広島・床田には左腕としての使命がある。ジョンソンが昨季限りで退団。今季の先発候補には大瀬良、森下ら右腕が豊富にそろう一方、左腕は自身に加えて高橋昂らの名前が挙がる程度だ。さらに、その高橋昂も左肘手術からのリハビリを終えたばかり。例年以上の責任を背負う今季、自身初の2桁勝利を宣言し、覚悟を示した。

自主トレする広島・床田(撮影・成瀬 徹)
「元々、カープは左腕不足と言われてきた。それを何とか打破したい。2桁勝利と規定投球回は達成したいと思います」
球団の日本人左腕で2桁勝利を挙げたのは、01年に10勝した高橋建までさかのぼる。「左投手は後輩ばかり。自分が引っ張って、左の中で一番でいられるようにしたい」。自身は19年に7勝し、満を持して臨んだ昨季に5勝どまり。勝利数の倍増を目標としたのは、左腕不足と言われ続けてきた投手陣の先頭に立とうとする決意でもあった。
昨季の不調を取り返すべく、今オフは九里に弟子入りを志願し、12月から合同練習に励んでいる。「新人の年に(左肘を)手術した。(九里)亜蓮さんはケガをしたことがない。強い体をつくるにはどうすればいいのか……と思って、お願いした」。昨年12月中は連日、広島市内のトレーニングジムに通ってウエートトレに時間をさくなど、下半身強化に取り組んでいる。
「しっかりと監督の信頼を得て、長い回を投げられるようになれば、勝ち星も付いてくる。去年は悔しいシーズンだった。何とかやり返したい」
これまで以上の責任感が、復調への背中を押す。(河合 洋介)