三浦春馬さんの鮮烈な輝きは褪せず――映画で振り返る俳優としての軌跡

  • 日刊サイゾー
  • 更新日:2021/07/20

あの日から、1年が過ぎた。映画・テレビ・舞台とフィールドを問わず活躍し、演技はもちろん、歌やダンス、文章も超一級品の表現者・三浦春馬さん。艶やかな表情も、射るような目線も、作品のカラーに合わせて自在に変える巧者だが、やはり印象的なのは屈託のない柔らかな笑顔。彼が微笑むと周りの空気も和らぎ、癒されるような得がたい魅力を備えた人物だった。

1年を過ぎても、喪失感が消えることはない。個人的にも、心にぽっかり穴が空いた感覚が続いている。きっとそれは、三浦春馬さんにしか作れない世界観や存在感、そうした全部を含めた彼の影響力の証明でもあるのだろう。本記事では、いま現在VOD(ビデオ・オン・デマンド。動画配信サービス)で観られる映画を通して、改めて俳優・三浦春馬の魅力を振り返っていきたい。

等身大の若者もモテ男も危険な男も……幅広い表現力に驚かされる

彼の爽やかな魅力が詰まった映画として、やはり『君に届け』(2010)は外せないだろう。本作では、クラスメートから避けられてしまっているヒロイン・爽子(多部未華子)にも分け隔てなく接する好青年・風早をキラキラと演じている。まさに、劇中のセリフである「爽やかからできている人」を体現しているのだ。だが、爽子が失礼なことをされ、本気で怒る熱さも持ち合わせており、作品を通して真摯な存在であり続けている。人気漫画の実写化ともなれば往々にしてハードルは上がってしまうものだが、多部ともども他の役者では考えられないほどハマっており、役にも作品自体にも美しいリアリティをもたらしている。

多部とは、今泉力哉監督作『アイネクライネナハトムジーク』(2019)でも再共演。本作では、お人好しで心優しい“良い人”だが、恋も仕事もなかなかうまくいかない悩める若者に見事になりきっている。人を惹きつける天性のオーラを抑えつつ、素朴で共感性の高い人物を丹念に演じ切った三浦さん。彼が表現した等身大の若者像は、大泉洋演じる筋ジストロフィー患者を介助する篤実な医大生ボランティアに扮した『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』(2018)にも通じるところがあるかもしれない。

かと思えば、『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(2018)では広瀬すず扮する主人公の憧れの存在であるモテ男のDJをキメッキメに魅せており(「彼氏って言っていいよ、俺のこと」というセリフをさらりと言える格好良さ!)、三浦さんの表現力の幅広さには驚かされるばかりだ。

一方、危険なオーラを放つ役どころも完璧にこなすのが三浦さんの大きな魅力。17歳のときに出演した『恋空』(2007)時点で圧倒的な存在感を放っていたが、その2年後には小栗旬や山田孝之ほか、当時のライジングスターが集結したヒットシリーズ『クローズZERO II』(2009)に、綾野剛や金子ノブアキらとともに参加。近隣の中学をまとめ上げた逸話を持つスーパールーキーとして登場し、凍てつくような眼光と「伝説の不良だった兄を超える」という大志を抱いた「火と氷」が同居したキャラクターを好演している(切れ味鋭いハイキックも披露‼)。金髪と黒髪のツートンというヘアスタイルも特徴的だ。

本作で主演を務めた小栗とは、2018年の『銀魂2 掟は破るためにこそある』でも共演。こちらでは、原作の人気キャラクター・伊東鴨太郎を短髪アッシュ×メガネ姿で完コピした。全体的にギャグ色が強い作品だが、三浦さんが演じた鴨太郎は所属している組織・真選組を裏切り、テロリストと通じているというシリアスな役どころ。身も心も悪人になりきれず、非情に徹せない“脆さ”も見せており、彼の演技の配分がそのまま、“エモ”の部分を体現している。『映画 太陽の子』でも共闘する土方十四郎役・柳楽優弥や、このシリーズで大きく名を揚げた沖田総悟役・吉沢亮との対決も用意されている。

『永遠の0』のような大作にも出演しつつ、作家性が際立つ作品でも力を発揮するのが、三浦さんの底力。カメラマン志望の大学生に扮した『東京公園』(2011)では、公園で会った男に「ある女性を尾行してほしい」と頼まれたことから日常が変化していく、という一風変わった物語にチャレンジ。井川遥扮する子連れの女性を追い、様々な公園を訪れることになるが……。死んでしまった友だちの幽霊(染谷将太)が同居していたり、劇中におけるジャズの使い方や構成など、独特の世界観が広がった作品。ファンタジーとリアルの境目に位置するような映画だが、努力家の三浦さんらしく、バッグからカメラを取り出してレンズを装着し、撮影するまでの動きに伴う説得力が素晴らしい。

行定勲監督と組んだ『真夜中の五分前』(2014)では、海外ロケ&中国・台湾のキャスト陣との共演を経験。日本人キャストは自分だけという状況でも臆せず、中国語のセリフも見事にこなすなど、流石の活躍ぶりを見せている。今作は、美しい双子の姉妹と出会ったことで、時計修理工の青年が恋心に目覚めていくという、幻想的で数奇なラブストーリー。街並みや照明、色調など、画面から醸し出される異国情緒に三浦さんの雰囲気が溶け合っている。彼の国際的な活躍を見ていくうえでも、押さえておきたい1本だ。

今回は映画に絞ったが、『ブラッディ・マンデイ』『わたしを離さないで』『TWO WEEKS』といった人気ドラマも各動画配信サービスで配信中。映画では『コンフィデンスマンJP』シリーズや『天外者』に加え、7月21日には『ブレイブ -群青戦記-』も配信リリースされる。

また、8月6日には、柳楽優弥・有村架純と共に出演した『映画 太陽の子』が劇場公開。1945年の夏を舞台にした本作では、様々な葛藤を抱えながら戦地に向かう青年兵士を熱演しており、多くの人々の心を揺さぶることだろう。本作もまた、広く永く語り継がれてゆく映画となってゆくはずだ。

今回紹介したのは、三浦春馬さんの軌跡のほんの一部。この先も彼は、これまでに遺してきた作品を通して、ますます多くの人々を魅了していくだろう。その存在は忘れ難く、鮮烈な輝きは褪せず――。俳優・三浦春馬の功績は、永遠なのだ。

▼ 記事で紹介された映画はこちらでご覧になれます

『君に届け』(2010年)
出演:多部未華子、三浦春馬
Amazon Prime VideoNetflixU-NEXTHuluほか配信中

『アイネクライネナハトムジーク』(2019年)
出演:三浦春馬、多部未華子
Amazon Prime Videoで400円~、そのほか8月1日よりNetflixdTVで配信開始予定

『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』(2018年)
出演:大泉洋、高畑充希、三浦春馬
U-NEXTHuluほか配信中Amazon Prime Videoで400円~

『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(2018年)
出演:篠原涼子、広瀬すず、小池栄子、ともさかりえ、渡辺直美、池田エライザ、山本舞香、野田美桜、田辺桃子、富田望生、三浦春馬、リリー・フランキー/板谷由夏
Amazon Prime VideoNetflixU-NEXTHuluほか配信中

『恋空』(2007年)
出演:新垣結衣、三浦春馬、小出恵介
Amazon Prime VideoNetflixU-NEXTdTVほか配信中

『クローズZERO II』(2009年)
出演:小栗旬、やべきょうすけ、黒木メイサ、三浦春馬、高岡蒼甫
Amazon Prime VideoNetflixU-NEXTHuluほか配信中

『銀魂2 掟は破るためにこそある』(2018年)
出演:小栗旬、菅田将暉、橋本環奈、柳楽優弥、三浦春馬、堂本剛、堤真一
Netflixで配信中Amazon Prime Videoで399円~U-NEXTで199円dTVで550円

『東京公園』(2011年)
出演:三浦春馬、榮倉奈々、小西真奈美
Amazon Prime VideoU-NEXTHuluほか配信中

『真夜中の五分前』(2014年)
出演:三浦春馬、リウ・シーシー(劉詩詩)、チャン・シャオチュアン(張孝全)
U-NEXTHuludTVほか配信中Amazon Prime Videoで400円~

※実際の配信状況は記事公開時とは異なっている可能性があります

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