山田暢久が選んだ歴代日本人サイドバックトップ10。1位は「真面目さが顔に出ている」あの選手

山田暢久が選んだ歴代日本人サイドバックトップ10。1位は「真面目さが顔に出ている」あの選手

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  • 更新日:2022/06/23

元浦和レッズ・山田暢久インタビュー 前編

後編「浦和のレジェンド山田暢久が振り返る現役時代」を読む>>

◆【画像】加地亮が選んだ、歴代日本人サイドバックトップ10

浦和レッズ一筋でJリーグ540試合に出場したレジェンド選手、山田暢久氏をインタビュー。本人が長く務めた右サイドバックの視点から、歴代日本人サイドバックのトップ10を選んでもらい、その評価を聞いた。

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サイドバックランキングで度々名前の挙がる、名良橋晃(左)と駒野友一(右)

サイドバックで高身長は大きい

10位 冨安健洋(アーセナル)

冨安選手は、センターバックが本職ですが、今季のアーセナルでは右サイドバックで起用され、高い守備力を武器に大きなインパクトを与える活躍をしました。

身長は188cmと大きく、プレミアリーグでも負けないフィジカルと空中戦の強さがあって、セットプレーでは得点も期待できます。

日本のサイドバックは高身長の選手が少ないですが、冨安選手は逆サイドにボールがあって中に絞る時に、センターバックのような役割も果たせる。これはチームの戦術的にも非常に大きいと思いますね。

攻撃においても足元の技術が高くて、判断も非常に早く、優れているので、守備はもちろんのこと、攻撃でも光るものを感じます。

センターバックとサイドバック、しかもどちらのポジションでも左右両方を高いレベルでこなせるのは、監督にとって非常に計算しやすく、重宝する選手だと思います。

9位 三都主アレサンドロ(元浦和レッズほか)

2002年日韓W杯、2006年ドイツW杯と、2度のワールドカップに出場している代表的なサイドバックのひとりだと思います。

彼はとにかく攻撃センスの際立った選手でした。スピードのあるドリブル突破があり、高精度の左足のキックは、クロスとセットプレーともにチームにとって武器になります。

守備能力に関しては、ランキングに挙げるほかの選手と比べて劣る部分ですが、攻撃能力がそれを補っていました。

清水エスパルス時代はよくマッチアップしましたが、対戦するのが嫌な選手でもあり、楽しみな相手でもありました。とにかくスピードがあったので、対応する時はスピードに乗らせないために自分から仕掛けること。それから左足を使わせないことを意識していました。

浦和レッズや日本代表で一緒にプレーしましたが、僕のサイドが守備的な動きでバランスを取って、彼の攻撃能力を生かそうと考えることが多かったです。やっぱり僕が上がるよりもアレックスが上がったほうが相手にとっては嫌ですから。

攻撃的サイドバックとして歴代でも屈指の選手だったと思います。

鹿島は代表的なサイドバックが多かった

8位 相馬直樹(元鹿島アントラーズほか)

相馬さんは日本代表でも活躍されましたが、鹿島のイメージのほうが強いですね。ランキングに入るくらいのサイドバックはスピードやスタミナ面は当たり前のように高いレベルにありますが、そのうえで相馬さんは非常にクレバーな選手だったと思います。

オーバーラップのタイミングはいいし、両足ともに精度の高いキックを蹴るし、守備の準備もすごくしっかりしていて、サイドバックのお手本のような選手でした。

上下動の運動量が豊富な選手だったので、マッチアップした時は対応するのが大変だった記憶があります。1対1の時にドリブルで仕掛けてくるタイプではなかったですが、タイミングのいいクロスやパスを出してくるので、間合いはすごく考えながらやっていました。

守備に関しても相手との距離感が絶妙で、自分の間合いに持っていくのがうまい選手でした。とにかく攻守にわたって真面目なサイドバックだったと思います。

7位 中田浩二(元鹿島アントラーズほか)

彼はサイドバックだけでなく、ボランチとかセンターバックとか、守備的なポジションならどこでもこなせる、非常にユーティリティな選手でした。僕も複数のボジションをやってきましたが、ちょっとタイプが違いましたね。

僕はどちらかと言えばサイドバックをやりたくないタイプでしたが、彼は真面目でクレバーで監督の言うことをしっかり聞ける選手で、相馬さんと似たタイプだったと思います。

DFは信頼がないと任せられないポジションだと思うので、守備的なユーティリティというのは、彼の真面目さを物語っていますよね。

能力的にもポジショニングは優れていたし、スピードも遅いわけではなく、スタミナも備わっていました。身長もそこそこあったので空中戦にも強いイメージがありましたね。

攻撃でも正確なロングフィードは効いていて、攻守において周りに対してすごく気を使える選手だったと思います。

6位 名良橋晃(元鹿島アントラーズほか)

鹿島の選手が続いてしまいますが、それだけ鹿島には代表的な選手が多かったし、サイドバックを語る上で名前を挙げないわけにはいかない選手ばかりだったと思います。

名良橋さんは、僕が日本代表入りする前に右サイドバックで活躍していたので、すごく参考にさせてもらっていました。

小柄でしたけど、オーバーラップのタイミングがすごくよくて、スピードもあって非常にダイナミックでした。クロスを入れるタイミングも早くて、アーリークロスとかはとくに参考にしていた部分です。

名良橋さんのように90分絶えず上下動できる選手は、相手にとってすごく厄介ですよね。攻守の切り替えも早いので、いい形でボールを奪ってもすぐに戻られてしまうし、逆に置いていかれることが多かったです。スタミナがあるっていいなと思いました。

マッチアップする場面はなかったですが、鹿島との対戦時は逆サイドなので絞って対応する機会が多かった気がします。それだけ名良橋さんの攻撃が効いていたということですね。

それから、ほかの選手とは違ってファイタータイプなので、名良橋さんがいるとチームが活性化されて、そういった意味でも影響力のあった選手だったと思います。

海外で成長したサイドバック

5位 加地亮(元ガンバ大阪ほか)

僕のあとに日本代表の右サイドバックとして定着して、活躍した選手です。大分トリニータやFC東京でも活躍しましたが、やっぱりガンバ大阪時代が一番印象に残っています。彼のサイドから崩されたことが何度もありました。

能力としては、攻撃面がとくに印象に残っています。ビルドアップ能力が高くて、高い位置ではドリブル突破もあって、クロスボールも質が高い。チームの攻撃の起点になれる賢い選手でした。

現代のサッカーで、サイドバックが攻撃面で起点になるのは当たり前になっていますが、加地くんはその点ですごくモダンなサイドバックでした。

攻撃面だけではなく、守備面においても能力が高くて、そつなくこなせるので、すごくバランスの取れたサイドバックだったと思います。加地くんは嫌かもしれないですけど、僕と似たタイプだなと思っていました。

4位 内田篤人(元シャルケほか)

ここまでの選手たちと同様にスピードとスタミナもあるし、オーバーラップのタイミングもいい。クレバーでゲームの流れを読むこともできて、さらに自分でゴールを狙える。非常に能力が高かったですね。

鹿島でデビューした頃は線が細くて、気持ちがプレーに出るタイプの選手という印象で、若さと勢いがありました。あの頃は鹿島が3連覇などすごく強い時代で、強烈な選手が多かった。そのなかで貢献できるのは、それだけですごいことだと思います。「これから出てくる選手なんだろうな」と思っていましたね。

そこから日本代表に入ったり、海外に行ってすごく伸びましたよね。とくにドイツでのプレーが、彼のプレーの幅や視野を広げたイメージがあります。

僕もそうでしたが、年齢を重ねたり、経験を積むことで、今までになかった落ち着きや冷静さ、能力、判断というものが出てきて、彼にもそういった面を感じました。

日本代表では、2010年南アフリカW杯と2014年ブラジルW杯の2度ワールドカップに出場しています。監督が変わっても呼ばれ続けるのはすごいことで、日本代表を象徴するサイドバックのひとりだと思います。

3位 酒井宏樹(浦和レッズ)

彼はスピード、スタミナ、フィジカルの3つとも高い次元で備えていて、なおかつ身長も高い。サイドバックとしてすごくバランスの取れた選手だと思います。

今は浦和でプレーしていますが、イメージは柏レイソルとマルセイユ時代が強いですね。レイソルでデビューした当時は、グイグイくるプレースタイルや顔つきを見て「いかついサイドバックが出てきたな」と思いました(笑)。

彼も海外に行ってからグッと成長した選手でしょう。とくにマルセイユではパリ・サンジェルマンのネイマール選手とマッチアップしたり、ヨーロッパリーグに出場したり、そういう場で一流の選手と対戦して、自分の実力を感じて伸びるきっかけを掴んでいったと思います。

自分の間合いとか読みとか、いろんな工夫をしながら守備をしていると思うんですけど、自分の特徴を試合で出しながら、トップ選手相手でもそんなに負けることなくやれている。これはすごいです。

浦和とってその経験は非常にプラスだと思うので、若い選手に伝えていってもらいたいですね。

左右の高精度なキック

2位 長友佑都(FC東京)

長友選手の実力が申し分ないのは言うまでもないと思います。ワールドカップ3大会出場は、そう簡単にできません。いまなお呼ばれ続けているというのは、本当にすごいことだと思います。

スタミナやスピード、フィジカルは彼の強みですが、それをベースにとにかく粘り強い。抜かれたとしてもスピードでカバーして追いついたり、クロスに足が出たりというイメージがあります。

今はさすがにスピードの衰えはありますが、サイドからのクロスで得点機会を演出することができるし、自分で中へ進入してシュートするプレーもできますよね。

FC東京時代にマッチアップすることが多かったですが、あの頃は彼もまだ若くて、僕も負けるける気はしなかったです。

ただ、そこからセリエAに行って、とくにインテルで非常に多くの経験を積んで伸びていきまし。そもそもそんなトップクラブに所属できるだけですごいことだし、日本人サイドバックというものを大きく押し上げた選手だと思います。

1位 駒野友一(FC今治)

駒野くんもとにかくサイドバックとしてのバランスが非常に優れた選手で、一番好きなタイプのサイドバックです。

サンフレッチェ広島時代の印象が強いですが、攻撃での貢献度が非常に高い選手というイメージです。とくに左右両足ともにキックのレベルが高く、クロスは日本人のなかで屈指の精度でした。

両サイドを高いレベルでできるので、日本代表でもユーティリティな選手として重宝されていました。

それからここまで挙げた選手の多くと共通しますが、真面目な選手ですよね。真面目さが顔に出ています。マッチアップしたことはなかったと思いますが、いい選手だなと思っていつも見ていた記憶があります。

ユーティリティさで言えば、僕も左右のキックができないわけではないですけど、彼ほど高精度には蹴れないし、あそこまでバランスよく能力を備えていたわけではないです。

駒野くんは、本当に理想的なサイドバックだったと思います。

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山田暢久
やまだ・のぶひさ/1975年9月10日生まれ。静岡県藤枝市出身。藤枝東高校から1994年に浦和レッドダイヤモンズに入団。主に右サイドバックを中心にあらゆるポジションを務め、2013年シーズンまで浦和一筋でプレーしたレジェンドプレーヤー。J1通算501試合出場25得点。J2通算39試合出場2得点。日本代表国際Aマッチ15試合出場1得点。引退後は浦和のクラブスタッフや社会人リーグの監督を務め、現在は少年サッカーチームのコーチをしている。

篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko

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