【一問一答】内村航平「高い人間性を持った体操選手であってほしい」引退会見で後輩へ提言

【一問一答】内村航平「高い人間性を持った体操選手であってほしい」引退会見で後輩へ提言

  • テレビ東京スポーツ
  • 更新日:2022/01/14
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体操の内村航平(33・ジョイカル所属)の現役引退会見が14日、都内のホテルで行われた。

五輪個人総合連覇など数々の偉業を成し遂げた体操界のキングは、ゆずの「栄光の架橋」で入場。輝かしい栄光の中にあった苦悩と挫折、そして今後を含めた今の心境を話した。

Q.世界選手権前にしんどいというのは具体的に体、心の問題か

実際体の痛みというよりかは、日本代表選手として世界一の練習が積めなくなったということに対してもうきついなと。もう世界一の練習をやるのは難しいなと思ったので。

そうなると引退かなと思っただけで、体が痛いというのは世界一の練習ができない部分につながりますが。それよりかはモチベーションとかメンタル的な部分でその状態に持っていくことが難しくなったという心の面が大きいですね。

あと練習していく中で体操の演技は10個の技をつなげて最後の着地までやる練習をするのですが、以前なら何回も気持ちを保てたし、どんなにしんどい日でもやり切ることができました。

五輪の予選落ちもあって世界選手権に向かうまで気持ちを上げていくことが今思うと難しかったと思います。

Q.五輪を一言で言うと

僕にとってのオリンピックとは自分を証明できる場所だったかなと思いますね。

世界選手権がオリンピックイヤー以外でもあって、その中で世界チャンピオンになって本当にチャンピオンなのかというのを2回も証明できました。

今まで練習が思うようにいかないことはなかったですが、リオ以降のここまでは急に思うようにいかなくなって。痛いところも気持ちでカバーできていたところがかできなくなりました。

練習でどうにか痛めないような体を作り上げていきましたが、プロになって普及のことなど体操の価値をあげたいことなど色々考えてやっていた中で、リオからは程遠い結果でしたが、その中でも体操を突き詰めてやるということを考えると一番濃い5年間だったと思います。

リオまでとそれ以降では体操に関する知識がかなり増えて、今世界中のどんな体操選手、コーチよりも自分が一番知っているという自負がありました。

それくらいこの5年間で色々なことを研究して知ることができたし、終わりがないことも知れたし、今後勉強し続けることによって知識の幅もさらに広がっていくし、今日こうして引退することでいろんな人に伝えていけるので、そういう意味では通らなければいけない道だったのかなという風に思っています。

やっぱりいいところばっかり知りすぎていたので、挫折とか落ちたところから這い上がる力っていうのを知れたのは、今後人に伝えていかなければいけない立場として知らなければいけなかったと思います。

栄光も挫折も経験できたってことは、自分だけじゃなくて体操でトップを目指すオリンピック金メダルを目指す人に伝えていく立場からすると貴重な経験をさせていただいたという気持ちが強いです。

Q.2011年のゾーンはなぜ出せたと思うか

2011年は心技体が一番揃っていました。練習量も質もすごく高かったですし、メンタルも一番強かったと思うし、痛いところも全くなかったし、自分は何をやってもできると思っていた時期でした。

でも一番の要因は世界で一番練習していたからだと思います。自分の演技に対して一番自信を持っていたので、失敗する気がしないとかそういう次元ではなく、この場をどう楽しもうかと、強さとかけ離れた自分一人だけが楽しんでいるという状況だったので、それが強かったのかなと思いますね。

そのあとのリオ五輪でその強さ、ゾーンを再現したいなと思っていましたけれど、ゾーンは再現できるものではないですし、自分で狙ってやれることではないと感じました。

あれを一回経験できたのは人間をちょっと越えられたのではないかと思います。ゾーンの話をすると3日くらい寝ずに話し続けちゃうのでここでやめておきます。

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Q.以前、引退だけが終わりじゃないと言っていたが、現役引退という形を決めた理由は

現役引退という定義がなんなのかと自分なりに考えたときに試合に出ない、競技者じゃなくなるというところだと思いました。競技者じゃなくても体操は続けられると思いましたが、競技者じゃなくなったのに現役引退を表明しないでいるのは世の中的にも自分としてもはっきりしないなと。競技者としてはっきりさせようと思って決めました。

ただ競技者ではなく演技者としてやっていくのもいいんじゃないかなと。今後色々なことをやっていくので、ずっと体を動かし続けていくのか、それとも面白いからこっちにいってみようとか思うこともあるので。

とりあえずは決めずに体が動くまでは動かし続けていきたいと思っています。ただ試合に出るのは難しいのでこういう決断をしました。

Q.演技者として体操の理想の追求は続いていくのか

3月のイベント言いますが、引退試合は演技会...エキシビションになるので、それは終わりでもあるし始まりでもあると思います。演技を見せられる場所っていうのを作ってもいいですし、そうすれば気持ちも楽にできるので。

現役の選手を呼んできてくれるかはわからないですけれど、リラックスした舞台でみせる演技もいつもより凄みとかが見えるのかなと思います。でもそういうこともやっていきたいのですが、僕としては自分の体が動くまでは体操を研究したいという気持ちが強いです。

技術を研究したいっていうのと、体操の技のやり方には答えがないので、答えがない中でも理想のやり方、一番効率のいいやり方を見つけるなど。ルールもオリンピックごとに新しくなっていくので、そういった中で流行の技など、こういうことはやっていった方がいい技を研究していきたいです。

Q.体操界に残せたこととは何だと思うか、後輩たちへの提言を

これを残せてよかったもの。残したものってなんなのでしょうね。結果以外にあるのかな...。でも結果を残していくことでその先にある体操を超えた他の競技の選手たちにもリスペクトされるような存在になれたのは非常に嬉しかったかなと。

でもそれは残せたものではないのでそれはちょっと違うな。僕が残したもの...逆に何を残したのですか?

僕が残したものなんなんでしょうね。新しくプロという道を作ったこともちろんそうですね。体操に新たな道があると示せたこと。でも何を残したのかまだピンとこないですね。結果は残せましたが。

後輩たちには体操だけうまくてもダメだよってことは伝えたいですね。人間性が伴っていないと。僕が若い頃は競技だけ強ければいいと思ってやっていましたが、結果を残していく中で人間性が伴っていないと誰からも尊敬されないし、発言に重みがないというか。

僕は小さい頃からずっと父親に「体操選手である前に一人の人間としてしっかりしていなければダメだ」と言われて育てられてきたので、その意味がようやく分かったというか。

大谷翔平くんも羽生結弦くんもそうですし、人間としての考え方が素晴らしいなと思うからこそ国民の方々から支持されて、結果も伴っているし、そういうアスリートが本物なのかなって僕は思っているので。

そういう高い人間性を持った一人の体操選手であってほしいと思いますね。結果を残すことは当然だと思っているので。もちろん体操に関してはいろいろあります。美しさとか、着地に大切さとか、6種目やってこそ体操だってこととか。

僕がさんざん示してきたことをそのまま受け継いでほしいということもあるのですが、結果を残してきた身としては人間性というところに重きを置いてほしいですね。

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Q.自分の礎を築いた技、思いがある技は

僕がそこまで技を習得できたのも技を覚える楽しさを知っているからだと思います。

一番技を覚えたことで嬉しかった、楽しかったと記憶があるのは「け上がり」という技です。小学1年生かちょっと前。あのときの記憶を今でも覚えていて。

僕はクラブでもそんなにすぐできるほうではなかったので、技を覚えるのは遅かったので、それができた時の感動は今でも忘れられない。あれがあるからこそ500の技を覚える原動力になっているのかなと。それが自分の礎になっていると思います。

印象に残っているのはあと2つあって。リ・シャオペンとブレットシュナイダー。リ・シャオペンは今まで自分が習得してきた技で一番難しい技ですし動画を見る回数も多いですし、考えたし。実際できてもこれがあっているのかなと思いました。いまだに難しいと思いますね。

ブレットシュナイダーに関しても同じで、試行錯誤を重ね領域まで行けたので、試合では一回も落ちたことがないとどこかの記事で見たのですけれど、一つの技に対してそこまで追い求められるからこそ質とか成功率も高いのだろうなって思うので。

そういうところは下の世代の選手たちにも追い求めてほしいというか、答えがないからこそ追い求め続けてほしいです。今後も技は増やしていく予定なので随時更新していこうかなと思います。

Q.引退に葛藤は

もし続けるとしてもあと1年とかそういう感じではなく次のオリンピックも目指したいなと考えていたので。そう考えるとあと3年じゃないですが、そこまでは無理だなと思ったので自分としてはすんなりと行きましたね。

オリンピックが終わるまでは半々だったのですけれど、オリンピックから世界選手権まで2、3ヶ月、これだけでも辛かったので100%無理だなと感じたので、もういいやとなりました。

Q.子供たちにメッセージを

何でもいいと思うのですけれど自分の好きなことを一つ見つけられるとそれが大人になっても続いていくことにつながると思います。

好きなことをやり続けることで勉強であったり、習い事であったりに変換できて、こうやって頑張ればいいんだ、こうやってやり続ければいいんだっていうことを学べるので。

何か好きだとうことを見つけることが何事においても大事だと僕はこの競技を通じて感じたので、そこを見つけてほしいなというのは子供たちに言いたいですね。

体操をやる子供達が増えたら嬉しいのですが、体操をやると楽しんだよくらいしか言えないので、体操をやるとこうなって、こういうことができるからやった方が良いよと自信を持って勧められるように、研究してデータをとって子供たちに言えるようにしたいです。

テレビ東京

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