
◆大相撲 ▽秋場所10日目(19日、東京・両国国技館)
若元春が弱点をさらけ出した。立ち合いは踏み込むことができなかった。問題はその後。豊昇龍の左の張り差しはそれほど強烈ではなかった。軽く意識を散らす程度。それなのに豊昇龍に右を深く差された。上体が浮き、まったく相撲にならなかった。無類の強さを誇る左四つだが、左脇の甘さを突かれてしまった。
苦手意識もある。豊昇龍とはこれまで3勝7敗。先場所も立ち合いに変化して物議を醸した。今場所は迷いがあったのか踏み込み不足。これから何度も対戦する相手。苦手意識を克服することが急務だ。
豊昇龍は見事な立ち合いからの攻めだった。こういう相撲が取れるなら何故、8日目の宇良との一番で左に動いて右上手を取る中途半端な立ち合いを見せたのか。安定しない精神力は負けてはいけないという“大関病”の余波なのか。6敗は土俵際。背水の陣で残り5日を戦ってほしい。(スポーツ報知評論家)