「熱」こそが夢を叶える源。僕はその「熱」に投資する。 /ベンチャーキャピタリスト・佐俣アンリ

「熱」こそが夢を叶える源。僕はその「熱」に投資する。 /ベンチャーキャピタリスト・佐俣アンリ

  • マイナビニュース
  • 更新日:2020/11/20
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混迷から抜け出そうとする現代こそ、自分が本当にやりたいことにチャレンジしていっていい時代なのだ、とベンチャーキャピタリストの佐俣アンリさん。投資家として、若者の強烈な「熱」が、夢を形に変え、社会を動かしていくのをこれまで何度も見てきたといいます。

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だから、いま夢が見つからずに、悩んでいる若者たちへ「自分がまだ向かうべき先が見えていないと自覚できていればいい。いつか必ず見つかるから」と応援メッセージを送ります。
○ベンチャーキャピタリスト、それは世の中にイノベーションを仕掛ける仕事

誰にでも人生が急展開する瞬間があります。僕の場合、人生のターニングポイントは、大学でとあるベンチャーキャピタリストが主宰するセミナーに参加したこと。話を聞くうちに企業や投資家から出資を募り、スタートアップに投資し、世の中にイノベーションを起こしていく、ベンチャーキャピタリストのスタイルがやけにかっこよく見えたのです。これを境に僕はインターンシップなどで多くの業界関係者と交流するようになりました。

大学3年になり、人並みに就活をして、国内の大手ベンチャーキャピタルから内定を得ました。しかし、多くのベンチャーキャピタリストと知り合ううちに、「日本のファンドってなんかダサいな」と思い始め、あっさり内定を蹴ってしまいました。高校生がバンドを始めて洋楽のコピーをしだすと、J-POPが格好悪く思えるのと似た感じでしょうか。

内定辞退はしたけれど、ほぼ就職戦線は終盤。受けられる会社がほとんどない中で、何とか情報系の会社にもぐりこみました。そこは大学の部活のようなノリの会社で、みんなで目標を追って、後輩が頑張って結果を出すと先輩が泣いて、喜びあうような青春ドラマの世界でした。

○夢は、はかない生き物。ちゃんと、大切にしてほしい

これから進路を考える若い世代に言いたいのは、仕事とは面白くて、忙しくて、楽しいものだということ。そして、人間が内に秘めている本当にやりたいことや夢は、はかない生き物のように、とてもふわふわしたもので、簡単に忘れられるものだということです。寝ているときに見る夢と同じ。だけど、その存在を馬鹿にしないであげてほしい。はかなくてふわふわした夢が、リアルになる瞬間がいつか来るかもしれないから。

情報会社に就職して2年目、僕はようやく自分が本当にやりたいことと現実の仕事がリンクしていないことに気づきました。会社に辞表を出すと、師と仰ぐベンチャーキャピタリストのカバン持ちとして弟子入りしました。師匠に教わったのはテクニックではなく思想です。師匠とはいつも世界地図や世界の人口動態などのデータを見て、この国はどうなっていくなんて話ばかりしていました。

2010年頃、インドネシアがまだインターネット大国になる以前に、彼は「この国は必ず伸びる。この国を仲間たちと一緒に応援したい」とこの国で初めてベンチャーキャピタル(VC)を立ち上げました。インドネシアでVCなんてまだまだ早いと世界のVCが言っていた頃で、その後、このVCは大成功を収めました。

新しいことが生まれる瞬間に立ち会ったことがない人は、新しいことは会議室で生まれると思っているかもしれません。でも実はそんな所で生まれるのではなく、カフェでお茶したり、部屋でゴロゴロしたりする中から生まれてきます。そういう瞬間を見ることができたのは、本当に良い経験でした。

僕の場合、たまたま誘われた飲み会に潜り込めたことで、師匠と出逢うことができました。誰でもそんなふうに自分が成長できる場所に遭遇できる瞬間が、定期的に訪れます。そのタイミングを大切にして見逃さないでほしいと思います。

○君の「熱」が、夢を叶え、社会を動かす

僕はリーマンショック直前就職組です。景気もそこそこ良かったから、大企業に行って10年20年勤めれば、何か良いことがありそうな気配がギリギリありました。でも、例えば今の学生が社会人になる時、そんなエレベーター方式は期待できません。企業の第一線で活躍できる時間は意外と短いのに、それがさらに短くなっていく方向にあります。各社とも新卒採用を抑制する時代に、良いことが起こる理由がないのです。

逆に考えれば、自分が本当にやりたいことをちゃんと見つけて、それに向き合っていって良い時代なのだと思います。大企業に勤めても先の見通しが立たないとしたら、早く自分がしたいことに素直になって頑張った方が得なはずです。本当にやりたいことが、高校生や大学生の段階で見つかったら、一直線に向かっていいと思います。

僕の場合はベンチャーキャピタリストでしたが、起業自体はツールであり、方法論ですから、目指すのは起業じゃなくてもスポーツ、アート、YouTuber……何でも良いと思います。

起業はやりたいことを自分で器ごと作っていくことです。成功しても失敗しても自分の責任です。「起業はリスクが大きい」という方もいるかもしれません。確かに失敗したらダメージは受けます。でも自分がやりたいと思ったことに一定期間、真剣に全身全霊をかけてチャレンジするから、必ず成長できるし、そこから得られるものは大きい。大企業に入って、やりたくもない仕事をやらされて、あげくにメンタルを患う方がよっぽど怖い。そう思いませんか?

起業家に必要なのは才能ではなく、夢を形にしようとする「熱」です。僕はベンチャーキャピタリストとして、ひとりの人間の強烈な「熱」が、本当に社会を変えるのをこの目で何度も見てきました。あなたがもし、自分の人生で何かをしでかす人間になりたいと思うなら、まずは自分の熱源に気づくことです。そして、それが見つかったら、迷わず、全力で、はじめることです。「やりたい、やってみたい、やった方が楽しそう」と思えることが見つかったら、それに素直に従って生きるべきです。

そうすれば、人生に一片の後悔もないはず。君たちの「熱」に期待しています。もしも起業を目指すなら、僕がベンチャーキャピタリストとしてその挑戦を応援します。

佐俣アンリ さまたあんり 1984年生まれ。大学卒業後、リクルートに就職するが約2年で退社。有名ベンチャーキャピタリストのカバン持ちとしてEast Venturesを経て、2012年に27歳でベンチャーキャピタル「ANNRI」を設立し、代表パートナーに就任。主にインターネットとディープテック関連の若手起業家・120社に投資し、同世代やもっと若い起業家たちと身近に付き合ってきた。その中には印刷・広告のラクスル、YouTuberのマネジメント会社UUUMなど、きら星のような新世代企業が多く含まれている。現在300億円のファンドを運営中で、2020年8月には初の著作『僕は君の「熱」に投資しよう』(ダイヤモンド社刊)を上梓した。
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