年金の受け取り額は一生変わらないんですか?

年金の受け取り額は一生変わらないんですか?

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  • 更新日:2023/05/26
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年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。今回は、年金の受け取り額が変わることはあるのかという質問に専門家が回答します。

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。

そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、年金の受け取り額が変わることはあるのかという質問です。

Q:年金の受け取り額は一生変わらないんですか?

「年金の『受け取り金額』は、一度決まったら、一生涯変わらないのでしょうか? それとも毎年変わりますか?」(60歳)

A:公的年金の受給額は、毎年度、年金額の改定(見直し)があります

公的年金の受給額は、毎年度、年金額の改定(見直し)があります。

改定は法律の規定によって決定されています。たとえば、賃金変動率がマイナスで、手取り賃金変動率が物価変動率を下回る場合は、年金を受給し始めるときの年金額・受給中の年金額の両方とも、賃金変動率を用いて年金は改定されます。

また賃金や物価による改定率がマイナスの場合には、マクロ経済スライドによる調整は行わないこととされていますが、プラスに時にはマクロ経済スライドの調整が行われます。

マクロ経済スライドとは

マクロ経済スライドとは、平成16年の年金制度改正で導入されたもので、賃金や物価の改定率を調整して、緩やかに年金の給付水準を調整する仕組みです。将来の現役世代の負担が過重なものとならないよう、最終的な負担(保険料)の水準を定めて、その中で保険料等の収入と年金給付等の支出の均衡を保つために、マクロ経済スライドは実施されます。

2023年度(令和5年度)の改定は、「2022年度(令和4年度)から原則67歳以下の人は、2.2%引き上げ、68歳以上の人は1.9%の引き上げ」でした。この改定は、総務省から「令和4年平均の全国消費者物価指数」(生鮮食品を含む総合指数)として公表されたものを踏まえ、マクロ経済スライドによる調整は▲0.3%、賃金変動率+2.8%をもとに年金額が上がることになりました。

ちなみに、2022年度(令和4年度)は変動率がマイナスでしたので、年金受取額は2021年度より下がりました。

以上のように、年金額は毎年度改定(見直し)されて、マクロ経済スライドが発動される可能性もあるので、受け取り額は変わることがあります。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)

都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
(文:All About 編集部)

All About 編集部

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