「誰にでもできることを人はやらなくなる」自分は“普通な人間”と思っている人こそ仕事で大切にすべきこと

「誰にでもできることを人はやらなくなる」自分は“普通な人間”と思っている人こそ仕事で大切にすべきこと

  • withonline
  • 更新日:2021/10/14

書店に行くとさまざまな自己啓発本が溢れている。仕事でちょっと悩みはあるし覗いてみたはいいけれど、「並んでいるタイトルを見るとキラキラしすぎている……」「自分にはちょっと意識が高いかもしれない」と感じた人もいるはず。そんな人におすすめなのが、『「フツーな私」でも仕事ができるようになる34の方法』(日経BP)である。

著者は、2018年に『ブスのマーケティング戦略』(文響社、のち集英社文庫でも発刊)を出版し、ご自身の経験をもとに「女性が見た目以外の武器を持って、人生を幸せに生きる方法」を提案し、話題となった税理士の田村麻美さん。今回の本は、「自分には能力がない、仕事でなかなか評価されない」と悩んでいる人に向けた一冊である。そんな田村さんにインタビューを実施。インタビューvol.1では、仕事をしていく上で大切なこと、田村さんが税理士になった背景などについて伺った。

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意識低い系のまま今よりちょっと仕事ができるようになる

――『「フツーな私」でも仕事ができるようになる34の方法』、すごく参考になりました。というか耳が痛かったです。「自分には何もない……」と落ち込むより前に、やれることはたくさんあるよなあ、と。田村麻美さん(以下、田村) “ビジネスメールとはいえ、相手にあわせて人間味を感じる内容にする”とか、“深刻なメールのあとには電話でフォローを入れる”とかね。メールの宛名や相手の肩書に間違いがないかチェックするなんて、今さら書くまでもない当たり前のことだろう、と言われてしまうかもしれませんが、そういう基本的なことほど疎かになっていくのが人間というもの。入社一年目のときは、誤字の一つもないよう見返してからメールを送信していたのに、今は気にしなくなっている……ということ、結構ありませんか?――ありますね……。ものすごくしょうもない誤字脱字をしています。田村 誰にでもできることを、人はなぜだかやらなくなっていってしまうんです。私自身は、仕事ができる人だっていう自負があるわけではなく、仕事で絶対に何かを成し遂げたい! という情熱も特にない、ってタイプ。でも、そういう私みたいな“フツー”な人こそ、与えられた仕事をミスのないよう人一倍丁寧にやるってことは、結構大事だよなと思いながら書きました。逆に「仕事が生きがい」「バリバリ働く!」って人には、この本は向いていない(笑)。お読みいただければわかると思いますが、意識低い系のまま今よりちょっと仕事ができるようになる、という本なので。

――そこが、すごくよかったです。仕事にやりがいを、とか、“好き”を仕事に、とか、とても素敵なことではあるんですけど、その幻想に押しつぶされている人もきっと多いはずなので。田村 そうなんですよ! 20代のとき、仕事ができない自分に落ち込んで、どうにか改善しようと「仕事術」的な本や、いわゆる自己啓発系の本を読んだんですけど、どれもギラギラしていて全然私には向いていなかった。ネガティブでもポジティブでもない絶妙な距離感で、仕事のやり方を教えてくれる本ってないかな? と思っていた、あの頃の自分に向けて書いた感じなんですよね。だってそんな……“好き”を仕事にできるほど極められる能力と気力を持っている人、そうそういないですよ。ほとんどの人は、生きていくうえで働かなきゃしょうがないから働いていると思うんです。

税理士になることは“できること”から逆算して決めた

――“やりたいこと”と“できること”は、大抵違いますしね。田村 本にも書きましたが、私も税理士という仕事は“できること”から逆算して決めました。“仕事にやりがいを”と同じベクトルで語られがちなのが“幸せはお金じゃない”みたいな考え方ですが、私、それも全然なじめなくて。だって、幸せになるためにはやっぱり最低限のお金が必要じゃないですか。――必要な額は人によって違いますけど、お金があるのとないのとでは、いざというときの選択肢の幅が絶対的に変わってきますよね。田村 だから私は将来を考えたとき、資格をとって手に職をつけようと決めました。それで、どうせとるならお金に直結する、食いっぱぐれのない資格がいい。たとえばカラーコーディネーター、イメージコンサルタントといった資格は多くの場合、もともとアパレルなどの仕事をしていた人が箔をつけるためのものであって、全くその分野の仕事の経験のない私が取得したところであまり意味がないでしょう。何もない私の武器になるのは、やっぱり国家資格。とはいえ、弁護士はさすがに難易度が高いし、公認会計士や国家公務員も倍率が高い。税理士は難しいけど、一科目ずつ取得していけるから、時間をかけて頑張ればなんとかなるかもしれない……と。――合理的な消去法で決めたんですね。田村 税理士になった理由を聞くと、大抵の方は「お客様に寄り添って経営のパートナーになりたかったから」みたいに答えるんです。でも私、そうじゃなくて(笑)。税理士になってはじめて、「こんなにお客さんと話さなきゃいけないんだ」とか「税金ってこんなにたくさんあるんだ」と知りました。それでも何とかなったのは、キラキラしたやりがいみたいなものを仕事に一切求めてなかったからだと思います。お金をいただくからには、できるかぎりのことを頑張るぞ! という一心でここまできましたね。

自己評価が低くても“俗っぽい欲望”はもっていていい

――本を読んでいても感じましたが、一貫して判断が合理的なのがすごいですよね。自分のことを、よくわかっていらっしゃる。田村 今の自分にできること、できなくてもどういうことだったら頑張れそうか。その先に芽はありそうか。というのは、何事においても考える基本ですね。〈自分の「弱点」を最小化する〉という章でも書きましたが、私は昔から自分のコンプレックスにがっつり向き合ってきたし、自己評価もゼロ同然。今って、自己肯定感を高めよう、みたいな風潮も強いですけど、“できる”という意識がない分変なプライドやこだわりをもたずに、がむしゃらに頑張れるんです。もちろん仕事で失敗したりできない自分に落ちこむときもありますが、“だったら何をすればいいか”に思考をすぐ切り替えられるのは、自分に対する自信がないおかげかも、と思います。――自己評価が低くても“俗っぽい欲望”はもっていていい、というところもよかったです。「私なんかが……」と、欲望を抱くこと自体否定してしまう人もいるじゃないですか。田村 そういうのは、確かにないですね。自信はなくても、自分を卑下したり誰かをひがんだりは、昔からしないかもしれない。最初におっしゃっていただいたように、そんなことしている暇にできることはある、どうすれば改善できるかを考えよう! ってなる。自分がどんなにだめでも、どうにかして生きていかなきゃいけませんからね。

――〈学生時代に勉強を頑張ることができたのは、「10代のあふれんばかりの性欲」を原動力に、「優秀な男と出会うために学歴を高くする」という目標を掲げたおかげ〉と書かれていたのは、清々しくてカッコイイなって思いました。田村 (笑)。性欲に限らず、「我慢せず好きなことをして暮らしたい」とか、そのためにも「年収1000万は稼げるようになりたい」とか、子供っぽいかもしれないけど、本能に忠実な欲望って大事な原動力だと思います。現実ってやっぱりしんどいことは多いし、どんなに頑張っても報われなくて、くじけそうになってしまうときはたくさんある。そのたび私は、“俗っぽい欲望”を思い出して、どうにか心を奮い立たせてきました。「あいつを見返したい!」でも、なんでもいいんです。みなさんも迷ったり落ち込んだりしたときは「自分が何をしたかったか?」を思い出すことをおすすめします。*****************インタビュー2回目では、自分を卑下しすぎたり他人と比べない方法などについて詳しく伺いました(10/19更新)。

【プロフィール】

田村麻美

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1984年埼玉県生まれ。立教大学経済学部卒業後、同大学大学院で経済学研究科経済学専攻博士課程前期課程修了。都内の大手税理士法人、埼玉県内の税理士事務所を経て2013年、東京都足立区にて自身の税理士事務所を開業後、現在、税理士法人江波戸会計東京支社長・TRYビジネスソリューションズ代表取締役社長。2018年に出版した初の著書『ブスのマーケティング戦略』(文響社)が話題となり、2020年に集英社文庫で発刊。2019年、早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA)。夫と娘の3人家族。http://tamuramami.com/

『「フツーな私」でも仕事ができるようになる 34の方法』(日経BP)

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「実力がない」「やりたいことがない」……そんなあなたが幸せに仕事をしていくための、超現実的なTO DOリスト。自分が評価されやすい「市場(=職場)」を見極める方法や、自分に足りないスキルを見つける力、自分が仕事をしやすいパートナー(伴侶)の選び方、自分の市場価値を冷静に見極めた長期的なキャリア戦略などを、ユーモアを交えながら「34の方法」として指南。

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取材・文/立花もも 構成/岩崎 幸

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