ただの値上げじゃない!? パナソニックの「価格改定」と家電量販業界の「商慣習」

ただの値上げじゃない!? パナソニックの「価格改定」と家電量販業界の「商慣習」

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  • 更新日:2022/08/06

【家電コンサルのお得な話・89】 主に白物家電を中心に家電製品の値上げが行われている。4月以降、日立GLSやバルミューダなどをはじめ、アイリスオーヤマも6月出荷分から多くの自社製品の値上げをしている。そして8月からはパナソニックが順次値上げする予定である。だが、パナソニックの価格改定は単なる値上げではなく、家電量販業界の「本部商談」の在り方を大きく変えるだろう。

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8月からパナソニックも順次値上げする

家電の買い物がつまらなくなる

パナソニックのホームページによると、価格改定率は約3~23%増(8月度 価格改定分で記載)である。対象カテゴリーは8月の冷蔵庫、食器洗い乾燥機などをはじめ、9月以降は電子レンジや炊飯器、ドライヤーといった白物家電のほか、ブルーレイ・ディスクレコーダーやポータブルテレビなどが予定されている(図参照)。このパナソニックの価格改定は、家電量販業界で話題になっている「メーカー指定価格」と相まって、家電量販業界の「本部商談」の在り方を大きく変えるだろう。今までは「買い取り」が基本であり、各家電量販企業は自由な値付けを行えたため、時間の経過とともにプライスダウンさせ、自社の販売台数を増加させることもできた。このプライスダウンの原資は「販売奨励金」と称するメーカーからのリベートであることが多い。メーカーからすれば「商談を重ねるたびに金が要る」といった状況になっていたわけだ。それが今後は委託販売になり、返品が可能になる代わりに、メーカーの「指定価格」で販売しなければならない。消費者から見れば、今までは「新発売時の初回売価と処分間際の売価では2~3割安くなっていた」のが、「製品のライフサイクル期間中、ほとんど値動きがなくなる」ため、「お買い得感」といった買い物の醍醐味が得られなくなる。いつ行っても同じ価格だから、家電製品の買い物がつまらなくなってしまいかねない。また、家電量販企業にとって「販売奨励金がなくなり、指定価格で販売」となれば、企業規模の違いによるスケールメリットが活かせないため、パナソニックを販売するメリットは得られにくくなる。このことから普通に考えれば、パナソニックの今回のような価格改定の仕組みと従来の本部商談の仕組みが混在している間の販売は、「他メーカー推し」になるだろう。あるいは、実際の消費者の反応(客数・成約数など)に加え、在庫負担がないメリットを検証するまで、家電量販企業も手探りの状態が続くのではないだろうか。各家電量販企業は間もなく決算セールに入っていくが、パナソニックと他メーカーの店頭訴求を比較することで、家電量販企業が推す「お買い得商品」を発見できる可能性は高い。消費者は、販売員には同等機種の比較説明を求め、価格を検討することが、決算セールを上手く利用することにつながるだろう。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)■Profile堀田泰希1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。

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