「秋-春制」の採用はACLの圧倒的「東高西低」を変え得るか【アジアの「サッカーカレンダー改革」は何をもたらすのか】(1)

「秋-春制」の採用はACLの圧倒的「東高西低」を変え得るか【アジアの「サッカーカレンダー改革」は何をもたらすのか】(1)

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  • 更新日:2022/08/07
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Jリーグ勢のアジアでの戦いに変化は起きるか 撮影:中地拓也

アジアのサッカーカレンダーが大きく変わる。ACL、そしてワールドカップ予選と、フォーマットが別物に変わったと言っていい。この改革は、アジアの地殻変動につながるのか。サッカージャーナリスト・大住良之が考察する。

■世界の潮流に合わせたACLのシーズン変更

アジアサッカー連盟(AFC)は8月1日にクアラルンプール(マレーシア)で開かれた理事会で今後数年間の主要大会の日程などを決めた。

2026年にアメリカ・カナダ・メキシコの3か国共同開催で行われるワールドカップは、これまでの32チームから48チームに出場チームが増やされ、AFCに割り当てられる出場国枠も大幅に増やされる。当然、予選方式も変わる。そのフォーマットと、基本的な日程が決められた。

もうひとつの大きな変化が、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)である。ことし2月の理事会ですでに従来の「春-秋制」から「秋-春制」とすることが決まっていたが、その具体的な日程が発表されたのだ。今回は日本にとってこれからのアジアのサッカーがどう変わるか、考えてみたい。

まずはACLから。2004年以来、2月ないし3月にスタートし、11月に決勝戦が行われるというスケジューツで行われてきた。しかしことしはFIFAワールドカップが11月にカタールで開催されることで、決勝戦が来年(2023年)の2月(19日と26日のホームアンドアウェー制)となった。そしてAFCはシェイク・サルマン会長(バーレーン)が2021年11月の理事会で提案したとおり、2023年以降のACLを「秋-春制」にすることを、ことし2月の理事会で決めたのだ。

「世界の移籍ウインドー(移籍可能期間)と合わせることで、より高いレベルの選手や指導者を獲得できる機会が増え、アジアのトップクラブにとってより大きなメリットがある。同時に、クラブとナショナルチームの日程をよりバランスよく組み合わせることができる」と、AFCは説明している。

■圧倒的に東アジア優位の現在

西から東、北から南へと、他の地域連盟にない広大な地域に広がっているAFC加盟国。2002年にそれまでの大会を整理する形でスタートしたACLでは、これまでに10か国のチームが決勝戦に進出している。その内訳は、西アジアが5か国(UAE、サウジアラビア、シリア、イラン、カタール)、東南アジアが1か国(タイ)、東アジアが3か国(韓国、日本、中国)、そしてオーストラリアである。

だが過去19回大会の優勝回数内訳は、東アジアが12回(韓国6回、日本4回、中国2回)と、圧倒的な成績を誇っている。西アジアは6回(サウジアラビア4回、UAEとカタールが1回ずつ)、そしてオーストラリア1回である。

こうした「東高西低」の力関係からか、これまでのACLは東アジアの3か国のトップリーグで採用されている「春-秋制」で行われてきた。しかし東アジアの3か国以外、決勝進出の10か国では7か国が「秋-春制」を採用している。夏の暑さが厳しい西アジアはもちろん、タイもオーストラリアも、欧州の主要国と同様、年をまたぐシーズンを採用しているのだ。

ただしオーストラリアは「秋-春制」とは言えない。この国のトップリーグ(Aリーグ)は10月に開幕し、翌年の5月まで行われる。南半球のオーストラリアでは、「春から秋」なのである。

■日本への影響は?

南北に長く、雪国のクラブを多くかかえる日本のJリーグが「秋-春制」にするのは簡単ではない。しかし世界のスター選手を「独り占め」にしている欧州に対抗して少しでも良い選手を獲得するには、主要な「移籍ウインドー」を欧州に合わせるほうが有利というのが、AFCの総意となり、今回の「シーズン制変更」に至ったのだ。

では、この変更によってACLはどうなるのか。その最初の2023/24シーズンで日本のクラブが関係しそうな日程だけを見ると、プレーオフ(1試合制)は8月22日、グループステージ(全6節)は9月から12月、ラウンド16が2024年の2月に行われ、準々決勝は3月、準決勝は4月、決勝は5月となっている(【表1】参照)。

なお、ACLの2023/24シーズンにはもうひとつ大きな変化がある。外国人選手制限の大幅な緩和だ。これまで、ACLでは「3+1」のルールが適用されていた。すなわち、国籍を問わない外国人選手3人に、AFC加盟国の国籍をもつ外国人選手1人、計4人をピッチに出すことができた。しかし2023/24シーズン以降はこれが「5+1」となる。

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大住良之

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