虎のソナタ 「見つけた!」鏡の中のノムさん 門田さん理想のフォーム、凡退しベンチで眺めることが楽しみに

虎のソナタ 「見つけた!」鏡の中のノムさん 門田さん理想のフォーム、凡退しベンチで眺めることが楽しみに

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  • 更新日:2023/01/25
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歴代2位の657本塁打を誇る野村克也さん(左)。同3位の門田さんとは真逆で「ヒットの延長がホームラン」と説いた

夕刻、衝撃の一報が飛び込んできた。門田博光さん死去-。大阪・難波の編集局は騒然となった。

今から10年以上前に門田さんを取材した。私のことなんて覚えていないだろうなぁと思いながら指定された喫茶店で待っていると…

「なんや、おまえさんか。懐かしい顔やな。あの頃は、俺に意地悪されてたよな。全くしゃべってもらえず、困ったやろ」

その通りだった。南海がダイエーに身売り、チームは九州へ行った。が、不惑の大砲・門田さんは九州へは行かず、オリックス移籍の道を選んだ。連日、マスコミは群がる。寡黙な門田さんはさらに口を閉ざした。めったにしゃべってもらえない。それでも、デスクの指示で食らいつく。

必死に取材するピヨピヨ記者の姿を、実は覚えてくれていたのだ。一気に話は弾んだ。

若き日。誰を手本にしていいか、悩み、探し続けた時期があったことを明かしてくれた。同じチームには野村克也という日本を代表する打者がいた。でも、右打ちだから左打ちの門田さんは手本にできなかった。

巨人・長嶋茂雄も右打ちだからダメ。王貞治は左打ち。でも、一本足打法はあまりに特殊すぎて論外。張本勲の打法も独特だから、切り捨てた。

どこかに、自分が目指す理想の打撃フォームをしている選手はいないものか。ある日、本拠地・大阪球場で凡退し、ベンチに下がって、洗面所で手を洗っていた。その時、目の前の鏡の中に、追い求めていた打撃フォームが映っていた。

「見つけた!」

叫んだそうだ。その打者は、打席に立つ野村克也。鏡の中では左右がひっくり返る。左打ちの野村こそが、探し求めていた〝打者〟だったのだ。

「それ以降、ヒットを打って塁に出るより、凡退するほうがうれしくなってなぁ。大急ぎでベンチに戻って、ずっと次打者・ノムさんを鏡を通して眺めていたよ」

黙って聞きながら、プロフェッショナルの極みのような話に感激した。究極の世界に踏み入れた打者の言葉は、1つ1つが重く、楽しく、面白く、そして感動させてもらった。

野村監督から「ヒットの延長がホームラン」と教え込まれていたから、あえてその話を持ち出すと、「まだ、そんなことを言ってるみたいやな。ホームランの打ち損じがヒットや」と断じていた。取材の際のワクワク度は、記者生活でも屈指のひとときだった。

偉大な野球人に少しでも接することができたことは貴重だ。今のタテジマからも、こんなすごい選手が出てきてほしい。育ってほしい。そう願わずにはいられない。

昨日からの大寒波襲来。日本列島は冷蔵庫の中のように冷え込んだ。偶然にも本日1月25日は「日本最低気温の日」だとか。1902年のこの日、北海道旭川市でマイナス41・0度を記録。公式的には、100年以上破られていない最低記録。今では記念日になってしまっている。

現場を駆け回ったトラ番たちから「寒い」「寒い」の声が殺到してきた。でも、マイナス41度に比べたら、どうってことない。大寒波の中、選手たちは頑張っている。未来の門田博光になるかもしれない。しっかり取材しておけよ。

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