子どもを「勉強嫌いにする親」と「勉強好きにする親」の決定的な違い 〈高濱正伸(花まる学習会代表)〉

子どもを「勉強嫌いにする親」と「勉強好きにする親」の決定的な違い 〈高濱正伸(花まる学習会代表)〉

  • PHPオンライン 衆知|PHP研究所
  • 更新日:2021/10/14
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勉強しようとしない子どもに対して、ついガミガミと言ってしまう――。一体、どうしたら自分から勉強してくれるようになるのか?ただ、子どもの意識を変える前に、親の意識を変える必要があるかもしれない。そう指摘するのは、『つぶさない子育て』の著者である高濱正伸氏だ。どうすれば、子どもは勉強好きになるのか?

その「ガミガミ」が子どもを勉強嫌いにする

我が子を自立した大人に育てるためには、やはり「勉強」が欠かせません。日本の教育制度は様々な問題点が指摘されていますが、それでも学校の勉強をきちんとしていれば、世の中を渡っていくうえで必要な知識の基盤ができます。将来の進路の選択肢が広がるのも確かです。

受験する・しないにかかわらず、小学生の頃からしっかり勉強しておくことが大切です。

もちろん、それはお母さん、お父さんも十分に承知しているかと思います。しかし、「我が子に勉強してもらいたいけれども、なかなか勉強してくれない…」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

私が保護者からよく相談を受けるのは、「勉強しようとしない子どもに対して、ついガミガミと言ってしまう」ということです。子どもが幼稚園や保育園の頃は、勉強しているかどうかはとやかく言わず、簡単なドリルで文字を書いたら、手放しにほめていたりしたのではないでしょうか。

しかし、小学校に入る頃になると、お母さん、お父さんは「そろそろ勉強してほしい」と思うようになるものです。「自発的に勉強する子になってほしい」と根気よく待つものの、いつまでも遊んでいるのを見ると、ガマンできなくなります。そして、小言を言ってしまうのです。

勉強していなければ、「勉強しなさい!」「ちゃんとやったの!?」。勉強し始めたとしても、正解か不正解かという観点から、あれこれ言ってしまいます。

ひらがなや漢字を書けば「とめはねをちゃんとしなさい!」
計算を間違えたら「なんでこれがわからないの!」
国語の読解問題がわからないと「ちゃんと読んでいるの!?」
などと、あれこれ指摘し始めるわけですね。

ただ、おわかりの通り、ガミガミ言ったところで、子どもは勉強をしません。それどころか、言えば言うほど心の底で勉強が嫌いになってしまいます。

小さな頃は字を書くだけでも「よく書けたね」、計算をして間違えたとしても「おしいね。でもよく考えたね」などと言われていたのに、小学生になった頃から、少し間違えただけで、怒られる。子どもはその変化に戸惑いますし、なにより、ガミガミ言われながら勉強をして楽しいはずがありません。

それがイヤで、勉強をしなくなってしまうのです。すると、勉強をしないのでますます「勉強しなさい!」とガミガミ言われるようになります。そういう悪循環になるのです。ちなみに、あれこれ言われることで嫌いになるのは、勉強に限らず、習い事についても同様です。

ピアノにしても、本来楽しく弾いていたのに「練習をちゃんとしなさい!」「なんでそこを間違えるの!」と言われるうちに、嫌いになっていきます。サッカーでも「ちゃんとボールをトラップしなさい!」、ダンスでも「またその振りつけ間違えた!」などと言われていたら、イヤになるものです。

「勉強=イヤなもの」という考えを捨てよう

子どもに勉強してもらいたいのなら、上からガミガミ言うのではなく、違うアプローチが必要です。まず4〜9歳の子どもなら、「勉強するのは楽しい」という感覚を養うことがことが先決と言えるでしょう。では、どうすれば子どもに「勉強=楽しい」と思ってもらえるようになるのでしょうか。

最初に変わるべきなのは、子どもではありません。お母さん、お父さんが意識改革をすることが不可欠です。具体的には、お母さん、お父さん自身が、「勉強=イヤなもの、つらいもの」という考えを捨てることが必要です。

そもそも、子どもは「勉強することが楽しい」と思っているものです。子どもは好奇心のかたまりですから、世の中のことを何でも知りたいと思っています。

3〜4歳になると、あれこれ教えなくても、
「なんでアリは穴をつくっているの?」
「なんで空は青いの?」
「なんで月の形は変わるの?」
といろいろ聞いてきます。勉強したくて仕方ないのです。

それにもかかわらず、子どもが勉強嫌いになるのは、たいがい親の影響なのですが、それはガミガミ言われることだけが原因ではありません。実は、親が無意識に、「勉強=イヤなもの」という前提で話すことで、勉強に対してのネガティブな印象を植えつけていることが非常に多いのです。

子どもに勉強してほしい時、このようなことを言っていませんか?
「勉強をさっさとやってしまいなさい」
「早く終わらせれば、たくさん遊べるでしょ」
「みんなやっているんだから、あなたも勉強しないとダメでしょ」

一見、何の問題もないセリフに思えますが、ちょっと考えてみてください。楽しいことに対して、このような言葉を使うでしょうか?

「早く遊びを終わらせれば、たくさん勉強ができるでしょ」
「みんなやっているんだから、あなたも遊ばないとダメでしょ」
などとは言わないはずです。

このように、無意識に発する言葉の端々に「勉強=つらくてイヤなもの」という意味が込められていることは少なくありません。それを聞き続けていると、子どもにもいつの間にか「勉強=つらくてイヤなもの」というように刷り込まれてしまうのです。

このように「勉強=つらくてイヤなもの」というイメージは、お母さん、お父さん自身も、その親から刷り込まれている可能性が高いのです。だから、子どもの時にガミガミと言われて、勉強を強要されてきた親ほど、このような言い方をしてしまいがちです。

実はこれはかなり根深い問題でもあるのです。勉強にネガティブなイメージがあるのは「勉強」という言葉そのものが良くないからではないか、と私は考えています。勉(つとめ)強いる(しいる)という強制のイメージが強いですし、そもそも「勉」という字の成り立ちは「苦しんで出産をする」から来ているそうです。

私たちも、今では「花まる学習会」と名乗っていますが、以前は「花まる勉強会」という名前でした。しかし、そのエピソードを聞いて、「花まる学習会」という名前に変えたという経緯があります。

「なぜ勉強しなければいけないの」と聞かれたら?

いずれにしても、子どもを勉強好きにするには、負のループをここで断ち切る必要があります。まずは親が「勉強=イヤなもの」という考えを捨てましょう。日々の言動を振り返り、「勉強=イヤなもの」と感じさせる発言を、「勉強=楽しいもの」と思えるように変えるのです。

お母さん、お父さんならば必ず一度は子どもに聞かれたことがある「なんで勉強しないといけないの」という質問。これに、皆さんならどう答えますか?

「勉強しないと、将来困るから」
「高校や大学に行けなくなるから」
「大学に行けないと、就職しにくくなるから」

いろいろな回答が考えられると思いますが、どれも「義務」のにおいがして、楽しい雰囲気はありません。

私がおすすめするのは「勉強とは楽しいものだから。楽しいことをしないのはもったいないでしょ」とストレートに伝えることです。勉強とは、世の中を知ることであり、人間の根本的な喜びです。

国語では言葉の成り立ちや人間の心の動きを知ることができ、理科では自然界の仕組みや、世の中を支える技術のベースを知ることができます。社会を学ぶと、日本や世界の歴史、世の中の仕組みがわかってきます。知れば知るほど、世の中が見えてきて、どんどん楽しくなります。

また、算数では難しい問題を考え抜く楽しさや、最後まで自分でやりきった時の達成感を味わえます。主体的に勉強する子どもの多くは、こうした勉強の楽しさを知っています。だから、算数オリンピックでメダルを取るような子は問題を解くのが大好きなのです。

弊社の社員にもそのような人がいます。入試問題を見つけると、仕事というより、趣味のように楽しそうに解いています。

また、歴史が好きな子どもは歴史を知る面白さを知っているからこそ、自発的に学びます。どんどん歴史を知ることで、新しい疑問が生まれてきて、その疑問を解消しようとさらに勉強する。こうして歴史の勉強がより楽しくなるのです。

このような勉強の楽しさを改めて親が理解しておけば、日々の言動も変わってくるでしょう。

子どもを勉強好きにさせるには?

さらに「勉強=楽しいもの」ということを子どもに理解してもらううえで、最も効果的なのは、親が「勉強を楽しんでいる」姿を見せることです。たとえば、子どもに本を読んでほしいなら、親が楽しそうに本を読む姿を見せましょう。難しい本でなくてもかまいません。

すると、子どもは「お母さん、お父さんは楽しそうに本を読んでいる。本を読むのって、そんなに面白いのかな」と感じ、試しに読むようになります。こうして読書の楽しさを知ると、国語も本を読むようなものだととらえて、勉強のハードルが下がります。本好きの子どもの親は、大抵の場合両親どちらかが本の虫です。

また、囲碁やパズルなど、じっくり考えるものに没頭している姿を見せるのも良いでしょう。子どもも親と同じように、囲碁やパズルをするようになります。

「考えに考えて答えを出すのはすごく面白いんだな」ということがわかると、勉強でも、考えることが必要な問題を嫌がらずに、むしろ楽しそうに取り組むようになるでしょう。そうした親の姿を通じて、子どもは勉強の面白さを学ぶのです。

勉強でなくても、「頑張っている・懸命に生きているところ」を見せるのでもかまいません。仕事を頑張っている親の姿を見れば、子どもは「頑張ることは、カッコイイことなんだ」と学びます。

逆に、最悪なのは、子どもに「勉強しなさい」と言いながら、親がテレビを見たり、スマホでゲームをしたりしていることです。そんな姿を見れば、子どもは「僕には勉強しろと言いながら、お母さんはテレビを見ているじゃないか。お母さんも勉強しなよ」と言い出します。

そんな時「子どもは勉強するものなの!大人はいいの!」などと返しがちですが、子どもはまず納得しないので注意してください。子どもは言葉より行動を見ています。

高濱正伸(花まる学習会代表)

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