中国コスメ「パーフェクトダイアリー」、強さの秘密と顧客戦略

中国コスメ「パーフェクトダイアリー」、強さの秘密と顧客戦略

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2021/10/15
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中国ECクチコミランキングで急上昇した国産コスメブランド「PERFECT DIARY(完美日記)」。グローバルな経営感覚をもつ創業者たちによる巧みなマーケット戦略を、上海在住のコスメジャーナリストがひもとく。

4億人も中国にはメイク人口がいるのに、2010年代後半までの人気コスメといえば韓国、イギリス、フランス、日本、アメリカのブランドが中心で、中国製品はリストアップされなかった。

17年に創業した「パーフェクトダイアリー」は、「中国には美容を愛する人が多くいる」ことに着目した。共同創業者は、FMCG(日用消費財)のP&G、海外留学やファッション業界で経験を積んだ3人の男性。世界のトップサプライヤーの協力のもと、誰もが手軽に「美」を体現できるコスメブランドを目指した。

それまでの中国にない「高品質」で「クリエイティブ」かつ「驚き、喜ぶような」メイクアップ商品の開発をモットーにスター商品を次々と生み出し、『Harpers BAZAAR』や『ELLE』などのファッション業界で名誉ある賞を受賞。19年11月11日、ECで一斉セールが行われる「W11」の売り上げは、国内ブランドとしてコスメ部門初の1位に。翌年のW11では一日のブランド累計売上高が6億元(約100億円)を超え、2年連続でコスメ部門の1位を獲得した。

私はこの快挙を耳にして、これまで「国産化粧品は粗悪」と口にしていた中国人女性たちの心理に「いったいどんな変化が起こったのか?」と考えた。しかし、これは意識の変化ではなく、単に年代の問題だと気づいた。

国産化粧品に先入観を抱くのは40代以上。Z世代の若者は、日常的にライブ配信やショートムービーなどでさまざまな情報に触れ、国際的なトレンドに敏感で幅広い視野をもつ人が増えている。彼女たちが、キャッチーでおしゃれ、プチプラ(お手頃価格)がうれしい「パーフェクトダイアリー」を支持しないわけがない。メイクがさらに楽しくなるのだから。

データマーケティングの活用で知られるパーフェクトダイアリーの側でも、オンラインの消費者インサイトに基づき、いま最も人気のある形や色、触感を素早くキャッチ。Z世代の美的傾向とニーズを分析して需要の変化とタイムリーに連動させた製品を開発し、ライブコマースの背後にある巨大なマーケットを日々開拓している。

例えば、ディスカバリーチャンネルとコラボレーションした「エクスプローラ12色アイシャドウパレット」は、野生動物の瞳からインスパイア。3000円以下という価格競争力もさることながら、創造性と個性の追求にいそしむ若者たちから熱狂的に受け入れられた。

一方、周迅がイメージキャラクターの「サテンルージュスリムリップスティック」の開発では、パッケージには女性に自信を与えるピンヒールのイメージを採用。「ベルベット質感なのに乾燥しない」という従来の常識に反する効果を生み出すため、76のサンプルを作成。100以上の色を選定し、3000回以上の唇へのトライアルを実施した。スピード重視の中国にあって、1年以上の時間を費やした渾身の商品をつくり上げた。

パーフェクトダイアリーの親会社「逸仙電商(YATSEN)」は、世界最大手の化粧品OEM企業「COSMAX」(韓国)と合同で、アジア最大級の生産拠点を設立するという(22年から稼働予定)。これにより「パーフェクトダイアリー」は国境を超えて影響力をもち、強力な製品開発力を備えたビューティーブランドへ成長していくことになるだろう。

中国にはW11以外にも「W12(12月12日)」と「618(6月18日)」がある。いずれもイベント当日にECでセール商品を購入するだけでなく、何週間も前から連日連夜で予約販売のライブ配信が行われ品定めするのが慣習だ。

「15分で1万5000本の口紅を売る」といわれる「口紅王子」こと李佳奇の「618」ライブ配信は、5月24日18時にスタート、翌0時過ぎの時点で閲覧数は累計1億819万人、「いいね」の数は1億1556万回と、日本の人口ほどの人数が彼のライブ配信に出向いて買い物した計算になる。このお祭り騒ぎにKOL(キーオピニオンリーダー)の分母の大きさと影響力をあらためて実感した。

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ECだけでなく、顧客とリアルな店舗で接点をもつことに力を入れるパーフェクトダイアリー。ワクチン接種も進んでコロナ禍がすでに過去にも感じられる中国では、買い物を楽しむ多くの若者の姿がある

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