白鵬、全勝優勝の裏で露呈した“衰え”と「相撲界全体より自分優先」主義...八百長相撲の真相

白鵬、全勝優勝の裏で露呈した“衰え”と「相撲界全体より自分優先」主義...八百長相撲の真相

  • Business Journal
  • 更新日:2021/07/21
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白鵬(「gettyimages」より)

大相撲名古屋場所で、大横綱・白鵬が7場所ぶりの優勝を遂げた。しかも15戦全勝。通常なら拍手喝采となる復活劇だが、好角家からは「横綱にふさわしくない取組」との声も出ている。

そこで、好角家である筆者が、スポーツ紙で大相撲を取材している記者2人に質問をぶつけた。白鵬の「なりふりかまわず勝ちにいく姿勢」は、長年相撲を観ている人たちにどのように伝わったのだろうか(なお、スポーツ紙勤務の好角家2人に「本音」を聞くため、ここでは匿名とさせていただきました。相撲取材がしにくくなることを防ぐためです)。

白鵬が露呈した“自分優先”主義

――相撲を愛するファンとして、今場所の白鵬の相撲は「歴代の日本人横綱とは違うな」と感じましたが、佐藤さん(仮名)はいかがですか?

「私も、明らかに違うと感じました。これまでも、強い横綱は嫌われてきましたよね。たとえば、北の湖は倒した相手に手を貸さず、インタビューも不愛想でした。先代の大関・貴ノ花という存在がいたため、格好のヒール役でしたが、『自分が負けることで相撲ファンが喜ぶ、ひいては相撲界が盛り上がる』ことをわかっており、何が何でも勝つという意識は、白鵬ほどではなかったように感じます」

――相撲を観始めて半世紀の吉田さん(仮名)はどうです?

「この15日間、気分が悪かったよ。相撲とは、いい意味であやふやな世界なんだよ。スポーツであり、伝統芸能でもある。優先すべきは、とにかくファンを喜ばせること。それでなくても、コロナで世の中が苦しんでいるでしょ。ひとつの楽しみとして、自分が負けてファンが喜ぶなら……と考えるのも大事なんだ。しかし、白鵬にはそれがない。とにかく自分優先、自分主義だな」

――今場所は、いつにもまして張り手やエルボー(かちあげ)を多用していました。

「エルボーは、当たりどころが悪いと対戦相手は脳震盪を起こします。そこまでしないと勝てない、と白鵬も感じていたのでしょう。14日目の正代戦も、四つに組んだら分が悪いので、あんなに離れた仕切りをしたわけです」(佐藤さん)

「相撲は立ち合いが重要でね、横綱が相手より一瞬遅れて立つ=いわゆる“後の先”をして、初めて格下力士との力の差が縮まり、いい相撲になる。それが客を喜ばせる秘訣なんだ。負けそうで勝つ、というのが横綱の究極の姿でもあるんだが、白鵬はとにかく勝負にこだわった。逆に言えば、それだけ衰えているともいえる。まともに立ったら、照ノ富士には勝てないとわかっていたんだよ」(吉田さん)

――吉田さんは、白鵬とお付き合いがあるそうですね。

「顔見知りという程度だけどね。パーティ会場では、どんな人にもニコニコしているよ。そういう意味では頭がいいよね。とにかく自分優先。相撲界全体のことより自分だよ」(吉田さん)

「朝青龍もそうでしたが、モンゴル人力士にはそういう気質があるように感じますね。モンゴル出身初の関取である旭鷲山も、先輩力士なんか関係ないという人物でした。唯一、日本人に似ているのが鶴竜じゃないですか」(佐藤さん)

「彼は人がいいよね。あるとき、エレベーターで一緒になったら『何階ですか?』って聞かれて。天下の横綱がエレベーターボーイ。恐縮したよ(笑)」(吉田さん)

白鵬のエルボーは相撲ではなくプロレス

――ひと昔前の相撲界と異なるのは、八百長や片八百長が消えたことです。メールで星のやりとりをした証拠が見つかって以降、八百長はすっかり見なくなりましたね。

「僕が小さい頃、千秋楽で7勝7敗の力士が13人いて、12人が勝ちました。負けた1人は、対戦相手も7勝7敗で、つまり両力士とも勝ち越しのかかった一番だったんです。単純に計算して、これはとてつもない確率です。それが今は、7勝7敗の関取も平気で負けます。もうひとつ、栃ノ心や高安など元大関が2人も3人もいることも、昔は考えられなかった。“大関互助会”で星を回し合っていましたからね。つまり、今は八百長はほとんどなくなっていますね」(佐藤さん)

「相撲協会は“無気力相撲”と言うけどね。それはさておき、昔は優勝決定戦でも片八百長があったよな。同じ部屋の関取同士の決定戦とかさ。その意味で、白鵬対照ノ富士は超のつく真剣勝負だった。白鵬の相撲については賛否両論あるけど、ルールの範囲内だから一概にダメとは言えない。でもな、観客の大半は妙な取り口に冷めてしまった。観客を喜ばせるなら、ああいう相撲はダメなんだ」(吉田さん)

――張り手はまだしも、エルボーはえげつないですもんね。

「あれはプロレスだよ。観客が冷めちゃう。相撲を芸能と考えたとき、途中で観客が引くことはあっても、最後は大団円で終わるのが興行の本筋だ。けれど、白鵬はそんなこと微塵も思っていない」(吉田さん)

「相撲協会は完全な実力社会ですよね。優勝回数で他の追随を許さない白鵬に文句を言える人間はいないんです。だからこそ、白鵬が好きにやれてしまいます」(佐藤さん)

「ライバルもいないしな。北の湖には輪島、貴乃花には曙、朝青龍には白鵬がいた。この状況は一人天下にはならない。しかし、今は白鵬の一人天下。これじゃダメだよ。来場所、照ノ富士の逆襲に期待したいね。やりたい放題の白鵬に引導を渡すことを期待したいよ」(吉田さん)

(文=井山良介/フリーライター)

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