
ワールドカップ・メキシコ大会ではディエゴ・マラドーナの“5人抜き”や“神の手”でアルゼンチンが優勝し、日本ではバブル景気がスタート、テレビゲームの「ドラゴンクエスト」が発売され、ビートたけしがフライデー編集部を襲撃した1986年。プロレス界では前年末に古巣へと出戻ったUWF勢が席巻。前田日明は藤波辰巳との死闘でプロレス大賞ベストバウトを受賞し、ビッグイベントのINOKI闘魂LIVEでは異種格闘技戦でメインのアントニオ猪木を食った。また、女子プロ第2団体のジャパン女子旗揚げや元横綱・輪島大士のデビュー、“スペース・ローン・ウルフ”武藤敬司の凱旋帰国も。
〔1986年の主な出来事〕
1月30日 ジャパン女子プロレスが水道橋の後楽園飯店で発足会見。引退していた元全日本女子のジャッキー佐藤とナンシー久美が復帰を宣言。女子プロレス界に“第2団体”誕生。
2月6日 新日本・両国にてIWGPジュニア王座決定戦。越中詩郎がザ・コブラを破り初代王者に。
3月4日 全日本選抜柔道体重別選手権3連覇の神取しのぶがジャパン女子入団。
3月16日 長与千種&ライオネス飛鳥の“クラッシュ・ギャルズ”とダンプ松本&ブル中野の“極悪同盟”が日本人女子レスラー初のマディソン・スクエア・ガーデン登場。
3月26日 新日本が東京体育館でのプロレス最終興行を開催。1954年8月の初使用以来32年の歴史にピリオド。
4月5日 全日本女子が両国国技館初進出。長与千種がダンプ松本とオールパシフィック王座決定戦、ライオネス飛鳥はデビル雅美のWWWA世界シングルに挑んだ。
4月13日 第54代横綱・輪島大士が全日本入団。
4月29日 新日本・津大会にて前田日明とアンドレ・ザ・ジャイアントが不穏試合。
5月19日 新日本・後楽園にて髙田伸彦が越中詩郎を破りIWGPジュニア奪取。髙田は初タイトル。
5月21日 写真週刊誌に浮気現場をキャッチされたアントニオ猪木が“男のけじめ”として新日本・日立大会に丸坊主で登場。
6月12日 新日本・大阪城のIWGP公式戦にて藤波辰巳と前田日明が同年のベストバウトに選出される名勝負。前田のニールキックで藤波は大流血。
6月17日 新日本・名古屋のIWGP公式戦でアントニオ猪木がスタンディング式の腕固めでアンドレ・ザ・ジャイアントから(1973年にモンスター・ロシモフから改名後)世界初のギブアップ勝ち。
7月28日 元大相撲幕下東43枚目のジョン・テンタ(琴天山)が全日本入団。
7月31日 全日本・両国にて新設の(PWF認定)世界ジュニア王座決定戦でヒロ斉藤がブラッド・アームストロングを破り初代王者に。
8月5日 新日本・両国にて前田日明&木戸修が藤波辰巳&木村健吾を破りIWGPタッグ王者に。木戸が初公開の職人技“キド・クラッチ”で木村をフォールした。
8月7日 アメリカ・カンザスシティにて輪島大士がジャイアント馬場とのタッグで白星デビュー。フィニッシュは相撲時代に得意としたノド輪を改良した変型ネックブリーカーの“ゴールデン・アーム・ボンバー”。
8月17日 ジャパン女子が後楽園で旗揚げ戦。メインはジャッキー佐藤vs神取しのぶ。
9月16日 新日本・大阪城にてアントニオ猪木とブルーザー・ブロディが320日ぶり7度目にして最後のシングルマッチ。60分、両者ノーフォールで時間切れ引き分け。前年12月にIWGPタッグリーグ優勝戦をボイコットしていたブロディは、この年8月10日にワイキキビーチで猪木と接触し再度の新日本参戦。
10月9日 新日本が両国にて「INOKI闘魂LIVE」を開催。アントニオ猪木は元ボクシング世界ヘビー級王者のレオン・スピンクスとの異種格闘技戦に勝利するも内容的には大凡戦。前田日明はプロ空手王者のドン・ナカヤ・ニールセンと自身初の異種格闘技戦をおこない勝利し“新・格闘王”の称号を得た。
10月13日 “スペース・ローン・ウルフ”の異名をひっさげ凱旋帰国した武藤敬司が新日本・後楽園にて藤波辰巳とシングルマッチ。
11月1日 全日本・七尾大会にて輪島大士が日本デビュー戦。地元ファンの前でタイガー・ジェット・シンを相手に奮闘し、日本テレビでの生中継は高視聴率を記録。
週刊プロレス編集部