
アストンマーチンのフェルナンド・アロンソは、F1の予選システムは時代遅れなモノになっていると考えており、1台ずつがアタックするシステムがベストだと語った。
現在のノックアウト方式の予選では、ドライバー達は互いにアタックに向けて前車とのスペースを確保するために、アタックラップへ入る前のコース終盤でペースを落とすことがある。これによってコース終盤では特に渋滞が発生することも多く、その結果としてアタックに入れないドライバーが生まれるといった問題にも繋がっている。
そういった渋滞対策として、通常は予選時のインラップとアウトラップには最大ラップタイムが設定されており、ドライバーはこのタイムを遵守するよう求められている。
ただシンガポールGP予選ではドライバー側から最大ラップタイムの条項を削除するように要望があり、それが認められた。彼らはコースには十分なスペースがあり、最大ラップタイムがタイヤの準備に悪影響を及ぼす可能性があると考えていたのだ。
しかし実際に予選が始まると、タイム計測に向けたポジション争いは依然として残り、アタック妨害による審議なども発生した。
アロンソは2006年から導入された現在のQ1、Q2、Q3に分かれるノックアウト方式の予選が、今では目的通り機能していないと考えている。
「コントロールするのは難しいと思う。FIAが何をしていても、僕らはそのルールを乗りこなす方法を見つけることだろう」とアロンソは言う。
「彼らは、ストリートサーキットのトラフィックの管理という、とても難しい仕事をしているんだ」
そう語るアロンソだが、彼は以前採用されていた、1台ずつアタックする”スーパーポール”方式が唯一の解決策だと主張している。
「僕は何度も言ってきたけど、唯一の解決策は、シングルラップの予選だ」
「他の方策を試すこともできるけど、上手くいかないだろう」
「僕は今の予選形式は時代遅れだと思う。20~30年前から同じ(アロンソの発言ママ)だけど、マシンは同じじゃないんだ」
「今はハイブリッドエンジンを搭載していて、(バッテリーを)チャージする必要があるし、タイヤを冷やす必要がある。だから1周アタックの方式こそ、前進するための唯一の方法なんだ」
F1では2003年〜2005年にかけてこのスーパーポール方式が予選で採用されたものの、セッションに時間がかかること、コンディション変化が与える影響が大きかったことなどを理由に現在のノックアウト方式に切り替えられた。
なおランド・ノリス(マクラーレン)は、シンガポールGPでの予選ラップタイムの規則変更にドライバーが取り組んだ背景には、これが前戦イタリアGPを想定して設けられた規則だったことが関係していると話した。
「当初、この規則が設けられた目的には、特にモンツァでの接近速度の差を制限することにあった」とノリスは言う。
「規則の理由について、彼らはトラフィックや追い抜きを制御するためではなく、時速300kmで最終コーナーに向かっているときに、時速10kmで走っているドライバーをどうにかするためだったと話していたよ」
「安全上の問題ではなく、自分のポジションを見つけようとして走っているだけだ。これが嫌なら、5分前にコースへ出てやればいいんだ」
「僕は正しい判断だったと思う。皆にとって良いものだった」
Matt Kew