千葉県八千代市消防本部は、装着型のカメラで撮影した現場映像を本部でリアルタイムに確認できるシステムを4月から運用する。インターネットを使って通話もできる仕組みで、現場と本部との連携を円滑にし、迅速な人命救助につなげる。(宍戸隆夫)

大型モニターに映し出された訓練映像(八千代市消防本部で)
現場映像や音声の同時発信を可能にするのは、クラウド録画サービス最大手「セーフィー」(東京都品川区)が開発したウェアラブルクラウドカメラ「Safie Pocket2」。
市消防本部では2021年11月から様々な現場での実証実験を重ね、本格導入を決めた。救助活動などにあたる隊員が小型カメラ(縦8・4センチ、幅5・5センチ、厚さ3センチ、重さ約160グラム)を胸に装着して火災現場に入ることで、燃えさかる建物の様子などが本部にリアルタイムで伝わる。スマートフォンを利用した映像発信では、隊員1人が撮影に専念することになるうえ、現場を多角的に捉えることが難しかったという。
市消防本部では6日、新しいシステムを使った訓練が行われ、建物に入った隊員のカメラから送られてくる映像が本部の大型モニターに映し出された。本部では、中継映像や隊員の声を確認しながら現場に指示を送った。
市消防本部によると、こうしたシステムの利用は建設現場などで広がっているが、消防への導入は全国でも珍しいという。4月から本部や市内の五つの消防署に計7台を配置し、ドローンによる上空からの映像と合わせた活用も進める。市消防本部警防課の担当者は「将来的には、医療機関との情報共有も検討していきたい」と話した。