『俺の可愛いはもうすぐ消費期限!?』が示す、男女のボーダーレス化 山田涼介の変化に注目

『俺の可愛いはもうすぐ消費期限!?』が示す、男女のボーダーレス化 山田涼介の変化に注目

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  • 更新日:2022/05/14
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『俺の可愛いはもうすぐ消費期限!?』(c)テレビ朝日

現在放送中の土曜ドラマ『俺の可愛いはもうすぐ消費期限!?』(テレビ朝日系/以下『俺かわ』)も、折り返し地点に差し掛かってきたように思う。自分の見た目の良さから、人生イージーモードで過ごしてきた主人公の康介(山田涼介)が、ある日未来からやってきた“おっさん”の自分(古田新太)から忠告を受け、さまざまなことを見直していく本作。初回から、主演の山田だからこその説得力で“あざとかわいい”康介が、年齢というボーダーラインをきっかけに、徐々に周囲からのアテンションを失っていく。

こういう「可愛いは賞味期限」的なことは、よく女性に対して言われてきたことだ。「女は若ければ若いほどいい」「若いことが可愛い」、いつの間にか女性側はそういった加齢に対してマイナスイメージな固定観念を浴びせられてきた。一方男性は「歳を重ねるほど良い」「一人前になる」というような肯定的なイメージの言葉が多い。それはおそらく会社などが年功序列であること、歳をとることで重要職につけるシステムに起因しているのではないだろうか。しかし、加齢による見た目の変化は男女ともに訪れる。そして今、精神的にミレニアル世代以降の男性はそのことに対して、女性と対して差異のない考えを持っているようにも感じるのだ。それが、この『俺かわ』のテーマの一つにもなっている。

現在、男性の基礎化粧品は一般化し、品揃えも増えた。ミレニアル世代、そしてZ世代は多様性が社会に受け入れられていく過程を10代、20代の多感な時期に目の当たりしている。最初はLGBTQ+の男性がメイクをすることを理解する段階があったかのように思うが、それも今やとうの昔のこと。今は、別にセクシャルアイデンティティが何であれ、男性もスキンケアに気を遣ったり、好きな女の子とのデート前にメイクをしたりすることも不思議ではなくなった。もう「男たるもの」「女たるもの」という観念は、若い世代になればなるほどないのである。

その男女というボーダーが薄れたことで、以前は“女性が抱えていた”と認識されてきた問題意識を男性も抱えている、という描写のドラマや映画が作られ始めてきたように感じる。それが遅いことなのか、もう少し早く取り上げられるべきだったのか。賛否はあるにせよ、私はそれが制作され、放送されること自体まずは評価したい。

さて、本作の主人公・康介はもう見た目が可愛いだけではダメだと、知性や仕事の能力を向上することが重要であることに気づき、必死にエイジングケアに励みながらも奮闘する。そんな彼が、初めての本当の恋をする相手・和泉(芳根京子)が人を内面で見る人間だからこそ得られる気づきによって考えを変えていく。その変化を毎話ごとに追えるのが、本作の魅力だ。特に、新商品のビール「夏浪漫」に合う料理のレシピを考案するという課題を、和泉と共に取り組んだ第3話。一ノ瀬(大橋和也)が考えた「コロッケ」を二人で作ることになるが、そこでこれまで全て完璧にこなし、感情を見せない故に“ロボット人間”と言われてきた和泉が意外と野菜を切るのが下手だったり、不器用だったりすることがわかる。

「本は表紙で判断してはいけない(Don’t judge a book by its cover)」という英語のことわざがあるように、人は表面的な情報だけで、誰かを理解することはできないし、してはいけない。それと同時に、見てくれが不細工なコロッケでも、「見た目のいびつさは、コロッケの美味しさに、なんら影響を及ぼしていません」という和泉の言葉に、ハッとする康介。彼がこれまで抱えてきた不安や焦燥感は、社会が植え付けてきたルッキズムやエイジズムに基づくものだ。それをいかにして、彼が自分自身の考えを変えや物の見方を変えて乗り越えていくのか、というところに本作の大きな意義を感じる。

そんな彼の旅路を、少し遅れた“ムズキュン”な初恋というラブストーリーに絡めたり、未来からやってきた自分というSF要素が盛り込まれていたりと、冷静に考えると様々な視点で楽しめる『俺かわ』。特に今、康介が和泉に対する恋心に気づき始めたからこそ、二人の関係性がどのように発展していくのか見守っていきたいところである。

(ANAIS)

アナイス(ANAIS)

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