「長く苦しく怒り込み上げた」父の思い 猪苗代湖ボート事故裁判で求刑 弁護側は無罪主張「船長として義務果たした」

「長く苦しく怒り込み上げた」父の思い 猪苗代湖ボート事故裁判で求刑 弁護側は無罪主張「船長として義務果たした」

  • TUFテレビユー福島
  • 更新日:2023/01/26

2020年、福島県の猪苗代湖で航行中のボートに巻き込まれ、3人が死傷した事故で、ボートを操縦していた被告の男に、禁錮3年6か月が求刑されました。

「一瞬で死んでしまったと分かった。最後に抱きしめたかった」亡くなった男の子の母親が証言台に 猪苗代湖ボート事故

起訴状によりますと、福島県いわき市の元会社役員・佐藤剛被告(45)は、2020年9月、猪苗代湖で安全確認が不十分のままボートを操縦し、湖に浮かんでいた親子らをはね、豊田瑛大(とよだ・えいた)くん当時8歳を死亡させたほか、母親ら2人に大けがをさせたとして業務上過失致死傷の罪に問われています。

24日の裁判で、検察は佐藤被告に禁錮3年6か月を求刑し、弁護側は無罪を主張しました。

この裁判の主な争点は、
①湖面に浮かぶ被害者の存在に気づけたか(予見可能性)
②適切な見張りを行えば事故を防げたか(結果回避可能性)
の2点です。

24日の公判では、まず検察が論告を行いました。

①予見可能性について
ボートと被害者が衝突した地点は、猪苗代湖の中でも狭い場所だった。

事故1分前の佐藤被告のボートの同乗者が撮影した動画によると、湾内にはボート2艇のほか、水上オートバイが約7台いたと認められるなど、陸地から近い水域のため、人が水に入る可能性がある。

陸から近い水域を航行し、水上オートバイやトーイングボードを認識していた被告は、湖に落ちた人を含め、湖面に人がいるかもしれないことを具体的に予見することが可能で、船を衝突させて人を死傷させるかもしれないことを予見することは可能。

②結果回避可能性について
事故当時、複数の船舶や水上オートバイが行き交う状況であったことから、前方左右の見張りを行う義務があることは当然。

実況見分の結果から、被害者を発見することができた地点から衝突した地点まで距離は200メートル程度、時間で60秒程度の余裕があることから、衝突は回避できた。

結論として、検察は佐藤被告に注意義務があることは明らかとし、1人の男の子が死亡した結果の重大性や、被害弁償が一切されていないこと、遺族が厳罰を望むこと、反省の情が皆無であることなどから禁錮3年6か月を求刑しました。

続いて、弁護側が弁論を行いました。

①予見可能性について
被害者などがライフジャケットのみで湖面に浮遊している状態は極めてまれ。さらに、コロナ禍で湖水浴場は開いてなく、混雑は予想できず、実際に混雑していたとは言えない。

被害者は視認性の低いライフジャケットを着用していて、当時の日照や風などの気象条件、被害者の態勢や着衣の色、位置など多岐にわたる事情が複雑に絡み合い、被告が被害者の存在に気づくのは困難。また、弁護側独自の実況見分からも被害者を視認することは困難である。

②結果回避可能性について
水上は一般の道路とは全く違う性質であり、視野全体を大きく見ることが船上の見張りの仕方。被告が、左斜め前を見ていないなどの事実もなく、不注意もない。見張りを行えば確実に湖面に人が見えるのかも疑問。捜査当局の実況見分のやり方にも疑問がある。当時の状況から、見張りが不十分で不注意とは認められない。

弁護側はこのほか、気象や物理法則の捜査をしていないと主張。事故の原因としては、視認性が低い状態で被害者たちを浮いていたことを指摘しました。

そして、佐藤被告は当初から捜査に協力し、前科や違反もない。認識なき過失が争われているとして、無罪を主張しました。

最後に、佐藤被告が証言台に立ち、最終陳述を行いました。

佐藤被告「まずは、ありがとうございました。事故を真摯に受け止め反省しています。前方左右など船長としての義務を果たしたことはご理解いただきたい。」

裁判の後、事故で亡くなった豊田瑛大くんの両親が報道陣の取材に応じました。

瑛大くんの父親「非常に長く苦しく怒りが込み上げる公判期間だった。誠意が一つも感じられない。」

瑛大くんの母親「求刑通りでも軽いし短い。裁判が終わっても瑛大は戻ってこないし、生活が変わるわけではないが早く裁判が終わってほしい。少しでも穏やかに過ごしたい。」

この裁判で、瑛大くんの母親は証言台に立ち「ボートにひかれた直後、一瞬で瑛大が死んでしまったと分かった。最後に抱きしめたかった」と、息子を失った悲しみを涙ながらに訴えていました

判決は、3月24日午後1時半に言い渡されます。

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