「エリート化に逆行する変更」に聞こえてこない議論【改革へと動き出したJリーグ】(2)

「エリート化に逆行する変更」に聞こえてこない議論【改革へと動き出したJリーグ】(2)

  • サッカー批評Web
  • 更新日:2023/01/26
No image

新方式のルヴァンカップでは、カテゴリーを越えた対戦が見られる可能性がある 撮影:原悦生(SONY α9Ⅱ使用)

2023年シーズン、Jリーグは改革へと動き出す。各クラブ、さらには日本サッカーの将来を大きく左右し得る変化がもたらされるのだ。だが、その明確な理由や是非については、まだ議論になっていない。Jリーグの進むべき道について、サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。

■日本代表を押し上げた育成組織

かつて、Jリーグが経営危機に見舞われた頃には「クラブ数をあまり増やすべきではない」という意見も強かった。「チーム名を覚えきれない」とか「エリート化してレベルアップすべき」というのが理由だった。

だが、クラブ数の拡大は日本サッカーのレベルアップにつながった。

つまり、プロ野球(NPB)は純粋にプロ・スポーツの興行を行うための組織であり、選手は高校や大学の運動部からリクルートされてくる。それに対し、Jリーグはプロの興行を行うと同時に育成を目的とした組織でもあるのだ。30年前の発足時から、Jリーグ・クラブには育成組織の保有が義務付けられていた。

全国にJリーグ・クラブの育成組織が存在しているからこそ、隠れた津々浦々のタレントを発掘できるのだ。従って、Jリーグ・クラブは全都道府県に存在するのが理想だとも言える。

実際、30年前に「サッカー後進地域」と言われていた地域も含め、今では41の都道府県にJリーグ・クラブが存在し、さらにJFLなど下部リーグのクラブもJリーグ・クラブに範をとった育成組織を保有している。

そうした育成組織を通じて優秀な若手選手が育ち、彼らがヨーロッパに渡って成長することによって、日本代表はワールドカップで2大会連続でラウンド16に進出するまで強化されたのだ。

■「20x3」による変更点

Jリーグ・クラブは、60にまで増えたクラブを20チームずつ3つのリーグに再編することを決めた。

2023年まではJ1リーグは18チーム、J2リーグは22チームとチーム数が異なっていた(J3は、降格なしでJFLからの昇格チームを迎え入れていたので、毎年、参加クラブ数は増加してきた)。

日本代表の活動期間にJ1リーグは中断するが、J2リーグは中断がないから、チーム数が多くてもJ1リーグより早くレギュラーシーズンを終了して昇格プレーオフを行うことができていた。

しかし、来年からはJ1リーグもJ2リーグも同じ20チームで争われることになった。今後はJ2リーグ以下のクラブもリーグカップ(YBCルヴァンカップ)に参加することになったので、代表の活動期間にはJ2リーグも中断することになるのだろうか?

■かつての流れへの逆行

そもそも、「J1リーグはチーム数を縮小することによって、選りすぐったチームだけの“エリート・リーグ”にすべきだ」という意見がいつの時代にも根強くあった。そのような視点から言えば、J1リーグの拡大は“エリート化”に逆行した変更だということになる。

「なぜ、来年からJ1とJ2のクラブ数を同じにするのか」について、Jリーグからは今のところ明確な説明はないようだ。

しかし、同時に「反対論」もあまり聞こえてこない。J1リーグとJ2リーグを同数化することについては、もう少し議論があってもよいのではないだろうか?

いま一番読まれている記事を読む

後藤健生

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加