合に課されるペナルティについて解説していきます。税務署の方の着眼点を抑え、正しく贈与をし、指摘されないようにしていきましょう。

【前編】「相続税の税務調査」調査官は“いつ、なにを”見てやってくる?【税理士が解説】

自宅に税務調査がやってきた…午前は「ヒヤリング」

●税務調査当日の流れ

税務署からの連絡は、申告した税理士のところへ入ります。そこで日程調整をしたうえで、国税の方が自宅にやってくる…というのが通常の流れです。調査官は、上司と担当者の2名でくることが多いです。

午前10時に自宅にやってきて、12時ごろまでヒヤリングをおこないます。軽い挨拶から始まり、まずは亡くなった方の職歴、学歴などを聞かれます。相続人の方についても同じように、学歴や仕事といった身の回りの質問をしていきます。

ここでのポイントは、あまり喋りすぎず、基本的には聞かれたことだけに回答することと、言い切らないことです。

調査官は「亡くなった方の通帳を管理していたのは誰ですか?」と、ひっかけの質問をすることがあります。

「旦那が管理していたのでわたしは知りません」と答えると「それなら特に旦那さんの口座から奥さんの口座への入金はありませんよね」といわれます。「はい、そうです」と答えてしまうのですが、現物確認で通帳をチェックされると、数件くらいはある、という方が多いのです。

そうすると、「ヒヤリングで旦那さんからお金もらってませんといったのは、虚偽答弁ですか?」といわれてしまいます。

そうならないように「そうだったかもしれない」「あとで調べて回答します」というような答え方をするとよいでしょう。

また、最近ポイントとなっているのは「意思能力が被相続人にあったかどうか」です。生前贈与は、あげた方ともらった方の「あげました」「もらいました」という事実を贈与契約書などで証明できなければ成り立ちません。

そのため、亡くなった方の入院や通院期間、どこの病院に行ったのか、といったこともヒヤリングにて聞かれます。そこで「ずっと寝たきりで自宅に戻ってこれませんでした」などというと、「この期間寝たきりで病院にいたのなら、こちらの贈与は誰がおこなったんですか?」と税務署とトラブルになるケースもあります。

さて、12時になると調査官は昼食のために外へ出ます。相続人と税理士たちはそこに残って昼食をとったり、午前中の反省点を踏まえて打ち合わせをしたりします。

「名義預金じゃないですか?」…現物調査がスタート

13時になると調査官が戻ってきて、午後は現物調査がおこなわれます。調査されるのはまず通帳、印鑑、保険証書などの証券関係、不動産の権利書などです。

通帳については事前に調査官が銀行へ行って確認してきます。通帳にはメモが書いてあることがありますよね。例えば10万円引き出しがあって「3月分」、次の月にまた10万円分引き出しがあって「4月分」、とあるとこれは生活費ですね、となります。このようなメモをチェックしているのかと思われます。

それなら、通帳にメモをしないほうがいいですか?というご質問がよくあるのですが、メモがあると証拠となってかえってよいように思います。

そして、印鑑も紙に陰影をとっていきます。亡くなった方と家族の実印、銀行印、認印が必要となります。

以前、「亡くなったお父さんの認印です」と出して陰影をとったものに、「このハンコ、孫の太郎ちゃんのXXX銀行XXX支店の通帳の印鑑ですよね?」といわれたことがあります。

そうすると、孫の太郎ちゃん名義の通帳は亡くなったお父さんがつくったものとなるので、そこに110万円くらい貯まっていると「これって名義預金じゃないですか?」といわれてしまいます。印鑑も非常に大事です。

続いて、保険証券についてです。不明出金を見ていっても、どうしてもわからない出金があったとき、不明出金と保険契約を並べていくと、一致するケースがあります。

仮に500万円の不明出金があって、出金日と奥さん名義の保険の契約日が同じだと、「奥さんの保険は旦那さんのお金が原資だったんですよね?」と問われ、奥さん名義の保険は実は相続税の申告に入れなければならないものだったとされます。

最後に、権利書についてです。権利書は自宅の大事な部分にあるので、その周辺をみていると現金が出てきてしまうことがあります。そうするともちろん「これは誰のお金ですか?」と問われます。

また権利書にはお金の使途が書いてあることがあります。子どもの名義だったけれども実は亡くなったお父さんが出していたと発覚し、問題となってしまいます。

調査が終了…「修正申告」と「課されるペナルティ」

現物調査は、15時、16時ごろに終わることが多いです。

自宅にくるのはこの1日だけですが、それで調査が終わるのではなく、税務署に帰ってから検討した結果が1ヵ月ほど後になって税理士のもとへ届きます。

そのあと指摘事項について納税者の方と打ち合わせをし、「これはしょうがない」「これは違う」と落としどころをみつけて最終的に修正申告をするというケースが多いです。

●名義預金

通帳の名義は亡くなった方でなくとも、原資が亡くなった方のものである場合、これも相続財産として申告にいれてくださいといわれてしまいます。

きちんと贈与契約をして贈与していればそうはならないのですが、無駄遣いしないように通帳や印鑑を別の方が持っていたというと「実態が伴っていない」とされて、調査でみつかった場合に修正申告することになりがちです。

お子さんやお孫さんも注意が必要ですが、配偶者に30万円生活費として渡し、頑張ってやりくりして10万円を残し、その通帳に残っていた10万円も相続財産となってしまう可能性があります。

税務調査では「夫婦別産制」という考え方が重要です。一般的には、夫婦の財産は同じものという感覚がありますが、税務署からすると別々のものであり、名義にかかわらず原資は誰なのか、誰の収入なのかということを重視しています。

相続税を申告する段階でチェックをしておくことが重要です。

●ペナルティ

ペナルティは、延滞税と加算税がメインです。

延滞税は利息的な税金、加算税は罰金的な税金を指します。加算税には過少申告加算税と重加算税の2種類が存在します。

通常、かかるのは延滞税と過少申告加算税だけなのですが、仮装又は隠蔽といわれた場合には過少申告加算税は重加算税に切り替わり、本税の35%かかってしまいます。

また仮装又は隠蔽ということになると、通常延滞税のマックスは1年なのですが、1年以上にわたって課税されることになります。また奥さんが相続した際には本来、「配偶者の税額の軽減」で税負担を抑えることができるのですが、それも受けられないことになります。

重加算税にならないようきちんと対応しましょう。

恐ろしい重加算税だが…税理士の見解は

税務署の「事務運営指針」では、名義預金については重加算税をかけていいとされています。しかし過去の判例によると、外部からうかがえる特段の行動がなければ重加算税は課すことができないと言われています。

外部からうかがえる特段の行動とは、資料の改ざん、虚偽答弁、調査非協力や仮装・隠ぺい行為と言われております。まずは調査に協力することが大切であると考えられます。

●まとめ

税務調査では、「実態が伴っている」「証拠が残っている」といったことがポイントになります。どうせバレないから…と思っていると後で痛い目に合うこともあるので、正々堂々と資料を残し、調査に協力すること、名義預金と思われるものがあれば申告の際にきちんと通帳をチェックし、調査がくる以前に、最初から申告しておくことがポイントです。

■動画でわかる「【相続税の税務調査】概要とポイントを解説!~税務署から何をしに来るの?~」

辻・本郷税理士法人 シニアパートナー 税理士

山口 拓也

山口 拓也

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