1000万円の保険が月々850円!? 目先の保険料の安さだけで保険を選ばないで

1000万円の保険が月々850円!? 目先の保険料の安さだけで保険を選ばないで

  • 女子SPA!
  • 更新日:2021/05/03

<女性が一生、お金に困らないためのレッスン vol.3/経済評論家・佐藤治彦>

いざという時にお金が支払われる生命保険。

最近は、病気やケガなどの入院給付金が出る医療保険、万が一の不幸の時に、つまり亡くなった時にお金が出る死亡保険、シニア向けに「家族に迷惑はかけたくないから葬式代くらいは残したい」という死亡保険がよく知られています。

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宣伝もこの3本柱ですよね。ネットで申し込めるものも多く保険料(掛け金)も手軽なものもあります。

◆月846円の保険料も、10年で10万円以上

1000万円の死亡保険が月846円なんて聞くと、入りたくなってしまいますよね。

生命保険に入ると決めている方にチェックしてもらいたいことがあります。それは、保険を選ぶ時には、毎月の保険料ではなく、総額でいくら払うのか?ということにこだわって商品選びをしてほしいということです。

某ネット系生命保険会社を例に考えてみましょう。

30歳の女性の場合。1000万円の死亡保険は、先に書いた毎月846円だったりします。ただし、これは契約年数が10年です。846円ですから、1年で1万152円、10年で払う総額は10万1520円です。例えば、22歳のときに産んだ8歳の子どもがいて、この子どもが18歳になるまでの補償がほしいということであれば、10年後に契約の期限が来た時に終わり。払ったお金は掛け捨てですから戻ってきません。

◆公的な遺族年金だけで足りるかも?

ちょっと横道にそれますが、ここで忘れないでほしいのは、国の遺族年金という制度です。シングルマザーなどで、30歳の女性の収入で子どもを養っているという場合。もしくは、夫と妻、そして子どもが1人というような場合も、主な働き手が国民年金や厚生年金に入ってお金を払っていれば、遺族年金が出る可能性があります。

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例えば、遺族基礎年金の場合、

・妻と子ども1人が残された場合→毎年100万6600円(子どもが18歳の3月を迎えるまで)

・妻と子ども2人が残された場合→毎年123万1500円(同)

・子どもが1人で残された場合→毎年78万1700円(同)

となります。

(金額は毎年少しづつ変わります)。

例えば、妻と8歳の子どもが残されると、10年間は支払われますから、それだけで1000万円以上払われるわけです。会社員や公務員などで厚生年金に入っている人が亡くなった場合は、さらに遺族厚生年金も支払われます。

また、国民年金などを払っていなくても、役所に届け出て、支払い免除を受けていれば遺族年金は満額支払われます。

思ったよりも充実している制度なのです。ですから、自分の子どもなど家族にいざという時にお金を残したいと思うのであれば、遺族年金がいくら出るかを計算しておく必要があります。民間の保険のお金と、公的な遺族年金が支払われるからです。詳しくは説明が長くなるので、また別の機会でお話しします。

◆激安の掛け捨て保険でも、80歳までで266万円

冒頭で書いた、「1000万円の死亡保険が月846円(10年契約)」という某ネット生保の例に戻ります。

この保険は、40歳になると保険料が変わります。正確にいくらになるのかは10年後になってみないと分かりません。もう少し普段の言葉を使って説明すると、この保険は10年ごとに保険料が値上がりしていくのです。

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ちなみに、いま現在40歳の場合なら毎月1463円、50歳なら2686円、60歳なら4768円、70歳なら1万2438円です。これらも、それぞれ10年間の毎月の保険料です。

つまり、40歳からの10年は17万5560円、50歳からは32万2320円、60歳からは57万2160円、70歳からは149万2560円払うわけです。70歳の人が80歳になって生きていれば、掛け捨てですからお金は戻ってきません。

ちなみに、この保険料が将来もほぼ同じだとすると、30歳で毎月846円で入ったとしても、80歳までに合計266万4120円払うわけです。

今から50年後の女性は、90歳や95歳まで生きるのが当たり前になっているのではないでしょうか? ですから、入る時にどのくらいの期間の補償がほしいのかきちんと見定めてほしいのです。

30歳の女性が40歳までに亡くなる可能性はほとんどありません。

846円と聞くと安い!と思うかもしれませんが、40歳までに払う保険料が10万と少しと聞くと、もっとじっくり考えることになるかもしれませんし、子どもや夫に残そうと思って入ったとしても、80歳までに亡くならないと266万円のお金は掛け捨て。これも考えてしまいますよね。

◆長く補償が欲しいなら、高めでも保険料一定が得

それから、もし今から10年だけの補償でいいということでなく、初めから長いこと保険に入ると決めているのなら、将来にわたって保険料が変わらない場合もあります。

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画像はイメージです

上記の死亡保険の例で、例えば年金が出る65歳まで補償してくれればいいというのなら、30歳から毎月1650円払うことになり、合計金額は約69万円。

30歳の時に80歳までと契約するのなら、毎月2706円です。合計金額は162万3600円です。ここで気がつかれたかと思うのですが、10年ごとに値上がりしていくものの合計金額よりも、80歳までの保険料はずっと安くなります。

この保険はもちろん途中でやめることもできます。しかし、30歳から10年間だけ入ってやっぱりやめたとなると、毎月846円でなく2706円払ってますから、32万4720円。20年間だけ入ってやめる場合も約70万円と、3倍弱払うことになってしまいます。

ちなみに、この保険は最初から90歳までの契約にすることもできます。90歳までということであれば、30歳から毎月4471円払うことになり、合計金額は約322万円となります。

それ以上の年齢はこの某保険では入れません。90歳で契約満了となる掛け捨て保険だからです。

◆欲しい補償と、合計金額を試算しよう

20年以上前の定期預金でも金利が十分についた時代と違って、322万円払って1000万円を身内に残せるのならいいかもしれないと思うかもしれませんが、89歳で亡くならない場合は、お金が戻ってこないことを考えるとなかなか微妙に思えてしまいますよね。

生命保険に入る時には、自分が受けたい補償の期間と、その期間で払う合計金額をきちんと試算してから、さて入ろうかどうしようかと考えていただきたいです。

<文/佐藤治彦>

【佐藤治彦】

経済評論家、ジャーナリスト。1961年、東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業、東京大学社会情報研究所教育部修了。JPモルガン、チェースマンハッタン銀行ではデリバティブを担当。その後、企業コンサルタント、放送作家などを経て現職。著書に『年収300万~700万円 普通の人がケチらず貯まるお金の話』、『年収300万~700万円 普通の人が老後まで安心して暮らすためのお金の話』、『しあわせとお金の距離について』『急に仕事を失っても、1年間は困らない貯蓄術』など多数 twitter:@SatoHaruhiko

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