
海老や魚が丸ごと入った特大せんべいと、店主の公手弥さん=宮津市で2023年8月
日本三景・天橋立がある京都府宮津市文珠で、直径30センチの特大せんべいが観光客らに人気だ。エビが丸ごと入った海鮮せんべい、ウインナーなどで顔の形にデザインしたせんべい―。「天橋立の新名物に」との思いとともに、食品ロス削減の夢もあるという。
京都府与謝野町で居酒屋や焼き肉店を営む公手弥(くでわたる)さん(61)が7月に開店した「ヤジサンセンベイ」。京都丹後鉄道・天橋立駅にほど近く、店頭に並んだ顔より大きなせんべいが目印だ。
飲食店経営者、コロナ禍きっかけに開発
「新型コロナ禍で夜間の客が減る中、昼間に稼げる商売を模索していた」と公手さん。軽く、持ち帰りやすい土産物としてせんべいに着目。食材を丸ごとプレスする神奈川県の店を訪ねてアドバイスを受け、受注生産で造っているプレス機を準備。生地になる小麦粉、米粉、かたくり粉の配合、具材を入れる順番などメニューの研究を重ねた。
「海鮮スペシャル」(税込み1000円)は真ん中にエビがどんと入り、さらに地元産のアジ、イイダコ、キス、海藻のアカモクと盛りだくさん。「おべんとう」(同750円)はおにぎり、チキンナゲット、ウインナー入りで、「ラーメン」(同)は麺やチャーシューなどが入っており、発想は自由自在だ。多い日は20枚ほど売れるといい、公手さんは「秋はモミジの葉、冬はカニなど丹後の四季を味わうせんべいにしたい」と言う。
持ち込み食材もプレス 食品ロス削減へ
一方、地道に取り組みたいと考えているのが、何でもプレスできる特長を生かした持ち込み具材のせんべい。お客さんに自宅の冷蔵庫などにある食材を持ってきてもらい、店で日持ちするせんべいにするアイデアで1枚550円で始めた。公手さんは「家庭の食材が違う姿になったら面白いし、食品ロス削減につながり、SDGs(持続可能な開発目標)にもマッチするのでは。伸びしろはあると思う。楽しみながらやっていきたい」と意気込んでいる。
午前11時~午後4時、水曜・木曜休。ヤジサンセンベイ(店舗0772・47・9823、公手さん090・2709・4030)。【野上哲】
毎日新聞