謎の「任天堂29歳御曹司」が中堅ゼネコンに仕掛ける「大博打」に、相手は猛反発...「何が狙いなの?」

謎の「任天堂29歳御曹司」が中堅ゼネコンに仕掛ける「大博打」に、相手は猛反発...「何が狙いなの?」

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2022/06/23
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2000億円ともいわれる巨額な資産

「Yamauchi-No.10 Family Office」(ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス)(YFO)という謎の会社が注目を集めている。

中堅ゼネコンである東洋建設に対して破格の価格でTOB(株式公開買い付け)を仕掛けているからだ。だが、それ以上に注目されているのはこのYFOの代表が任天堂の御曹司だからである。

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YFOのウェブサイトより

YFOの「Yamauchi」とは任天堂の創業家である山内家。代表を務めるのは山内万丈氏という人物だ。

「任天堂を世界的な企業に育てた3代目・山内溥氏の孫です。2013年に溥氏が死去した際に、養子になっていたことがわかり、遺言書に従い資産の4分の1を相続しました。

実に2000億円にものぼるとされる巨額な資産を原資として2020年に設立した資産管理会社がYFOです。

まだ今年で30歳になるという若者ですが、今年4月には京都にある任天堂の創業跡地に豪華ホテルを開業したことでも話題になりました」(全国紙経済部記者)

同社のホームページには、「山内溥のレガシーである、『独創性』、『チャレンジ精神』、『先見性』、ユーザー目線の思考』を継承していく」と記すなど、山内溥氏を強くアピールしている。

一方の東洋建設はゼネコンとしては中堅だが、港湾など海洋土木に特化した「マリコン」と称される業界では5本の指に入る大手企業だ。政府が肝入りで進めている洋上風力発電などビジネスチャンスの拡大は一定程度あるものの、急速な成長が見込めるとは言い難い。

投資関係者は語る。

「東洋建設に対しては今年3月に準大手ゼネコンの前田建設などを傘下にもつインフロニアHDからTOBが仕掛けられましたが、YFOが介入したことで不成立に終わりました。そのときの公開買い付け価格が770円だった。

それが今回のYFOによるTOB提案では価格が1000円。この数年は株価が400〜600円の間を推移していた程度なので明らかに高すぎます。なぜYFOがここまでして東洋建設を買収したいのか不思議です」

この買収劇だが、両者の間には大きな不信感が生じているようだ。

YFOは東洋建設について「卓越した人材、技術、ノウハウを持ち、さらに飛躍できる企業であると確信している」としている。これに対して東洋建設は「企業価値向上策に関する情報開示が不十分である」と指摘。

「インサイダー情報を使った?」

また、東洋建設側は「YFOがインサイダー情報を使って株式を買い集めている」と主張している。YFOはこれに反論しているものの、YFOの最高投資責任者・村上皓亮氏は、過去に東洋建設のファイナンシャルアドバイザーとして資本政策の検討に参加をしていたのも事実だ。

また、今回のTOBは山内氏が代表を務める国内法人だけでなく、山内氏がケイマンに所有する個人投資会社も関与しており、外為法に抵触することも東洋建設は懸念している。

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東洋建設のウェブサイトより

そもそもこれは敵対的TOBなのか。YFOは敵対的であることを全面的に否定するが、東洋建設は買収防衛策を発表。これに対してYFOは「YFOのみを対象とした買収防衛策だ」と批難するなど、プレスリリースでの応酬という異常事態が続いている。

YFOは取材に対し「YFOグループ会社は首尾一貫、友好的な買収提案をしている」とした上で「株主にとって明らかにメリットがある」と主張した。

東洋建設にも取材したところ、「導入したのは『当社株式の大規模買付行為等への対応方針』であり、いわゆる買収防衛策ではない。『対等な交渉力の確保を目的としたスキーム』だ」とした上で、YFOの提示する企業価値向上策についても「具体策に欠ける」と主張。

「買われる側」の東洋建設としては、インサイダーから外為法抵触まで、次から次に出てくる疑念に対して、YFOの説明があまりにも不足していて、今のままではとても話し合いに応じられないということのようだ。疑念を払拭する説明があれば、東洋建設の態度も変わるかもしれない。

6月24日には株主総会が開かれる。YFOは東洋建設が提案する「大規模買付行為等への対応方針」の導入について「買収防衛策」として、この議決を否決するべく株主に呼びかけている。

「任天堂・山内溥の孫」の投資家としての大勝負。その結果はまもなく出る。

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