なぜ日本人は「ハイブリッド車」に乗る人多い? 今や定番ジャンル... ガソリン車より高価でも支持される理由とは

なぜ日本人は「ハイブリッド車」に乗る人多い? 今や定番ジャンル... ガソリン車より高価でも支持される理由とは

  • くるまのニュース
  • 更新日:2023/09/24

日本でのHEV比率がついにガソリン車を上回る!

2022年の新車販売台数では、ハイブリッド車(HEV)の販売比率がはじめてガソリン車を上回りました。

高い燃費性能が魅力のHEVですが、ほとんどのユーザーは「車両価格の元を取れない」と言われているなかで、なぜHEVは人気を高めているのでしょうか。

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日本ではなぜハイブリッドが定番化したの?

日本自動車販売協会連合会の統計によれば、2022年の乗用車におけるハイブリッド車(HEV)の販売比率は49.0%となり、統計開始後はじめてガソリン車を上回りました。

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新車販売のおよそ半数がHEVという市場は世界でもほとんどなく、いかに日本人がHEVを好んでいるかがわかります。

ただ、HEVは同型のガソリン車に比べて10%-20%程度割高であることが多く、その差額を回収するためには相当な距離を走る必要があります。

実際にはHEVを購入したユーザーの多くが元を取れないと言われていますが、にもかかわらず、日本でこれほどまでにHEVが浸透したのにはいったいどのような理由があるのでしょうか。

もちろん、政府による補助金政策がHEVの普及に大きく貢献しました。

産油国ではない日本にとって、ガソリンの消費量が少ないクルマを普及させることは国益にかなっており、政府が積極的に支援する理由もそこにあります。

一方、HEVよりもさらに手厚い支援がされているBEVは、諸外国に比べて普及が進んでいません。

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ホンダではハイブリッド車を「e:HEV」としている

つまり、日本におけるHEV普及の背景には、補助金政策以外の要因があることがわかります。

一般的には、日本人の環境意識の高さに加え、スタート&ストップが多い日本の交通環境にHEVが適していたことなどが大きな要因とされています。

さらに、「残価設定ローン」を利用するユーザーが増えたこともHEVにとって追い風となっています。

残価設定ローンは、将来の残価を差し引いた金額が月々の支払い額のベースとなります。

HEVはガソリン車に比べて残価が高い傾向があるため、残価設定ローンを利用すると月々の支払い額がガソリン車と大きく変わらないケースが少なくありません。

月々の支払い額が変わらないのであれば、ランニングコストが低いHEVが選ばれやすくなります。

日本では「HEVしか選べない」ことも要因に? 今後はさらにその傾向強まる?

補助金政策や日本の交通環境、そして残価設定ローンを追い風に販売台数を増やしてきたHEVですが、近年ではさらに事情が変化しつつあるようです。

それが「事実上、HEVしか選べないモデル」が増えていることです。

かつては一部のモデルに限定されていたHEVですが、現在ではボディタイプを問わずさまざまなモデルに設定されています。

2022年の新車販売台数ランキングを見ると、上位10位のうち4位の「ルーミー」を除くすべてのモデルにHEV(シリーズハイブリッド)が設定されており、3位の日産「ノート」と7位のトヨタ「アクア」はハイブリッド専用車となっています。

一方で日本の乗用車市場の大部分を占めるトヨタ、ホンダ、日産のラインナップを見ると、現在新車で購入が可能な純ガソリン車&純ディーゼル車のみのモデルは限られます。

さらに、ハイブリッド車とガソリン車の両方が設定されているモデルでも、ハイブリッド車のほうが機能装備が優れているなど、商品力ではガソリン車を上回っているケースも少なくありません。

そのため、求めるモデルがガソリン車しか設定されていない場合や車両価格の安さを優先する場合、あるいはガソリン車のフィーリングを好む場合などの積極的な理由がない限り、現在ではHEVを選ぶほうが合理的という状況になりつつあります。

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日産では他社と異なるシステムを採用するハイブリッド車を「e-POWE」としている

これは、HEVが「特別なクルマ」ではなく「ふつうのクルマ」となったことを意味しています。

また、今後さらに環境規制が強化されることを考えると、HEVのラインナップはさらに増加することは確実です。

こうした背景から、少なくともBEVが主流となるまでは、HEVの優位が続くことは間違いなさそうです。

※ ※ ※

日本の新車販売台数の多くを占める軽自動車には、 モーター出力が控えめで発進などをアシストする「MHEV(マイルドハイブリッド)」を採用するケースはありますが、HEV(シリーズハイブリッド)はありません。

ガソリン車に比べて複雑な仕組みを持つHEVは、コストや使い勝手が優先される軽自動車には不向きであることなどが理由とされています。

一方、日産「サクラ」のように、軽自動車にもBEVは登場しており、今後ほかのメーカーからも追加される見込みです。

このように、軽自動車に関しては、BEVが一足飛びに主流となる可能性が高そうです。

PeacockBlue K.K. 瓜生洋明

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