論告3時間半、殺人事件「新証言」軸に関与主張 弁護側「でたらめ」

論告3時間半、殺人事件「新証言」軸に関与主張 弁護側「でたらめ」

  • 西日本新聞
  • 更新日:2021/01/15
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市民襲撃4事件に関与したとして、殺人などの罪に問われた特定危険指定暴力団工藤会トップで総裁の野村悟(74)と、ナンバー2で会長の田上不美夫(64)の両被告が全面無罪を主張する中、検察側は間接的な証拠を積み上げて指揮命令系統を立証しようとした。ハードルが最も高いといえる元漁協組合長が射殺された事件では、検察側は福岡県警による「壊滅作戦」開始後に得た新証言を軸に主張を組み立て、全国で初めてとみられる指定暴力団トップへの極刑を求めた。両被告の弁護側は公判終了後、「証拠が無いでたらめな立証だ」と強く批判した。

「量刑を決する上で中心になるのは、犯情が最も重い元組合長事件」。14日、約3時間半に及んだ論告求刑公判。検察側は、唯一の殺人事件である元組合長事件に約1時間を割き、こう事件を位置付けた。

元組合長事件は23年前に起きた上、2002年に田上被告は今回と同じ容疑で逮捕されたが不起訴になっている。事件で検察側が立証の柱としたのは、元組合長の長男の証言だった。

長男は、事件の約6年前、元組合長とともに両被告と会食したと証言。その場で田上被告は、元組合長に「(長男と)懇意にさせてもらっていいですか」と交際を要求してきたという。

1996年3月に北九州市が総事業費約1千億円の港湾事業を発表すると、工藤会側の圧力は増した。長男は事件の約1年前から少なくとも3回、組員から利権を求める働き掛けがあったと説明した。「大きな仕事が始まる。おまえと元組合長らがターゲットだ。分かっているな」。犯行をほのめかす言葉もあった。

長男は要求を拒否し続け、元組合長は射殺された。その約3カ月後、長男が知人からの電話を取ると、田上被告が出て「(元組合長の弟と)よく話し合い、連絡して」と言われたという。長男は会話の内容を手帳に詳細に書き込んでいた。

こうした新証言などを基に検察側は、野村被告らが事件前から利権介入を目的に元組合長や長男に積極的に接近し、拒否されると「不満を募らせ、圧力を強めていった」との構図を組み立てた。元組合長事件の16年後には長男の息子である歯科医師を襲撃したことにも触れ、利権獲得への執念深さを浮かび上がらせた。

かつては捜査機関への不信感から証言を拒む場面もあった長男。今回の公判では「両被告が逮捕され、捜査機関も本気と思った。知っていることは全て話そうと思った」と述べた。

一方、約2カ月後に最終弁論を控える弁護側。検察側の論告求刑について、野村被告の弁護側は「証拠に基づかない事実と異なる内容ばかりだ」。田上被告の弁護側も「検察側の論理はでたらめだ」と批判した。

判決は夏以降になるとみられる。地検幹部は「トップを処罰してこそ一般社会の安心安全が実現される。適正な判決をもらえるよう公判を進める」と語った。

西日本新聞

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