
防衛省近畿中部防衛局の家宅捜索に入る愛知県警の捜査員=大阪市中央区で2022年5月11日午後0時59分、熊谷佐和子撮影
航空自衛隊岐阜基地の研究施設建設工事の一般競争入札を巡る官製談合事件で、愛知県警に逮捕された防衛省OBが顧問を務める建設会社などの共同企業体(JV)は約50億円の本体工事に加え、約10億円の追加工事を入札のない随意契約で受注していたことが、防衛省への取材で判明した。県警はJV側が追加工事での利益を見込み、本体工事の入札価格を下限に近づけ落札したとみている。
官製談合防止法違反などの疑いで逮捕されたのは、元防衛省近畿中部防衛局課長の稲垣正義容疑者(60)と、防衛省OBで「アイサワ工業」(岡山市)顧問の村上泉容疑者(65)。
同防衛局によると、JVは2020年11月の一般競争入札で研究施設工事を約50億8100万円で落札。翌21年6月には、同施設の内外装工事やコンクリート舗装工事などを随意契約で受注した。契約額は9億9050万円だった。
稲垣容疑者は建築課長だった20年9~11月ごろ、落札額の下限目安となる「調査基準価格」などを村上容疑者に漏らした疑いが持たれている。関係者によると、2人は容疑を認めているという。
同防衛局はアイサワ工業と、JVの代表会社「銭高組」(大阪市)を11日から3カ月間の指名停止処分とした。【熊谷佐和子】
毎日新聞