3回目接種、世界から遅れを取る日本 国産ワクチンの開発はまだ先か

3回目接種、世界から遅れを取る日本 国産ワクチンの開発はまだ先か

  • NEWSポストセブン
  • 更新日:2021/11/25
No image

3回目接種で日本は世界各国に後れをとっている(共同通信社)

新型コロナウイルスの感染が全国的に収まる一方、各地でクラスターが散発するようになってきた。顕著なのが連日、感染者数が全国最多の北海道だ。札幌市内の医療機関で計53人が感染するクラスターが確認され、ワクチン2回接種後に感染する「ブレークスルー感染」もみられたという。

さらなる感染拡大が懸念される。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広さんの指摘。

「新型コロナには季節性がみられます。昨年は10月末からコロナの感染が拡大して、1月上旬にピークを迎えました。これから冬本番を迎える日本では、年末か年明けに向け、第6波による感染拡大が起こる可能性が高い」

それに追い打ちをかけるのが、ワクチンの“効果切れ”だ。

11月16日、松野博一官房長官は、日本のワクチン2回接種率が75.5%に達し、先進7か国(G7)でトップになったと胸を張った。高い接種率が感染拡大や重症化を防いだ格好だ。しかし、それも束の間、世界の研究では接種完了から時間が経過するとともに、ワクチンの効果が減少することが多数報告されている。

「コロナワクチンは接種から1~2か月は感染をほぼ予防(約80%)して、その後、徐々に効果が低下します。ファイザー社によれば、日本に第5波をもたらしたデルタ株の場合、ワクチン2回接種から4か月目に感染予防効果が53%まで低下します」(上さん)

横浜市立大学の最新の研究でもファイザー製の接種後6か月で、感染を防ぐ抗体の強さや量を示す「抗体価」はピーク時(接種1~3週後)から90%減少した。藤田医科大学の研究ではファイザー製の接種後3か月で、抗体価は4分の1まで減少した。

高齢者などに先んじて、今年初めから接種が始まった医療従事者への影響は大きい。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが指摘する。

「医療従事者への早期の3回目ワクチン接種が重要です。国内では2月に医療従事者への先行接種が始まり、その際に接種した人はすでにワクチンの効果がかなり減弱していると考えられます。今後はそうした医療従事者から感染が拡大する恐れがあります。実際、アメリカの疾病対策予防センター(CDC)は、2回目接種の6か月後には医療従事者が追加接種をすることを推奨しています」

3回目接種の効果は明らかだ。ワクチン先進国のイスラエルは、ワクチン3回接種群と、2回接種群の入院者の割合を比較した。その結果、3回接種群は10万人あたりの入院者は14.4人だったが、2回接種群は220.8人に達した。3回目を接種することで、新型コロナで入院する割合が93%も減少したのだ。

8か月と6か月では全然違う

世界では3回目接種が進む。

「追加接種で世界をリードするイスラエルは、2回目から5か月で3回目接種を行い、イギリスでは6か月だった3回目接種の間隔を5か月に短縮することが議論されている。規制緩和で感染者が増えた韓国は60才以上や基礎疾患を有する人などを対象に、6か月だった3回目接種の間隔を4か月まで短くした」(上さん)

アメリカはこれまで高齢者などに限っていた3回目接種の対象を、2回目から6か月以上経った18才以上の全員に拡大。ベルギーやハンガリーも2回目完了から4か月後の追加接種に踏み切った。

3回目を打たない人が不利益を被る国も増えている。

フランスでは12月15日以降、65才以上は3回目接種をしない限り、飲食店などの利用時に必要な「健康パス(接種完了を証明するパス)」が無効になる。

「イスラエルも3回目のワクチン接種をワクチンパスポート更新の条件にしています。この先、多くの国が3回目接種を規制緩和の条件にすると考えられます」(一石さん)

そうした世界の流れに後れを取っているのが日本だ。

厚労省は3回目接種の間隔について、2回目接種から「原則8か月以上」とする。地域でクラスターが発生するなどで感染が再拡大した場合は6か月以上も可能とするが、その根拠は曖昧で、各自治体から戸惑いの声があがる。

上さんは「原則8か月以上では間に合わない」と語る。

「日本は諸外国より接種開始が遅れたことが幸いし、現時点でワクチンの効果減少による感染拡大は起きていません。しかしこの先は、医療従事者とともに先行接種した高齢者が“危険ゾーン”に入ります。特に8月下旬に中学生以上の集団接種を完了した福島県南相馬市のように、ワクチン接種を迅速に進めた地域の高齢者が危ない」(上さん)

8月中旬に国民の4割が2回目接種を終えた日本。それらの人たちは今冬、抗体価がかなり減っていると思われる。

8か月と6か月では対象者が大きく変わるのも懸念点だ。接種間隔が8か月の場合、12月と来年1月に3回目接種となるのは医療従事者のほか、高齢者施設の入所者などである。しかし、間隔を6か月にすると、高齢者施設の入所者より後に接種を始めた65才以上も対象に含まれる。

もはや打つかどうかではなく、「いつ打つのか」が問題となっている3回目接種は、ファイザー製とモデルナ製(現在、薬事承認審査中)が使用される予定だ。これまで原則として同じワクチンを接種することが求められてきたが、3回目接種では2回目接種と違うワクチンを接種する「交差接種」も可能になる。3回目に違うワクチンを打っても大丈夫なのだろうか。

医療経済ジャーナリストの室井一辰さんは「安全性の問題はないでしょう」と語る。

「海外の臨床試験ではファイザー製とモデルナ製の交差接種が許容されており、臨床試験でもワクチンを変える危険性は報告されていません。同じワクチンを打つより免疫反応が少なく、多くの人が経験した副反応のつらさが軽減されるかもしれません」

血液内科医の中村幸嗣さんもこう指摘する。

「交差接種に問題はありません。ファイザー製からモデルナ製に変えた場合、抗体量が増えるとの報告もあります」

3回目こそ日本製を打ちたいとの声もあるが、開発はどうなっているのか。

「創薬ベンチャーのアンジェスが開発を進めたワクチンはファイザー製やモデルナ製と比べて効果が低く、最終段階の治験を断念。国産1号を期待されましたが、事実上、開発は振り出しに戻りました。現状は、シオノギ製薬とKMバイオロジクス、田辺三菱、第一三共のワクチンが最終段階に近く、来年の春頃に認可される可能性があります」(室井さん)

一石さんが続ける。

「安全性と有効性が確認されれば、日本製は追加接種の選択肢になるかもしれません。ただし3回目には間に合わず、4回目以降の可能性がある」

一方の上さんは消極的だ。

「政府は国産ワクチンの開発を急ぎますが、今後承認されたとしても、本当に効果が出るかは未知数です。ファイザー製やモデルナ製を準備しているので、3回目はどちらかをおすすめします」

3回目接種率もG7トップになれるよう、政府と自治体の迅速な行動が求められる。

※女性セブン2021年12月9日号

NEWSポストセブン

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加