地面に突き刺さったクサビ状のコンクリート、曲面だらけのホテル...異様な存在感ほとばしる“ナゾの建物”

地面に突き刺さったクサビ状のコンクリート、曲面だらけのホテル...異様な存在感ほとばしる“ナゾの建物”

  • 文春オンライン
  • 更新日:2021/02/23

新型コロナウイルスの感染拡大で国と国との間の往来に制限がかかり、海外旅行も困難になってしまった昨今。見知らぬ外国で個性的な形の建物と出会う……なんて瞬間も大きく減ってしまった。

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一方で、思わず二度見してしまうような不思議な建物は日本にも多数存在する。そんな全国各地の“ナゾの建物”を紹介しながら、豊富な写真と解説で「なぜ不思議なのか」「建築としてどこがすごいのか」を解き明かしていくロングセラー『日本の不思議な建物101』(エクスナレッジ)より、東京近郊の建物を抜粋して紹介する。

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この異様な存在感…「不思議建築の帝王」

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八王子セミナーハウス

〈■八王子セミナーハウス本館(大学セミナーハウス)設計:吉阪隆正+U研究室竣工:1965年住所:東京都八王子市下柚木1987-1地上4階・地下1階〉

コンクリートのクサビ状の塊が、地面に突き刺さったような姿。見上げると現れる目のモチーフ、荒々しいコンクリート打ち放しの壁面にランダムに穿かれた窓、等々……。大学紛争の激しかった1960年代に、都内の複数の大学が共同で設立した研修施設である。

不思議建築の帝王は、八王子の小高い山の頂でじっと建ち続けている。実際に訪れると写真で見るよりもコンパクトに感じるが、異様な存在感は圧倒的。1・2階は施設管理の部屋、3階はロビーと宿泊室、4階は大食堂という構成。3階には渡り廊下が刺さる。

上階に登るにつれて段々と空間が開けていき、食堂からの眺めと開放感は清々しい。末広がりで、形状の通り今でも「斜め上」を行く建築だ。

住宅街で異彩を放つ曲面ホテル

〈■ホテルなか安設計:不詳竣工:不詳住所:東京都八王子市暁町1-36-6地上9階〉

鳥の巣のような、ガの繭跡のような。円筒が斜めに切られたような形状が壁にびっしりと取り付いた姿は、周囲の住宅街の景色から明らかに浮いている。

この1つひとつは、掃出し窓の外に付いたバルコニー。鉄筋コンクリート造の建物と一体でつくられている。この建物はホテルとして営業していたもので、目立っていることはある意味で正しい。

創業80年を超える老舗「料亭なか安」のパンフレットによると、1965年に3階建てホテルを建設した後、1972年に9階建て新館を増設。しかし2003年には宿泊業を停止し、飲食のみの営業となった。

基壇の料亭では変わらずに、日本庭園のある純和風の空間が広がっている。ホテル起死回生の手はあるのか? あっと驚くリノベーションに期待。

異星感を漂わせる床と柱のピラミッド

〈■明治百年記念展望塔設計:池原謙一郎竣工:1971年住所:千葉県富津市富津2280〉

東京湾に突き出た千葉県・富津岬の、最先端にある展望塔。名前のとおり、明治100年を記念してつくられた建造物で、年数は経っているが斬新に感じられる。

全体がピラミッドのように見えるその形は、五葉松がモチーフという。どの角度から見ると最も美しいかを、自分の目で確かめてみよう。

1本の柱が1枚のパレットのような床を支え、柱同士が梁でつながれて組まれた構築物は、最高高さ21.8m。頂上に向かって、意気揚々と人々がパレットに架けられた階段を登っていく様子が見える。登るにしたがって開ける視界。頂部の柱は海側に張り出し、眺望を遮るものがなくなる。

綿密に計算されたシークエンスに、景観と展望の融合にかけた設計者の熱意が伝わってくる。

「問題解決型」の集合住宅

〈■川崎市河原町高層住宅団地設計:大谷幸夫竣工:1972年住所:神奈川県川崎市幸区河原町1地上14階〉

総戸数約3,600戸という大きな団地のなかで、ひときわ目を引く逆Y字型の住棟。14階のうち低層部の5層が外側に迫り出し、段状になっている。

高層・高密度となる集合住宅で、低層部の日照を確保し、周囲への圧迫感を緩和するために採用された形式。低層部では南面の日照を取り込めるように、テラスの空隙が入れ込まれている。凸凹が連続する圧倒的な光景は、見る者に時間が止まったかのような錯覚を生じさせるものだ。

逆Y字の内側は半屋外の共用空間となっていて、上層階の吹き抜けともつながる。住戸ユニットの「部分」が集合住宅の「総体」を形づくっていく、「個即全」という大谷氏の思想が色濃く反映されている点でも必見の建築。

写真=傍島利浩

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曲がった羊かん、重なったボックス、○△□…「どうなってんの!?」“ナゾの建物”へ続く

(加藤 純,傍島 利浩)

加藤 純,傍島 利浩

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