スペックはバイク以上? 昭和レトロな「電動三輪車」の可能性、日本の利用拡大に必要な条件とは

スペックはバイク以上? 昭和レトロな「電動三輪車」の可能性、日本の利用拡大に必要な条件とは

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  • 更新日:2023/01/25
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エレクトライク(画像:日本エレクトライク)

国内で16番目の自動車メーカー

突然であるが、日本エレクトライクという会社をご存じだろうか。なかには、「久しぶりにこの会社名を耳にした」という人もいるだろう。日本エレクトライクは、今から約7年前に国土交通省より型式認定を受けた会社である。当時は、国内で16番目の自動車メーカーとして電動三輪車で新規参入し話題となった。

【画像】えっ…! これが日本エレクトライクの「本社」です(7枚)

自動車の型式認定制度とは、自動車を製造または販売しようとする者が、国土交通省大臣に申請または届け出を行い、保安基準の適合性など厳しい審査により自動車の型式認定を受ける制度である。この型式認定を受けることで、自動車メーカーとして大手を振って、自動車を量産して販売できるようになるのだ。

国内16番目の自動車メーカーとなった日本エレクトライクは、自動車好きの創業者が還暦になって設立し、東海大学と産学連携で開発を進めてきた電動三輪自動車で型式認定を受けた点でも話題になった。ちなみに、エレクトライクは、電気や電動を意味するエレクトリックと三輪車を意味するトライクを組み合わせた造語である。

現在は、神奈川県川崎市を拠点に、バッテリー充電で走行するエレクトライクと太陽光発電のみで走行するソーラートライクが販売されている。

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ソーラートライク(画像:日本エレクトライク)

エレクトライクとソーラートライク

三輪車のエレクトライクおよびソーラートライクは、ダイハツのミゼットやマツダのT1500といった往年のオート三輪の面影をほうふつとさせ、どこか懐かしさを感じさせる。昭和の高度成長期にオート三輪をあちらこちらで見かけた世代には、過去の記憶を思い出すなど感慨深いものがあるだろう。

一方、オート三輪を知らない世代は、アジアンテイストや新鮮さを感じるのではないだろうか。

エレクトライクの主な諸元は次のとおり。

・サイズ:全長2495mm、全幅1295mm、全高1695mm
・乗車定員:ひとり
・駆動方式:2モーター(4.5kW×2)の後輪駆動
・最高速度:49km/h
・最小回転半径:2.8m
・航続距離:約60kmもしくは約30km(搭載バッテリーによる)
・積載量:150kg

軽トラックよりコンパクトで、小回りがきくため機動性が高く、都市部や地方によらず狭い道が多い地域の輸送手段に向いていると思われる。また、低重心設計や左右駆動輪に取り付けられたモーターのアクティブホイールコントロール(個別制御)により、走行安定性を確保している。

このほか、家庭用電源で充電できるため、電気自動車のように特別な充電設備を必要としない点も扱いやすいといえよう。なお、ソーラートライクは、天井に設置した太陽光パネルにより充電する仕組みだ。

エレクトライクの価格は、同社のホームページによると、助成金の取得により実質100万円で購入が可能とのことである。

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ONOMOTIONの電動三輪車ONO(画像:ONOMOTION)

ドイツのONOMOTIONのeカーゴバイク

日本だけでなく海外でも、さまざまな会社が電動三輪車の開発を手掛けている。そのひとつが、ドイツのベルリンを拠点とするONOMOTIONだ。同社は、気候変動対策に加え、効率性と収益性を要求される都市部の物流をターゲットとし、電動三輪車のONO eカーゴバイクを開発した。

ONO eカーゴバイクの簡単な諸元は次のとおり。

・サイズ:全長3400mm、全幅1160mm、全高2050mm
・乗車定員:1名
・航続距離:約30km、最大約60km(搭載バッテリー個数による)
・積載量:200kg

ONO eカーゴバイクはエレクトライクと比較してさらにスリムになっているが、高さを確保することで荷室の容積を確保している。また、後部の荷室がコンテナになっている点がユニークであり、利用用途が広がる可能性がある。なお、ホームページで公開されている車両価格(税抜き)は、48か月の利用を前提として月々589ユーロ(約8万円)である。

ONOMOTIONは、既に600万ユーロ(約8億円)の資金調達を完了し、今後は1500万ユーロ(約20億円)を調達して事業を拡大するとのことだ。ONO eカーゴバイクが、ヨーロッパで広く受け入れられるかどうか興味がもたれるところである。

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日本エレクトライクのウェブサイト(画像:日本エレクトライク)

スペックは「バイク以上軽トラック未満」

新たなというより、時を経て電動という形で復活しつつある三輪車であるが、これから物流手段として根付くのだろうか。

オート三輪が衰退し軽トラックに取って代わられた理由は、

・道路が整備され、狭い道を得意とする機動力が生かしきれなくなった
・積載量や走行安定性、車内環境が重視されるようになり四輪車に需要がシフトした

からといわれている。

現代の電動三輪車は、機動力を確保したまま走行安定性がオート三輪よりはるかに向上し、車内環境も幾分か改善され、さらには静粛性や扱いやすさが加わり魅力的に生まれ変わったといえる。

しかし、コストパフォーマンスはどうだろうか。

軽トラックは、最低モデルであれば新車で100万円を切っており、中古車だとそれ以下の価格で入手できるのである。また、今日ではエネルギー価格の上昇により容易に燃費を比較しにくくなっている。電動という点も、将来的に軽トラックが電動化されると差別化がますます難しくなる。

日本で電動三輪車の利用を拡大するには、

「バイク以上軽トラック未満」

というスペックを生かせるような、あるいは小回りや機動性を生かせるような、住宅密集地域や島あるいは観光地など特定箇所における物流手段だけでは限界があるのかもしれない。

手ごわいライバルである軽トラックではかなえられないような、斬新なアイデアが求められている。

山本哲也(交通ライター)

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