ポケモンコラボ、最新の音楽施設、進化を続ける都市・横浜に注目すべき理由

ポケモンコラボ、最新の音楽施設、進化を続ける都市・横浜に注目すべき理由

  • @DIME
  • 更新日:2023/11/21

ここ数年、相鉄・東急の直結やみなとみらいエリアのロープウェイ開業など、横浜の進化が著しい。イベント会場ぴあアリーナMMの開業も記憶に新しいなか、今年9月、横浜みなとみらいに約2万人収容の音楽施設「Kアリーナ横浜」が開業。また、横浜西口エリアを見守ってきたダイエー跡地にはイオンモール「CeeU Yokohama」が12月15日のグランドオープンを控えている。そんな横浜の進化の変遷を振り返るとともに、横浜市担当者に、横浜の都市開発の展望について聞いた。

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ポケモンと官民連携で横浜を盛り上げる

横浜といえば、今年8月に「ポケモンワールドチャンピオンシップス(WCS)2023 横浜みなとみらいイベント」が開催されるなど街をあげてポケモンとのコラボに力を入れている印象が強いが、その縁の始まりは2014年にさかのぼるという。

「2014年に株式会社ポケモン様からみなとみらいにおける大規模イベント『ピカチュウ大量発生チュウ!』開催のご提案をいただいて以降、公民連携によりデザインマンホール『ポケふた』の設置、アジア初の開催となった『Pokémon Go Fest 2019 Yokohama』など、横浜のにぎわい創出と世界に向けた魅力発信に取り組んできました。

また、令和4年度からは、ポケモン・ウィズ・ユー財団と協定を締結し、市内小学校でのICT教育や未就学児への防災学習支援、こども食堂の支援、環境教育など、次世代育成に向けた取組を行っています」(横浜市担当者、以下同)

ポケモンワールドチャンピオンシップス(以下ポケモンWCS)は、世界各国の予選を勝ち抜いた選手たちが一堂に会する、年に一度のポケモンバトルの世界大会である。2020、2021年は新型コロナの影響で中止となり、2022年はイギリス・ロンドンで開催。2023年、記念すべき日本初、さらにアジア初開催の地として横浜が選ばれた。ポケモンWCSは8月11〜13日までパシフィコ横浜で開催され、その周辺イベントとして「ポケモンWCS 2023 横浜みなとみらいイベント」が8月8〜14日にかけて催されたかたちだ。その反響はどれほどのものだったのか。

「ポケモンWCS 2023横浜みなとみらいイベントは、約230万人もの方々が国内外からご来場され、街に大きなにぎわいが生まれました。本イベントを通じて、ポケモンはもちろん、横浜の魅力も広く世界に発信することができました。横浜市としては、こうした経験を活かし、今後も様々な大規模集客イベントを積極的に誘致したいと考えています。そして、来街者の市内への宿泊や回遊促進を図り、更なるにぎわいを創出して、市内経済の活性化に繋げていきたいと考えています」

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ピカチュウと、横浜市に寄附された4基のポケモンマンホール「ポケふた」。
(C)Pokémon. (C)Nintendo / Creatures Inc. / GAME FREAK inc.
ポケットモンスター・ポケモン・Pokémonは任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です。

「ポケふた」はもともとJR桜木町駅前広場に設置されていたが、ポケモンWCS 2023の開催に合わせて、臨港パーク・日本丸メモリアルパーク・赤レンガパーク・横浜マリンタワーの4カ所に新設され、こちらにもイベントとの相乗効果で多くの人が訪れたそうだ。

「ポケモンWCS 2023開催期間中は100名を超える方がポケふたの前に並ばれて写真撮影をされており、その列が途切れないような盛況ぶりでした。ポケモンWCS 2023終了後も道行く方々がポケふたを巡って写真撮影をされており、街の回遊や賑わい創出につながっていると感じています」

観光・エンターテイメントを軸とした街づくりを推進

横浜にある大規模イベント会場といえば、国内最大級の7万2000人超の収容人数を誇る「日産スタジアム」(港北区)、横浜DeNAベイスターズの本拠地「横浜スタジアム」(中区)、「横アリ」の愛称で親しまれる多目的ホール「横浜アリーナ」(港北区)などが挙げられる。

みなとみらいエリアに目を向けてみると、ポケモンWCS 2023開催地であるパシフィコ横浜の「パシフィコ横浜 国立大ホール」、オーケストラ公演などが行われる「横浜みなとみらいホール」といった、収容人数数千人規模のコンサートホールが軒を連ねる。

さらに2020年3月にはZeppとコーエーテクモゲームスとの共同計画により建てられたライブハウス型ホール「KT Zepp Yokohama」、7月には1万人規模のイベント会場「ぴあアリーナMM」がオープン。そして今年9月、横浜出身のアーティスト・ゆずによるこけら落とし公演とともにオープンした「Kアリーナ横浜」は、客席数2万席で世界最大級の音楽に特化したアリーナとなっている。これら3施設が新たにみなとみらいエリアに加わったことで、ライブやイベントついでの会場周辺地での回遊がより期待できるようになった。

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2023年9月29日、みなとみらいに開業した音楽施設「Kアリーナ横浜」。(出典:写真AC)

「Kアリーナ横浜が位置する街区及びその周辺(みなとみらい21地区60・61・62街区)は、みなとみらい21地区の中心部と横浜駅の両方に近接したエリアであり、横浜の都心臨海部における象徴的な開発を誘導する必要がある重要なエリアです。(※Kアリーナ横浜は60・61街区)

このため、横浜市では、都心臨海部の目指すべき将来像を示した『横浜市都心臨海部再生マスタープラン』や、サウンディング調査における複数の企業様からのご意見・ご提案を受け、平成27年2月に『みなとみらい21地区 60・61・62街区 街づくり方針』を策定しました。同方針では、『観光・エンターテイメントを軸とした街づくり』を進めることとしており、以降、この方針に則って開発事業者の公募を行い、街づくりを進めています。

Kアリーナ横浜は、同方針に基づく公募により提案・整備されたものですが、地区内には、ぴあアリーナMMなど、公募以外で整備された施設もあり、多様なジャンル・規模の音楽・ライブ施設が集積しています。ソフト政策としては、Kアリーナ横浜など音楽関係の施設が多く集積していることで、公演をきっかけに初めて横浜を訪れるなど、国内外から多くの来館者が見込まれ、市の魅力を発信する絶好の機会となります。

横浜市としては、公演主催者、商業施設・観光施設等と連携し、街への回遊キャンペーンの展開等を積極的に進めることで、にぎわいの創出はもとより、市民参加や次世代育成の推進など、横浜ならではの“音楽の街”の魅力を発信していきたいと考えています」

オフィスや商業施設の開発も続々と進む

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2023年7月にグランドオープンした地上28階、地下1階建て、高さ145.82mの超高層ビル「横浜コネクトスクエア」。(出典:「横浜コネクトスクエア」公式サイト)

横浜といえばオフィスが多いイメージがあるが、企業誘致にさらに力を入れていくのだろうか。

「人口減少社会が訪れるなか、国内外から横浜へ人、企業、投資を呼び込み、雇用の創出と生産年齢人口の増加、市内企業への発注やイノベーション創出による市内経済の活性化、これらに伴う市税収入の増加など、横浜経済の持続的な成長・発展を目的に、今後も企業誘致を推進していきます」

みなとみらい21地区は、今年で事業着工から40周年を迎えるが、ここ数年は、地区の内陸側及び横浜駅側のエリアを中心に開発が加速しており、地区の約96%の開発が完了したという。ここからさらにどういった街づくりを目指していくのか。

「バブル崩壊などの影響により、開発が進まない時期もありましたが、積極的な誘致活動による上場企業の本社立地や、2010年代以降の研究開発拠点や音楽施設といった様々な施設の集積により、多彩な魅力を持つ地区に成長しました。

まちづくりは、開発段階から運営段階という次のステージに進んでおり、今後は公共空間における賑わいの創出や来街者の回遊を促す取り組み、地区全体で環境対策や地域防災力の強化に関するに取り組み、新たなビジネス機会を創出する取り組みなどを行うことで、新たな魅力の創出と地区のブランド力の強化を図っていきます」

一方、横浜駅西口エリアの開発はどうなっているだろう。2009年に「エキサイトよこはま22計画」が策定され、まちづくり関係者と横浜市が連携・協働して街づくりに取組んできた結果、2020年にJR横浜タワー・JR横浜鶴屋町ビルがグランドオープン、2022年に中央西口駅前広場の屋根が完成し、主に西口駅前の開発が進んでいった。

「2023年12月にはパルナード通りに商業施設『CeeU Yokohama』がグランドオープン、2024年3月には、横浜駅きた西口鶴屋地区第一種市街地再開発事業の『THE YOKOHAMA FRONT/ザ ヨコハマ フロント』が竣工する予定となっており、駅前から駅周辺の地域へ波及する開発が進んでいます。今後の西口のまちづくりについては、まちづくり関係者の皆様からご意見をいただきながら、駅前と駅周辺を連携させながら進める、横浜の玄関口にふさわしいまちづくりの検討をしていきたいと考えております」

ちなみに“日本のサグラダファミリア”の異名をもつ横浜駅だが、現在は、きた西口において、屋根設置を含めた駅前広場整備を行っており、中央西口においては今後、舗装整備を行っていく予定となっているそうだ。

2027年、横浜初の万博「GREEN×EXPO2027」が開催予定

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「GREEN×EXPO2027(2027年国際園芸博覧会)」(公益社団法人2027年国際園芸博覧会協会 主催)は、2027年3月19日〜9月26日の期間、神奈川県横浜市の旧上瀬谷通信施設で開催予定だ。

最後に、横浜市として、今後注目してほしいポイントを横浜市担当者に語ってもらった。

「2023年は、相鉄・東急直通線が開通し、横浜市の交通ネットワークはさらに充実しました。また、臨港パークから山下公園までの水際線を活用した横浜ならではの賑わいづくりにも力を入れていきます。11月からは、都心臨海部で、街全体が光と音楽にあわせて躍動するイルミネーションショー『ヨルノヨ』を開催します。こうした年間を通じた様々な取組により、回遊性の向上、来街者の皆さまの市内宿泊促進を図り、観光消費の拡大に繋げていきます」

また、横浜市では未来を見据えた成長戦略として、グリーントランスフォーメーション(GX)を掲げている。

「8月には、2025年に行われる第9回アフリカ開発会議の開催地に横浜が選定されました。今年で発足 30 周年となるアフリカ開発会議は、グリーン成長や SDGs の達成をはじめとするアフリカの開発課題に取り組む枠組みとして、重要な国際会議です。

これからの世界の成長戦略には、経済成長と脱炭素を両立させるグリーントランスフォーメーション(GX)が大切であり、横浜市は GX による持続可能な都市の実現を目指しています。さらに、2027年には、横浜で初めての万博『GREEN×EXPO2027』を開催します。温暖化などの地球規模の問題をともに考え、自然の力を生かした脱炭素社会の姿を示していく博覧会です。今後、さらに賑わい、進化する横浜にぜひご期待ください」

取材・文/清談社・松嶋千春

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