宮野真守&水樹奈々、大規模会場でのライブ成功の秘密は? 「足し算の美学」とも言えるエンタメ要素満載のステージ

宮野真守&水樹奈々、大規模会場でのライブ成功の秘密は? 「足し算の美学」とも言えるエンタメ要素満載のステージ

  • Real Sound
  • 更新日:2023/01/25
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2023年1月21日・22日の2日間にかけて、声優・シンガーとして活躍する水樹奈々のライブ公演『NANA MIZUKI LIVE HEROES 2023』がさいたまスーパーアリーナにて開催された。

水樹が声優というフィールドから飛び出し、日本中にその名を轟かせるようになって10年以上。声優業・歌手業に影を落とす苦々しいコロナ禍でもなお、彼女は第一線で活躍を続けている。

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彼女が所属するレーベル・KING AMUSEMENT CREATIVEにはもう一人、宮野真守という存在がいることも忘れてはいけない。

アニメシーンの盛り上がりと共に、明るいキャラクターとエンターテインメントに対する求道精神がうかがい知れるマルチな才能で2000年代後半から存在感を放ち始めると、声優業だけでなくシンガーとして大きな人気を獲得。ここ数年では実写ドラマに俳優として起用されることも増えてきた。

そんな2人の活動で大きなウェイトを占めているのは、声優業・ラジオなどのパーソナリティ業・舞台などの俳優業、加えて毎年のように開催される音楽ライブ、アーティスト業であろう。

■声優シーンのなかでも抜きんでたライブ公演数・会場選び

宮野が最初にワンマンライブをスタートさせたのは2009年4月。『MAMORU MIYANO 1st LIVE TOUR 2009~BREAKING!~』ではなんばHatch、Shibuya O-EAST(現:Spotify O-EAST)、横浜BLITZの3公演を開催した。収容人数は1300人から2000人ほどだが、初ツアーとしては大きな会場と言えるだろう。ライブ活動における期待値の高さを感じさせる。

その後2013年に日本武道館で初単独公演を行うと、翌年以降はアリーナレベルの会場でもライブ公演を成功させていった。さいたまスーパーアリーナや、横浜アリーナのほか、地方のホール会場でのライブもこなしており、声優という枠組みを飛び越え、シンガーとしてのライブ活動も充実している。

一方水樹のライブ活動に関しては、日本国内で活動するさまざまなアーティストと比較しても飛び抜けた部分がある。

2000年に自身の20歳を祝うアニバーサリーライブを開催したのを皮切りに、20年に渡って音楽ライブを開催してきた。横浜アリーナ・東京ドーム・阪神甲子園球場での公演は「声優として初めて」である。

特にさいたまスーパーアリーナは彼女がこれまでにもっともライブ公演を開催している会場でもあり、2022年7月6日にリリースした『DELIGHTED REVIVER』のアルバムジャケットのロケ地に選ばれるほどに縁深い場所でもある。

日本武道館にてひと月で7度公演を行った『NANA MIZUKI LIVE GATE 2018』といったライブツアーも成功させ、2010年代にはあらゆるホール~アリーナレベルの会場を制覇していったように感じられる。

■ライブに仕掛ける「てんこ盛りなエンタメ要素」

宮野・水樹の両名ともライブに何かしらのテーマ性を持たせてタイトルが冠されることがある通り、その内容をかなり作り込んでいるパターンが多い。

宮野のライブでは、例えば『MAMORU MIYANO ARENA LIVE TOUR 2022~ENTERTAINING!~』では、中盤にこれまで宮野のライブで登場してきた数々の映像が流れ始める。そして「宮野真守は次の一手を悩んでいる」というナレーションとともに、宮野と、これまでの幕間映像にも出演している俳優・声優の髙木俊による漫才がスタート。“豪華客船で起こる事件”をネタにした漫才でひとしきり会場を笑わせると、宮野の「行こう!」の合図と共に、自身の楽曲「行こう!」へと移っていったのが印象的だった。

「音楽ライブの途中で、いきなり漫才が始まる」という宮野のエンターテインメント性やキャラクターがあってこその急展開。彼を長く応援するファンならば一気に盛り上がり、彼のライブを初めて観たひとはあっけに取られるかもしれない。博打のようでもあるが、『ENTERTAINING!』と冠されたライブタイトル・狙い・バリューで足を運んでくれたファンを楽しませようという野心すら感じられる。

漫才パート以外にも、宮野のライブでは随所にポップ&カラフルなミュージカル的展開が持ち込まれることが多い。その様はシアトリカルという言葉がしっくりくる。

一方、水樹といえば、アニメ作品のタイアップの有無に関わらず、楽曲の中で時として壮大な世界観が描かれることがあり、その世界観に引っ張られるかのように遠大・極大な言葉がライブタイトルに冠されることがある。

筆者がまず思い浮かべるのは、数年前に公開されたYouTube再生リスト「NANA MIZUKI LIVE 乗り物編」だ。

テレビ出演時に時折話題に上るのが、“水樹奈々のライブではおかしな乗り物が登場しがち!”というネタだ。気球・戦闘機・機関車・ホウキ・ロボットなどなど、観客を驚かす狙いがあるとはいえ、こうして単体でアップされた動画を見ると「それはやりすぎだろ!?」とついツッコんでしまう。

■限られた公演数だからこその「足し算の美学」

大規模会場で公演ができるというのは、決して多くのアーティストに与えられた機会ではない。しかも声優業を行いながらのライブ活動ということもあり、限られた公演数の中でチャンスに恵まれたとあれば、彼らのライブは誠実に音楽を表現するだけではなく、数多くの工夫を仕掛け「観客に爪痕を残したい」「楽しみにやってきたファン達の期待値を超えるエンターテインメントを届けよう」という一心で生まれた産物なのが容易に想像できる。

2人のライブはダイナミックで、そして見るものに鮮烈な印象を残す。それは2人に通底する、「引き算の美学」ならぬ「足し算の美学」があるからだろう。音楽のライブとしてだけではなく、演劇的なショータイムをも見据えたシアトリカルな公演として楽しめるはずだ。(草野虹)

草野虹

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