「充電ナシ」で走り続けるEV!? 東大院が生み出した新技術で、いよいよ爆速普及にリーチか?

「充電ナシ」で走り続けるEV!? 東大院が生み出した新技術で、いよいよ爆速普及にリーチか?

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  • 更新日:2023/03/25
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EVの給電ステーション不足が原因?(画像:写真AC)

EVが普及しにくい日本の現実

2020年12月、日本政府が「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」として策定した内容のひとつに、「2035年までに新車販売で電動車100%を実現する」という目標設定がある。国が本格的にEV普及へのかじ取りを進めたということで、自動車業界への影響は計り知れないだろう。

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公的補助金の助けもあってEVが主流となっていくのかとも思われるが、日本自動車販売協会連合会の調べによると、2022年におけるEVの販売台数は、いまだ乗用車全体の1.4%にとどまっている。

2020年の時点では全体の0.6%だったことから、販売台数は増加してはいるものの、その足並みは思いのほか遅いようだ。依然としてガソリン車は全体の42.3%と大部分を占めており、EVの普及はあまり進んでいないことがうかがえる。

一因として「充電スタンドの少なさ」がたびたび挙げられるが、年々増加傾向にあった充電スタンドは2021年度、初めて減少する事態に。維持費が高く、採算が取れなければ老朽化に伴い撤去せざるを得ない。結果的にEVの普及はますます遠のいてしまうという悪循環に陥っているのだ。

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タイヤ内需給システムの実験車両(画像:東京大学大学院サイト)

東大による「新システム」とは何か

EVの普及に課題を抱えるなか、東京大学大学院は2023年1月、複数の企業との連係により「EV走行中に給電する技術」の共同開発に成功。タイヤ内に電力を給電し、さらに車体へと給電する「タイヤ内給電システム」を開発したと発表した。

同開発は、同大学院・新領域創成科学研究科の教授を中心に、デンソー、日本精工、ブリヂストン、ロームが参加した「SDGsを実現するモビリティ技術のオープンイノベーション社会連携講座」によるものという。

2023年2月に行われた、自動車技術会電気動力技術部門委員会が主催するシンポジウムでも発表され、期待を集めている。

そもそも、EVの走行には当然電力が必要であり、航続距離を延ばすためにより多くのバッテリーを搭載しなければならない。

しかしバッテリーが重くなれば、その分車を動かすために大きなエネルギーが必要になってしまう。おまけに大容量バッテリーの製造過程で「温室効果ガス」が排出される点や、バッテリー大量使用による車体価格の高騰につながる点も課題となっていた。

しかし今回東大の発表した新システムは、上記で説明した「バッテリーにありがちなジレンマ」から解放される画期的な開発と言えるだろう。

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研究発表された「タイヤ給電」の原理(画像:東京大学大学院サイト)

「走行しながら充電」の魅力とは

タイヤ内給電システムは、タイヤに組み込むコイルの配置を工夫することで、電力の伝送効率を高め、より大きな電力を送れるようにするシステムだ。自動車本体への無線給電が実現することで、航続距離が長くなり、搭載するバッテリーも少なくて済む。

同システムでは磁界を使用して電力の無線伝送をおこなうため、路面(道路)に位置する「送電コイル」とホイールのハブに取り付けられた「受電コイル」の間のギャップを短くすることが重要視されている。

そこで、タイヤ内とホイール内のそれぞれに「中継コイル」を組み込むことで、コイル間の距離を短くしているのだ。

この中継コイルに給電し、中継コイルから受電コイルに非接触で電力を送る。さらにふたつの中継コイルは有線(電線)で接続するため、金属製のホイールでも電力を問題なく送ることが可能だ。

受電コイルと車体側のバッテリーも有線で接続し、自動車本体のバッテリーに給電されるというのがシステムの概要となっている。

同システムの採用によってバッテリー容量に頼りきる必要がなくなれば、EVのバッテリー搭載量は少なくなり、車両コストの減少が見込まれる。

また、車体重量の減少でエネルギーはさらに効率的に利用できるようになり、路面を走行しながら充電することで“給電要らず”のEVも実現できるかもしれない。

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EVの進化でより自由なモビリティが生まれるのか(画像:写真AC)

今後のEVはどう変わっていくのか?

東京大学大学院はリリースで、「タイヤ給電のみならず、引き続きSDGsを実現する多様なモビリティ技術の先進的な研究開発を続けていく」と今後の展望について発表している。

また、「今後は特に電気自動車(EV)のドライブシステムの研究に注力する予定」とも記載されており、さらなるEVの発展に期待が高まっている。

走行中に充電できるシステムが誕生したように、EVは今後さらに

・省エネ化
・エネルギー効率の向上

のための研究が進められていくだろう。電気をより効率的に使用することによって長い航続距離を実現し、充電の回数が減れば「普通充電にかかる時間」「頻繁な充電や高速充電によるバッテリーの劣化」などさまざまなデメリットを克服できる可能性があるからだ。

またたびたび電力不足が報じられる日本においては、EVの普及がエネルギー資源の問題の改善につながることも期待される。

さまざまな課題はあるものの、環境問題だけにとどまらず「長期的に持続可能なモビリティ」の可能性を感じさせるEVの新技術。EVはどこまで効率化を進めていけるのか、今後も目が離せない。

小高皐月(フリーライター)

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