途上国と先進国を比較して見えたリアリティ

途上国と先進国を比較して見えたリアリティ

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  • 更新日:2023/09/20

「なぜわざわざベトナムへ?」と言われ、考え始めたこと

私はこれまで3年ほどシンガポールに住んでて、1ヶ月半前にハノイに移住しました。

始めにベトナムに移住しようと決めた時に、友人たちからは「なぜわざわざベトナムへ?」という質問を何度も聞かれました。

実は、私も今年(2023年)の2月に初めてハノイを訪ねるまでは、同じことを思っていたうちの一人でした。ある程度、ベトナムや東南アジアの発展途上国を知っていれば、肯定的な反応が返ってくるでしょう。

別に上記は否定的な反応ではなく、ベトナムで生活することのイメージが湧かなく、好き好んで行く理由がわからないからでしょう。

私自身は海外に7年ほど住んでいましたが、ベトナムが初の発展途上国でした。それ以前は、日本人にとって先進国以外住むのはキツイだろうと考えていました。

多くの人は、表面上では発展途上と先進国の違いは理解しているはずです。最近、東南アジアの経済成長はすごいなどのニュースは目にした人が多いと思いますが、生活レベルのイメージは見えにくいでしょう。

また、実際に暮らしぶりなどミクロなところやマーケットなどマクロな点でのあまり違いは知られていないでしょう。統計上はわからないが、体感的にそのようにも思えます(そもそも両方に該当する国に住んだ経験がある人が少なそう)。

今回は、いくつかのテーマをもとに発展途上と先進国の違いを見ていきます。発展途上国の事例はベトナムのハノイで、先進国はシンガポールとしています。
* 「発展途上と先進国のマクロな視点」でもとに見ると、一部各都市の特異性が含まれている点は、予めご了承ください

1.交通整備

東南アジアと聞くと渋滞が深刻化しているイメージがあります。実際にタイのバンコク、インドネシアのジャカルタやハノイはその一部です。例えば、ハノイではラッシュアワー時は、バイクで道が混雑しています。

ただ、それ以外の時間帯や中心部から外れるとほぼそのような渋滞はなく、スムーズな交通が可能です。

インフラにおいては、ハノイにはMRT(電車)がありますが、まだほとんどのレーンが開発中です。ハノイの国際便が走るノイバイ国際空港までのMRTも現在開発中ですが、現時点では空港とシティを繋ぐMRTはないです。

一方で、シンガポールは日本以上に車の台数を制限しているので、渋滞がおこりにくいです。ただ、シンガポールにおける車への課税は東南アジアで最も高く、ある程度のお金を持っていないと車を持つことすら難しいのが現実です。

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ほぼ主要なエリアにおいてMRTは整備されていて、バスやMRTにおいてほぼ遅れず時間通りです。今後はさらにカトン(Katong)など人気のエリアにも建設予定です。

余談ですがカトンには、オシャレな店や落ち着いた雰囲気であり欧米人の在住者が多いエリアです。イーストコート公園いうビーチ沿いの海岸にも近く、シンガポール旅行にはオススメのところです。

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つまり、シンガポール国内のどこに行くにも、MRTやバスでアクセスができるということです。公共交通機関を使用するなら、現時点では圧倒的に先進国が便利で時間に正確です。

しかし、現在ハノイではMRTを含むインフラの開発が急ピッチで行われているため、今後この渋滞やMRTの利便性も高まっていくでしょう。海外に長く住んでみたく、マーケットや街の変化を楽しめる方であれば、その点で途上国の方が面白みがある気がします。

2.街並みや外観

基本的にシンガポールとベトナムでは、街並みはキレイで見応えがあります。特にハノイは湖がキレイで、夜景を楽しめる場所が多いのが特徴です。

大きな違いはハノイの路地は舗道されていないところがあったり、道にゴミがあるなど汚れていることです。

また、歩道と車道はあるものの、信号が青でも気をつけて渡らないと危険な点です。シンガポールなど先進国ほど、交通ルールが浸透していないからです。

例えば、信号が青でも歩行者がいなら平気でバイクが横断すること、渋滞時に前に進めないためバイクが歩道を徐行するなどです。

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慣れれば大したことないですが、初めはけっこう怖いはずです、、

3.コミュニケーションのスタイル

シンガポールのコミュニケーションスタイルはフォーマルで日本に近く、ビジネスマナーのレベルが高いです。英語のレベルは東南アジアで一番高く、特に若い人のほとんどが英語を話せます。

補足ですが、初めての海外なら日本人にとって、シンガポールの方が文化的や習慣が近いため、馴染みやすいはずです。

一方でベトナムはもっとフレンドリーで、知らない人でも話しかける文化があります。街の雰囲気もどちらかというとゆるくて、気さくな国民性です。ベトナムの南部と北部でも文化や言語は違いますが、あくまで一般的な傾向として。

また、日本に留学や技能実習生として行かれる人が多く、親日化の率が高めな点が特徴です。ベトナムの日本語学習者も多いため、日本語が通じるベトナム人も一定数います。

国際交流基金の公開している「2021年度 海外日本語教育機関調査(https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/result/dl/survey2021/s_east_asia.pdf)」によると、ベトナムにおける日本語を勉強している人は16万9582人

2022年末時点での在日外国人の総数(1)中国 76万1563人(+4万4957人)(2)ベトナム 48万9312人(+5万6378人)(3)韓国  41万1312人(+1457人)*カッコ内は対昨年の増減数

私のベトナム滞在歴(旅行を含め)は計2ヶ月ほどですが、すでに5人ほどの日本語が流暢なベトナム人と遭遇しました。

日本語を勉強しているということは、少なくとも日本に関心があることが大半です。なので、あまりベトナム語が話せなくても、ネットワークの広げ方はあることは在住を検討している方にとってはメリットでしょう。

難点としては、(非英語圏で)ベトナムは英語は通じにくいことです。

ただ、このベトナム移住者における増加の流れから、日本の大学の第二外国語でよりベトナム語を取り入れる流れが来てもおかしくなさそうです。

4.マーケット

両国とも経済成長率は高いけど、特にベトナムはまだこれから発展する国です。ミクロの視点ではベトナムに行くと東南アジアらしい熱気や活気を感じられ、マクロな点は経済成長が凄まじいなどと言われています。

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実際に住んでみて見えた関連の事例としては下記などです。

1.ショッピングモールに行くと頻繁に現在建設中の店舗の張り紙がある2.ショッピングモール自体改装中になってる3.(まだまだ日本よりは低いけれど)年々給料が上がっている4. 地銀における普通預金の金利が最大7%ほど

4の補足で、シンガポールの銀行における金利も最大7%ほどですが、要件が圧倒的にベトナムの方がかんたんです。

シンガポールは現地で給料を発生させる必要(従業員もしくは自分の会社から)があり、最低預金では大体1億円ほど(SGD$ 1,000,000)が要ります。ベトナムでは、(資金量ではなく)1年単位の普通預金をするだけで、上記の金利が発生します。

2021年に教育(EdTech)産業が公開した「ベトナム 教育(EdTech)産業 調査(https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/02/2021/db6cdef49e854b9a/202101.pdf)」によると、2020年でのベトナムの平均年齢は31歳で人口は約9,730万人ともうすぐ1億人に到達する勢いです。その中で15~59歳の占める割合は65%で、特に25~29歳が最も多い点に成長性がありそうです。

正直、ベトナムの日本の生活とはギャップがあるけど、若い人ほど面白みのあるマーケットだと感じました。

ベトナムにみならず、途上国ではこれからの成長率を踏まえたか、時間の経過と共に街やマーケットの変化が見られる点も面白みがあります。

今回の例であるシンガポールとベトナムのどちらがオススメかを決めるのは難しいです。ただ、お互いの暮らしやマーケットの違いを理解すれば、イメージがしやすく考えやすくなるのではと思います。

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上田一輝|Ueda Ikki

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これまでシンガポールとオーストラリアに移住して、現在はハノイ在住。東南アジアのマーケット情報をメインに書いています。

上田一輝|Ueda Ikki

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