

近年スニーカーシーンで注目を集める、新しいテクノロジーを備えた高機能なモデルたち。とはいえその注目度は、ホカやオンなど、デザインと履き心地に優れたランニング系シューズに集まりがち。
キャンプや山でガシガシ使える、よりアウトドアフィールドに強いテクノロジーと洒落感を兼ね備えた「二刀流アウトドアシューズ」だって、実は負けてない。
ってことで、2023年の春夏におすすめな二刀流アウトドアスニーカーを厳選してみた。
①「濡れた路面に強い」テバの防水ハイキングシューズ

「GEOTRECCA LOW RP」2万1450円/テバ(デッカーズジャパン 0120-710-844)
世界で初めてストラップ付きのスポーツサンダルを作ったと言われるブランド「テバ」。スポーツサンダルのイメージが強い同社だが、サンダル開発で培ってきたテクノロジーを採用したスニーカーにも秀作が揃う。
なかでも、注目したいモデルが「ジオトレッカ ロー RP」だ。

濡れに強いアウトソールは再生素材が30%使用されている。
なによりこのシューズの特徴はサンダル同様、アウトソールの濡れに対する絶対的な強さ。
濡れた路面でも非常に優れたグリップ力を発揮するソールは、「スパイダーラバー」と名づけられるほどの粘っこさを誇る。その信頼度の高さは、リバーガイドのニーズが生んだサンダルからスタートした同社ならではの強みだろう。

防水仕様だが通気性も高く、これからの時期も快適な履き心地。
ハイキングシューズとして人気の同シリーズの機能性はそのままに、より日常使いしやすいローカット仕様にした今年の新作モデルで、軽量でクッション性の高いソールも、ボリューミーな見た目やポップな色使いも、まさに昨今のトレンドど真ん中。
さらには、通気性と防水性を兼ね備えた素材を採用し、雨から雪にまで対応する「全天候型ハイキングシューズ」に仕上がっている。
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② 日本の老舗ブランドならではの、渋い発想とバランス感

「Free Trek」2万3100円/キャラバン 03-3944-2331
日本生まれの登山靴ブランド「キャラバン」が展開する「CRV(シーアールブイ)」シリーズにも注目したい。
1954年の創業以来、職人気質な登山靴を作り続けてきた同社が、よりアーバンシーンにも対応できる新たなシリーズとして、2022年度からスタートしたのがCRVである。
「フリートレック」は、その名の通り、シーンやフィールドを選ばず自由に歩き回るための性能を備えたモデルだ。

アウトソールだけを見ると、まさに登山靴!
一見スニーカーライクな見た目だが、このシューズの特徴は裏返して見るとよくわかる。
ソールには、本格的な登山靴にも使われるヴィブラムのLITE BASE「メガグリップコンパウンド」を採用。軽量かつグリップ力の高いアウトソールに仕上げ、そこにゴアテックスメンブレンを使った防水仕様のアッパーを組み合わせている。
しっかり登山靴仕様のスニーカーなのだ。

つま先のトゥガードはデザイン的なポイントにも。
擦れやすいつま先周りには耐久性の高いトゥガードを配したり、シューレースを引くと足全体を包むようにフィット感を出せたりと、細かなディテールまで抜かりがない。
街にも馴染むライトな雰囲気と、登山靴のようにフィールドをガシガシ歩ける高い機能性を持ち合わせたハイブリッドな一足である。
③ よりアーバンな雰囲気を持った注目作

「Cross Gen」1万9800円/キャラバン 03-3944-2331
同じくCRVシリーズで、よりアーバン寄りな雰囲気を求めるなら、「クロスジェン」が選択肢だろう。
柔軟性とクッション性に優れるミッドソールと幅広のアウトソールの組み合わせが、街使いによく馴染むフォルムを作り出し、シュータンに配されたロゴ入りテープは、モードな雰囲気さえ漂わせる。
しかし、こちらもフリートレック同様、アウトドアでガンガン履ける高い機能性も併せ持っていることをお忘れなく。

こちらも信頼と実績のヴィブラムソール採用モデル。

ミッドソールのシャンクは見た目以上にしっかり系。
アウトソールは、トレイルでも優れたグリップ力を発揮するヴィブラムのメガグリップを採用。ミッドソールを曲げようとしてみるとよくわかるが、見た目以上にシャンク(芯材)ががっちりしているので、岩や荒れたトレイルでも足元がブレずに安定し、歩行をサポートしてくれる。

登山靴ブランドらしいディテールと洒落たカラーリングが見事にマッチ。
つま先までシューレースが入ったデザインは、登山靴やアプローチシューズによく見られるもの。デザイン面のアクセントになるだけでなく、足先までしっかりとフィット感を高めることができる機能面での役割も兼ねている。
アーバンな見た目だが、キャラバンらしい登山靴のマインドを受け継ぐモデルと言えるだろう。
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④ ホカ独自のフォルムの理由は、トレイルでこそ体感できる

「CLIFTON L GTX」2万6400円/HOKA(デッカーズジャパン 0120-710-844)
すっかり街履きとして人気のホカから1足選ぶなら、悪天時のフィールドでも機能する「クリフトン エルGTX」はどうだろう。
実はコイツも、アウトドアシューズとしてかなり優秀。同社を代表するランニングシューズ「クリフトンシリーズ」をベースに、ゴアテックスの防水性能を加えることで、よりフィールドでの使い勝手を向上させたモデルである。

真横から見るとホカらしさがよくわかる。
分厚いEVAミッドソールとメタロッカージオメトリー(ソールの前後が反った形状)の見た目の奇抜さにばかり目がいってしまうが、この組み合わせの実力のほどはフィールドで履いてこそ体感することができる。
アップダウンが繰り返される荒れたトレイルでは、快適なクッション性の高さや独特な形状が体重移動を自然に促してくれることを実感できるはずだ。

片足で約300g(実測値)。
片足で約300g(27cm。実測値)と純粋なトレランシューズほどの軽さはないが、実際に歩いてみると数字以上に軽快な履き心地に驚かされるだろう。
⑤ 相反する要素を、サロモンが高い次元で両立

「CROSS HIKE2 GORE-TEX」2万3100円/サロモン(サロモンコールセンター 03-6631-0837)
最後に紹介するのは、近年セレクトショップでも積極的に展開されているブランド「サロモン」のハイキングシューズ。
トレランシューズも人気のブランドだが、ここではより使えるフィールドが広い「クロスハイク2 GORE-TEX」をピックアップしてみよう。

ステッチがないシームレスな設計。
このモデルの特徴は、軽さとプロテクションという相反する要素をバランス良く搭載している点にある。
ステッチをなくしたことで水の侵入を抑え、グローブのようにしなやかに足を包み込む構造のアッパーはゴアテックスメンブレンを採用。
ソールには密着性の高い素材を使い、ラグ形状はかなり深め。柔らかい泥や起伏のあるトレイルでも、強力なグリップ力とホールド感を発揮してくれる。

全方向に効きそうな形状なしっかり深めのラグ。
トレランシューズのような軽さと、前衛ブランドのランウェイルックのような雰囲気満点の洒落たデザインにも関わらず、過酷な気象条件下でもバリバリ使える実力派。
ローカットの展開もあるが、これからの雨が多い時期には濡れを気にせず、街でもショートブーツのように使うことができるミッドカットをおすすめしたい。
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ご覧いただいた以外にも、着用シーンやフィールドを選ばない二刀流アウトドアシューズは年々増加傾向にある。大谷さんよろしく、街用とシューズを分けて考える必要がない時代が、やってきているのかもしれない。
OCEANS編集部