コロナ対策を水際に頼るのは医療界の怠惰と無責任

コロナ対策を水際に頼るのは医療界の怠惰と無責任

  • アゴラ
  • 更新日:2021/05/03

日本のコロナ対策の「失敗」の原因は、武漢での流行のあと全面的に入国を禁止しなかったこととか、いまでも、国境を完全に閉ざさないからだという「鎖国論」に近いような珍奇な陰謀論チックな議論が盛んだ。

もちろん、水際での対策は大事だが、ヒステリックな排外主義は、人道的にも許されがたいし、経済的にも深刻な打撃をもたらす。

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Tanaonte/iStock

とくに、ワクチンの接種が世界的に進み、PCR検査や抗原体検査を併用すれば観光客すらウェルカムになりつつある世界の流れに逆行して、日本は孤立しかねない。

まず、日本でコロナが本格的に流行し始めたのは、イタリアなどで爆発したときに水際対策に失敗したからであって、武漢や大邱での爆発のときには、そんなたいしたことなく押さえ込んでいたのだから、中国からの遮断が遅れたのが原因というのは、事実と違う政治的プロパガンダであろう。

欧州からの遮断は、たしかに、遅れた。しかし、それは、入帰国を禁止すべきだったというよりは、隔離措置を怠ったのが問題だ。

一方、クルーズ船については、批判もあったにもかかわらず、断固、船から降ろさなかったのを、私は熱烈に支持したし、大正解だった。言葉のできない外国人感染者をあそこで下ろしていたら目も当てられなかっただろう。

中国に対する台湾の素早い対応は正解だったし、韓国は大失敗だった。台湾は政治的プロパガンダとして極端なことをしたら正解だったという面もあった。

その後の展開についていえば、日本は行動規制やその前提となる国民の管理・監視システムがないし、感染者の行動を規制し、監視する臨時のシステムの構築にも野党・マスコミ・世論の三馬鹿トリオの反対が強かったから、効果的な対策が打てなかったのである。

帰国者をしばらくホテルなどや自宅に閉じ込めておくとか、どこで何をしたか追跡できるシステムがなかった。また、マスクを公平に配るというシステムも構築できなかった。

台湾は、韓国と同じように徹底した国民管理・監視制度があり、個人のプライバシーを犠牲にした情報公開あってのことで、入国規制にばかり焦点を与えた分析は何ら根拠がない。

だいたい、発生源の中国は、その後、見事に押さえ込みに成功しているのであって、それは、水際より国内的な体制のほうが大事であることの何よりの証拠であろう。

別にコロナに限らず、日本の外国人などについての管理ができてないのも、国内の日本人に対する管理・監視が中国・韓国・台湾に比べてはもちろん、欧米諸国に比べて著しくゆるいからだ。

だいたいマイナンバーカードを取得しなくてもよく、外出のときに携帯しなくてもよいなどふざけた話なのだ。道で警官が職務質問してもどこの誰かすぐに証明できなくていいのはひどい。そうである以上、怪しげな外国人が行動しても規制できないのである。私は1980年代から一貫して、対外開放、ただし、欧米並みに国民の管理制度は必要という考え方だ。

昨年の春において必要だったのは、①合理的な範囲の入国規制、②合理的で経済人も配慮した行動規制、③医療体制の緊急事体制への移行、そして、④第二波に間に合うように、たとえば、マイナンバーカードの取得を年内に済ませることなど効率的な対策の基盤作りを急ぐことだと私は強力に主張した。

しかし、お医者さんたちは、自分たちが忙しくなったり、慣れないことをしたり、年末年始や連休に休まないとか、勤務時間外に研修をしたり応援に出るのは嫌だから、ひたすら飲食業などを休ませることだけで、感染を抑えようとした。

国民の情報管理は進まず、必要以上に国民の行動を規制し、その代償に無駄金をばらまくという愚劣な政策に終始した。

しかも、行動の自由を確保しつつ、プライバシーも尊重して、感染拡大を抑えるとなると、これは、ワクチン接種しかない。ワクチンを接種した人には行動の自由を与える、どうしてもしたくない人は、一週間ごとに自費でPCR検査でも受けてもらえばよろしい(アレルギー体質が立証された人は例外)。

ところが、医療界は日本独自のワクチン承認プロセスにこだわり、梃子でも動かないから、主要国でもっとも遅いワクチン接種。しかも、ワクチン承認を送らせた、医療関係者は、接種は自分たちだけ優先という世界で日本だけの優先というルールをお手盛りで作って先にしている。

そういう背景でコロナ対応はうまくいっていないのだが、責任をとわれるべき医療界は、無駄に国民の活動を規制するだけでなく、外国との出入国を止めないから医療崩壊だと責任転嫁している。

それに、初期の段階での水際対策の不備で取り返しがつかなくなったなどという事実無根のデマを流すと、なんでも中国を悪く云うと喜ぶレベルの低い嫌中派がだまされてそれに加勢している情けない状態だ。

私は中国を警戒することには賛成だが、中国に馬鹿にされるようなことになったのは、日本経済の不振であり社会システムの劣化であり、それに対抗する最良の手段は日本自身が、産業の競争力を取り戻し、経済成長を取り戻し世界最先端の社会システムを構築することであって、中国を虚実まじえながら呪うことではない。

八幡 和郎

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