廃棄物カフェやコミュニティー冷蔵庫で食品ロス削減 英国でのユニーク発想

廃棄物カフェやコミュニティー冷蔵庫で食品ロス削減 英国でのユニーク発想

  • 日本食糧新聞電子版
  • 更新日:2020/09/14

英国の食品ロス・廃棄量問題は深刻である。2019年、英国の食品廃棄量は約950万トンを記録し、うち70%が再利用できる状態で捨てられていた(Wrap調査)。国連が掲げるグローバルな17の持続可能な開発目標(SDGs)を達成すべく、英国は本格的に食品ロス・廃棄量削減に取り組み始めている。今回は、ユニークな発想で注目されている「廃棄物カフェ」と「コミュニティー冷蔵庫」を紹介する。

値段は食後に客が決めるカフェ

2013年、英国のリーズに食品廃棄物のみで作った料理をサービスする「リアル・ジャンクフード・カフェ(Real Junk Food Café)」が登場した。食後の勘定は、客が決める(Pay as you feel)。サービスに一銭の価値もないと感じたら、支払わなくてもいいのだ。

カフェの運営はボランティアが行っている。中には自治体から表彰を受けるほど質の高い店舗もある。優れた業績により、運営に協力する企業や個人が年々増えている。

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サイズや色が悪くて廃棄されるリンゴ(筆者撮影)

カフェのメニューは、調達できる材料が毎日異なるため、日替わりメニューとなる。ジャンクフード・カフェとはいえども、リンゴのタルト・タ・タンやバナナブレッド(スープ付き)といった高級レストラン風のメニューを楽しむことができる。

設立者のアダム・スミス氏は、廃棄物専門のスーパーマーケットも設立し、廃棄物の大量収集・配送を専門に行う「ソーシャル・スーパーマーケット」もオープンした。スーパーマーケットから食品廃棄物を収集後、再利用を目的とするこのプロジェクトは「リアル・ジャンクフード・プロジェクト」と呼ばれる。現在、世界7ヵ国に127店舗のカフェと10店舗の「ソーシャル・スーパーマーケット」を持ち、過去5年間に約5000トンの食品廃棄物の再利用に成功している。

最近、英国では廃棄物利用の結婚式「食品廃棄物ウェディング」も人気を呼ぶなどリアル・ジャンクフード・プロジェクトの需要はますます高まる一方だ。今後も彼らの活動から目が離せない。

コミュニティーが冷蔵庫を共有 無料で持ち帰りOK

英国では「コミュニティーフリッジ(冷蔵庫)」なるものが増えている。これは環境保全団体「Hubbub Foundation(ハバブ財団)」と食品大手企業が実施しているプロジェクトである。現在、80を数える冷蔵庫プロジェクトが活動。今後も増やす予定だ。

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コミュニティー冷蔵庫の入口(写真提供:Hubbub)

食品は、企業と個人を合わせた20以上のドナーから収集される。これには、大手スーパーマーケット・チェーンのSainsbury’s(セインズベリーズ)、 Morrison’s(モリソンズ)、Tesco(テスコ)、Marks&Spencer(マークス&スペンサー)などの有名ブランドが含まれている。コミュニティー冷蔵庫の95%を占める食品は、大手ブランドから調達される。利用者は、コミュニティー冷蔵庫の食品を無料で持ち帰りできるシステムとなっている。

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コミュニティー冷蔵庫で働くスタッフ(写真提供:Hubbub)

Hubbubによると、2018年から2019年の1年間で約78万kgの食品を再供給し、6万2000人の訪問客数を記録している。プロジェクトのアピールポイントは、環境保護に貢献するだけではなく、コミュニティーにおける信頼と一体感を高める役割も果たすことだ。一人暮らしの高齢者にも社交の場として人気がある。

コミュニティー冷蔵庫がコミュニティーセンターや教会などに設置されているため、冷蔵庫を囲んだイベントがひんぱんに実施されている。例えば、レシピ交換やワークショップ、プラスティック削減促進のためのワックスラップ作り、洋服交換や調理器具の共有などが人気である。

マスコミにもよく登場する冷蔵庫プロジェクト。食品ロス・廃棄量削減を推進し、社交と教育の機会を多くの人々に提供している点が高く評価されている。(フードライター ラッド順子)

参照サイト:
Food surplus and waste in the UK –key facts WRAP(英語、PDF)

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