間違いなしの神配信映画『Seaspiracy:偽りのサステイナブル漁業』Netflix

間違いなしの神配信映画『Seaspiracy:偽りのサステイナブル漁業』Netflix

  • シネマトゥデイ
  • 更新日:2021/05/01

今観たいドキュメンタリー6選

配信映画は、いまやオスカーほか賞レースの常連にもなっており世界中から注目されている。この記事では数多くの配信映画から、質の良いおススメ作品を独自の視点でセレクト。今回は“社会の今”を映したドキュメンタリー6選として、全6作品、毎日1作品のレビューをお送りする。

知れば知るほど怖くなる海の生態系破壊と商業漁業の関係

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Netflix映画『Seaspiracy:偽りのサステイナブル漁業』独占配信中

Seaspiracy:偽りのサステイナブル漁業

上映時間:89分

監督:アリ・タブリジ

出演:アリ・タブリジ、カラム・ロバーツシルビア・アールほか

かねてから環境問題に強い関心を示すレオナルド・ディカプリオがエグゼクティブプロデューサーを務めた『Cowspiracy:サステイナビリティ(持続可能性)の秘密』(2014)で、共同監督・共同製作ほかを手掛けたキップ・アンデルセン。約7年の歳月を経て、今回はプロデューサーとして新たに製作したのが『Seaspiracy:偽りのサステイナブル漁業』である。配信直後から世界中で賛否両論を巻き起こしている注目のドキュメンタリーだ。

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Netflix映画『Seaspiracy:偽りのサステイナブル漁業』独占配信中 - Courtesy of Ali Tabrizi

人々の営みがクジラや魚などの海洋生物に与える影響を掘り下げ、そこから芋づる式に露見する世界の漁業の裏側に迫る本作は、カメラの先の被写体に淡々と向き合うタイプのドキュメンタリーとは真逆だ。「Sea(海)」と「Conspiracy(陰謀)」を組み合わせた不吉なタイトルが臭わせる通り、イルカの血で赤く染まる海や、打ち棄てられた大量の魚の死体の映像などと共に、「現在のペースで漁業を続けたら2048年までに世界の漁業資源が枯渇する」などというインパクトのあるデータが矢継ぎ早に示される。

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Netflix映画『Seaspiracy:偽りのサステイナブル漁業』独占配信中 - Courtesy of Sea Shepherd

本編が始まってすぐに、以前別のドキュメンタリー作品でもその伝統的なイルカ漁が取り上げられた和歌山県太地町が登場したので、実は捕鯨反対を一方的に主張するだけの映画かと少し身構えたのだが、現地を訪れた本作の監督アリ・タブリジは、そこから次々と浮かび上がる不都合な真実を求めて、世界各地へと足を運んでいく。その過程で例えば、海の環境に優しい製品に与えられる「サステイナブル・シーフード」認証が、実は単なる手数料ビジネスであることを指摘したり、環境団体の癒着や労働搾取の問題など、現代の漁業をめぐる闇に次々とフォーカスしていく。

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Netflix映画『Seaspiracy:偽りのサステイナブル漁業』独占配信中 - Courtesy of Netflix (C)2021

その最も重要なトピックの一つとして議論されているのが、資源である自然の回復能力を超えた過剰な利用を背景にした漁業におけるサステイナビリティ(持続可能性)だ。観る側をあおるように示される衝撃的なデータの数々は、今後われわれのスーパーに並ぶ魚を見る目を少し変わるかもしれないものもある。そして観ているそばから「では、どうしたら良いのか?」と自問させるような強い説得力を、この作品は持っていると感じた。

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Netflix映画『Seaspiracy:偽りのサステイナブル漁業』独占配信中

「もうシーフードを食べるのを完全に止める」といった海外のレビューも見られ、アメリカの映画評論サイト「ロッテントマト」では88%の満足度(4月21日現在)のオーディエンススコアを出すなど、高い評価を受けている。一方で批判もある。例えばその制作スタイルをめぐって、米ニューヨーク・タイムズ紙は「大げさで安っぽい」と評しているし、英BBCや英ガーディアン紙も作中で提示されるデータの正確性に疑問を呈している。

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Netflix映画『Seaspiracy:偽りのサステイナブル漁業』独占配信中 - Courtesy of Netflix (C)2021

世の中を批判的に描く作品に向かい風は付き物であるが、筆者も本作を観ながら情報をきちんと取捨選択することの大切さを深く実感した。提示されるデータの正しさだけでなく、作中でインタビューを受ける人々の専門性や中立性など、本作は「批判的思考」を受け手に求める映画だ。ドキュメンタリーというジャンルは客観的事実のみを描くものと思われがちだが、あくまでも人の手が入ったものであり、その裏には必ず作り手の主観が隠れている。

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Netflix映画『Seaspiracy:偽りのサステイナブル漁業』独占配信中 - Courtesy of Sea Shepherd

こういった社会的要素の強いドキュメンタリーとなればそれはなおさらだ。解決法ひとつ取っても、単に漁業を世界から排除したところで、漁業を生業にしているたくさんの人たちの生活はどうなるのかといったことは、残念ながらこの映画ではあまり議論されていない。そういう意味では、メッセージがやや一方的であることは否めない。とはいえ、地球の環境破壊は今も進行中であり、それに対して一人一人が何かをしなければならないのは確かである。その事実に改めて強く気づかされるという点で、本作を観ることの意義は大きい。

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Netflix映画『Seaspiracy:偽りのサステイナブル漁業』独占配信中

世界中のあちこちの海を訪れ、漁業をめぐる数々の不都合な真実を目の当たりにした監督は、最終的にはこの大きな問題に対してどんな結論を出すのだろうか? そして映画を観た方たちは、世界の漁業に対して何を感じるだろうか? さまざまな分野で「サステイナビリティ」が模索される今日、日本人にとって、この映画で論じられている話は決して他人事ではないことを、改めて実感させられる意欲作だ。(文・田近昌也、編集協力・今祥枝)

Netflix映画『Seaspiracy:偽りのサステイナブル漁業』独占配信中

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