習近平の一声で崩壊寸前、「中国オンライン教育業界」の苦境

習近平の一声で崩壊寸前、「中国オンライン教育業界」の苦境

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2021/06/11
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中国政府の個別学習指導産業に対する取り締まりは、この業界で最も著名な3人の起業家を直撃し、わずか数カ月の間に彼らの資産270億ドル(約3兆円)相当が吹き飛んだ。

最も大きな損失を被ったのは、以前はGSXテックエデュ(跟誰学)の社名で知られたオンライン教育企業「Gaotu(高途)」のCEOのラリー・チェン(陳向東)で、彼の保有資産は1月下旬の約160億ドルから16億ドルにまで減少している。

さらに、「TALエデュケーション」のZhang Bangxinの保有資産も、100億ドルから55億ドルに減少した。「ニューオリエンタル・エデュケーション(新東方教育科技)」創業者のMichael Minhong Yuも、同社の株価が半分になったことで21億ドル相当を失った。

ニューヨーク市場に上場するこれらの3社の株価の急落は、中国政府が教育産業への規制を強化したことで始まった。パンデミックを受けて、オンライン教育市場は活況に沸いたが、そこに急ブレーキがかかった形だ。

「この分野の企業の資金調達が活発化し、さらなる成長を追求するにつれ、価格詐欺や虚偽の広告などの不正行為が問題化した」と、深圳を拠点とする調査会社ブルーロータス・キャピタルのアナリストは指摘した。

6月1日、中国の規制当局はアリババが出資するZuoyebang(作业帮)や、テンセントが出資するYuanfudao(猿輔導)、前述のニューオリエンタル社などの15社に573万ドルの罰金支払いを命じた。また、GaotuとTALエデュケーションも、オンライン授業の価格を偽ったとして、4月にそれぞれ約7万7000ドルの罰金を科されていた。

中国政府はこれらの企業のマーケティング手法を厳しく取り締まるだけでなく、子どもたちの睡眠を守るために、夜間にライブストリーミングによる講座を提供することを禁止した。また、小学校入学前の児童に小学校の授業を行うことも禁止している。

習近平の一声がきっかけ
これは、習近平国家主席が5月に発表した「学生の負担を軽減し、放課後の家庭教師サービスの規制を強化する」という方針に従ったものだ。

「これらの措置は、規制当局が教育業界を是正しようとしていることを明確に示している」と、ブルーロータス・キャピタルは述べている。

TAL エデュケーションとニューオリエンタル社は、この件に関するコメントを控えている。Gaotu社の広報担当者は、3歳から8歳までの子どもたちへの授業の提供を停止すると述べた。中国のニュースサイト36krは、Gaotuが人員削減に乗り出し、全従業員の3分の1が影響を受ける可能性があると報じている。

Gaotuは、他の教育企業の中で最も激しい株価の下落に襲われているが、ここには同社の出資元のアルケゴス・キャピタルが破綻した影響が含まれている。同社の最大の外部投資家の一人であったビル・ホワンが経営するヘッジファンドのアルケゴスは、マージンコールを満たせずに破綻した。これを受けて3月26日にGSXの株価は58%も急落した。

さらに、Gaotuは複数の空売り筋の標的となっており、Grizzly Research社は同社を詐欺企業と表現している。

香港を拠点とするチャイナ・マーチャンツ・セキュリティーズのアナリストは、中国の教育企業が、さらなる政策的リスクに直面すると述べている。現地メディアは先月から、規制当局が家庭教師会社に対し、週末や夏休み、冬休みの授業の提供を禁止する可能性があると報じている。

ブルーロータスは、政府が放課後の家庭教師を完全に禁止することは望んでいないと述べつつも、杭州市の取り締まりの厳しさを指摘した。先月、杭州市の当局は、小学3年生以下の生徒に週末に家庭教師サービスを提供することを禁止した。

「この業界は急成長から停滞期に入った」とブルーロータスは指摘した。「投資家はもはや、教育関連企業をハイテク企業のようには考えていない。爆発的な成長はもう期待できない」と、同社のアナリストは述べた。

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