防衛費増額の財源に医療系独法の積立金活用案 厚労省は難色

防衛費増額の財源に医療系独法の積立金活用案 厚労省は難色

  • 毎日新聞
  • 更新日:2022/11/25
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財務省の庁舎=東京・霞が関で、赤間清広撮影

岸田文雄首相が打ち出した防衛費増額の財源として、国公立病院を運営する二つの独立行政法人にある積立金(利益剰余金)約1500億円を活用する案が浮上している。財務省は新型コロナウイルス対策の補助金などで過剰に積み上がったと指摘し早期の国庫返納を主張するが、厚生労働省は難色を示している。予算編成での年末の決着に向けて調整は難航しそうだ。

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対象は、厚生労働省所管の国立病院機構(NHO)と地域医療機能推進機構(JCHO)。防衛力強化に向け、有識者会議が22日にまとめた報告書は、財源として「過去のコロナ対策で国民の手もとに届くことなく独立行政法人に積み上がった積立金の早期返納」を検討するよう明記。2法人を念頭に置いた記載だ。

積立金は2021年度時点でNHOが約819億円、JCHOが約675億円。新型コロナ対策の病床確保で補助金が入るようになった20年度以降に急増した。実際には利用されなかった病床に対する過大支給があったとの指摘もある。

各独法は一定期間ごとに積立金を国庫に返納する仕組みがある。両法人は5年ごとで、次は23年度までだ。23年度予算に組み込むには、前倒し返納のための法改正が必要となる。厚労省幹部は「前倒しは相当(困難)なことだ」と指摘。「コロナの補助金が入ったのはこの2法人だけではない。返納の仕組みがあるところだけを狙うのはおかしい」と反発する。

財務省は「早期に国庫に返納すべきだ」との立場だ。コロナ下での多額の公金投入で両法人の経営が急速に上向き、巨額の積立金があることを問題視している。7日の財政制度等審議会(財政審)の分科会でも出席委員から「返納をぜひ進めていくべきだ」などの意見が相次いだ。

防衛費増額の財源を巡っては、増税による国民負担が避けられない中で財務省は歳出改革も徹底したい考えだ。両法人の積立金は「数ある独法の中でも際だって多い」(財務省幹部)といい、財源として目を付けた形だ。

25日の記者会見で鈴木俊一財務相は「過去のコロナ対策で国民の手もとに届くことなく独立行政法人に積み上がった積立金の取り扱いは、関係省庁とよく議論をしていきたい」と強調。一方、加藤勝信厚労相は「現時点で厚労省として具体的に検討していることはない」と述べるにとどめた。【神足俊輔、松倉佑輔】

毎日新聞

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