ハグだけで男性と6時間過ごした女性も...「女性用風俗」がひそかに人気 なぜ?

ハグだけで男性と6時間過ごした女性も...「女性用風俗」がひそかに人気 なぜ?

  • オトナンサー
  • 更新日:2022/05/14
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男性とデートを楽しむなど、さまざまな目的で「女性用風俗」を利用する女性が増加

人気俳優の松坂桃李さんの主演映画「娼年(しょうねん)」などで題材となった女性用風俗(略称:女風)――。昨今、この女性用風俗が国内でひそかに活況を呈しています。かつて、女性用風俗の従事者の男性は「男娼(だんしょう)」と呼ばれていましたが、現代では「セラピスト」と名前を変えて「癒やし」のイメージを前面に打ち出すようになりました。

【画像】女性用風俗はなぜ人気に? 客層はどう変わった?

背景にある「女性の生きづらさ」

女性用風俗で行われるサービスも、そんな癒やしが入り口になっています。まず、利用者とセラピストがホテルなどに入り、お互いにシャワーを浴びた後、もみほぐしから入ります。そしてリラックスした状態で口や手などを使った性的なサービスに移行するという流れをたどるのが一般的です。

また、有名インフルエンサーがYouTubeで女性用風俗の店舗とコラボしたり、セラピストたちがSNSのDM(ダイレクトメール)を通じて事前に利用者と交流できるサービスを提供したりするなど、利用者との距離が近くなったことも、人気の要因でしょう。

10年前に女性用風俗に携わっていた男性は「女性用風俗は、かつては有閑マダム(生活に余裕があり、暇の多い女性)のような、一部の限られた人たちが利用するものでした。しかし、今では女子大学生や専業主婦のような、いわゆる一般の人たちが新たな客層になっています」と言います。店舗数が増え、低価格化が進んだことから、かつては考えられなかった一般の女性たちが、利用者となっているのです。

そんな女性たちの利用方法はさまざまです。ある女性はデートプランでイケメンのセラピストと街中デートを楽しみましたが、別の女性はハグだけでセラピストと6時間過ごしました。

利用者の女性たちに女性用風俗の利用動機を聞いてみると、決して単なる性欲の解消ばかりではありません。むしろ女性たちの「性」を巡る生きづらさに理由があることも少なくないのです。

例えば、涼子さん(仮名・30代)は、男性と性経験がなく、処女であることに長年悩んでいました。聞くと涼子さんは、かつて同級生たちから容姿を巡っていじめられた経験があったそうです。そんなつらい経験をしたこともあり、自らの容姿に長年コンプレックスを抱いていたといいます。そのため異性に対して積極的になれずにいました。

ある日、涼子さんは「女性用風俗で自己肯定感が上がった」という体験を描いた漫画を目にしました。そこで、女性用風俗の利用を決意したのです。

女性用風俗を通じて、涼子さんは、初めて生身の男性の体に触れました。その体験を通じて、涼子さんの心と体に大きな変化が起こったそうです。涼子さんは、これまで異性との性的な行為を、自分には関係ない遠い世界のことだと思っていたそうです。しかし、女性用風俗を通じて男性と接したことで、初めて恋愛や性的な行為を身近に感じられるようになったのです。そして、「自分自身のコンプレックスとようやく向き合えるようになった」と言います。

「ルッキズム(外見至上主義)」という言葉が、昨今取りざたされるようになりましたが、容姿に対する誹謗(ひぼう)中傷によって生涯にわたって苦しめられ、人生をがんじがらめにされることもあります。筆者自身、容姿に関していじめられた過去があるため、涼子さんが自分に自信が持てなかったという気持ちが痛いほどに分かります。そんな人の痛みに対して、私たちの社会はもっと敏感になるべきでしょう。

専業主婦だった幸子さん(仮名・50代)も、やむにやまれぬ切実な動機で女性用風俗を利用した一人です。

幸子さんは、結婚当初から夫の浮気やモラハラに悩まされていました。しかし、子どもが大きくなるまでは何とか結婚生活を維持しなければと思い、そのはざまで日々心が壊れそうな日々を送っていました。しかし、矛盾だらけの結婚生活を維持し続けることは、苦しみに満ちています。そんな結婚生活から逃れるため、つかの間の「癒やし」や「快楽」を求めて、幸子さんは女性用風俗を利用することにしました。「刹那的な快楽によってその瞬間だけは、つらくて苦しい家庭生活を全て忘れたい」と思ったのが一番の動機だったのです。

女性用風俗のセラピストは、性的なサービスにおいては確かにプロフェッショナルでした。幸子さんは初めて受けたセラピストの女性を喜ばせるテクニックに驚いたそうです。そこから、女性用風俗の世界にのめり込んでいきました。幸子さんは、同じセラピストを指名し、そのたびに「ぶっ飛ぶような」性的な快楽を得ることができました。しかし家に帰ると、また夫との地獄のような日常が待っているのです。そのため結婚生活がつらくなると、幸子さんは度々セラピストとの逢瀬(おうせ)を繰り返して、結婚生活を乗り切ったそうです。

結局、幸子さんは子どもが成人して巣立った後に夫と離婚しました。それと同時につき物が取れたかのように、女性用風俗も利用しなくなったそうです。涼子さんは結婚前に取った資格を生かし、現在は独り立ちしています。

育児や結婚生活などは、すぐに放り出すことができるものではありません。だからこそ、「一瞬の逃避先」を女性用風俗に求める気持ちが幸子さんに生まれるのも当然だと言えます。そしてそんな逃げ場さえもなくなれば、とてもつらい状態に陥っていたかもしれない、ということも――。

女性用風俗の需要が増えている一因には、涼子さんや幸子さんのように、現代社会における女性たちの生と性を巡る「生きづらさ」と結び付いていることも多いと感じます。性はまさに生でもあり、その人の実存や尊厳と深く関わっています。

女性用風俗の人気の背景には、そんな実存に根差した女性たちが抱える切実な動機が横たわっており、ある種の救いという役割を担っている一面もあるのではないでしょうか。

ノンフィクションライター 菅野久美子

菅野久美子(かんの・くみこ)

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