HYDEが慕われる理由「人を好きにはなりたい。でも過度な期待はしない」

HYDEが慕われる理由「人を好きにはなりたい。でも過度な期待はしない」

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2021/11/25
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自身初となるウエディングソング「FINAL PIECE」をリリースしたばかりのHYDEさん。稀代のヴォーカリストでソングライターであることは誰もが知るところだが、HYDEさんの熱烈なファンは、その“ライヴアーティストとしての魅力”に取り憑かれている人が多いのではないだろうか。インタビューの前編では、コロナ禍でのライヴ活動を「ルールに則って、信用を積み重ねていくしかない」と話していたHYDEさんに「信用」というテーマで話を聞くと、仕事をする上でのHYDE流哲学が浮かび上がってきた。

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2021年6月25日中野サンプラザにて 撮影/岡田貴之

インタビュー前編「HYDEが初めてウェディングソングを作った理由「かけがえのない人」とは」はこちら

「人は信用していないです」の真意

「厳密に言うと、僕は、人を信用してはいないです。基本的には、“信用”って積み重ねじゃないですか。人と人とが出会って、時間を過ごす中で、一つ一つ信用を重ねていけば、次の新しい一歩を踏み出すとなったときに拠り所にするものですよね。これまで、トントントンと事が運ばれてきたから、次もきっと大丈夫だろう、と。でも、僕の場合は、過去の一連の流れがあったとしても、必ずしも次の一歩もスムーズに運ぶとは限らないと思っちゃいますね。

仕事で誰かと一緒に作業するときなんかは特に、『自分の思った通りになると思うなよ』と、まず自分を戒める(笑)。人って、自分の思った通りになると期待するから、そうならなかったときに傷つくと思うんです。友達関係でもそうですよ。『こいつのことめっちゃ好きだし、めっちゃ信用できる』と思っても、相手に期待しちゃダメ。だって、どんな人だって、未来のことは予測不可能だし、最後の最後、どんなことが起こるかなんて誰にもわからないじゃないですか。

……こんな話をすると、『HYDEは人間不信なの?』とか思われるかもしれないけど、そうじゃなくて(笑)。たとえばライヴでも、今はファンの子がたくさん来てくれるけど、次からは来ないかもしれないわけで。『それなら、今ここに一緒にいられることを感謝するべきじゃない?』って思う。一緒にいられる今、次も来てくれるようなライヴをすることが重要で、その子が次に来ないことは、僕の実力不足かもしれないし、彼女の事情かもしれない。でも、一緒にいる時間は全力で充実させたい。シンプルに“今”に集中するようにしています」

ライヴのときは、「今に感謝する」ことで、刹那だけれど強固な信頼関係が生まれる。一方で、新曲をリリースするときなどは、「今までずっと好きだったから、次もいい曲だろう」と思って手に取ってくれるファンの信頼に応えたいと思うことが、曲を作るときのモチベーションになっていることは間違いないという。

若いころは期待しかしなかった

「今だから『人に期待しない』なんて言えますけど、若い頃は、期待しかなかった(笑)。例えば仕事場のスタッフに対しても、『なんで出来ねぇんだ!』ってイライラすることもしょっちゅう。けど、長いこと仕事をしていると、徐々に、自分の人としてダメなところに気づくようになるんです(笑)。

若い頃って、どうしても、『俺ができるのになんでできないの?』って思ってたけど、だんだん『あれ、実はこれは自分ができるからってみんなできることじゃないんだな』ということに気が付いて、そう思い込んでた自分の弱点にも目がいくようになる。自分より優れている部分は必ず相手にもある。それに気づいてからは、『じゃあ人の長所は利用しなきゃな』と、人を認められるようになったんです。

とはいえ、必ずしも、毎回それを実践できているかというと……。たまに『なんでできないんだ!』と怒りそうになったとき、よくよく考えると、『俺がちゃんと伝えてなかった。こいつには2、3回言わないとダメなんだ』とか、新たに気付かされることもあって。結局すべての日々が勉強なんです。この歳になったら、人間関係がうまくいかないときは、『僕が相手を理解してなかった』と思った方が良いことも多い。……でも、内心『あれほど言っただろ!』ってムカつくことは、全然ありますけどね(笑)」

ところどころにユーモアを挟みながら、どんな人とも対等に向き合う方法を説く。痺れるほどの人格者。ただし、本人も「この歳になったら」と前置きしたように、今の菩薩のような考えに至ったのは、ここ5年ぐらいのことらしい。

「VAMPS(※ギタリストのK.A.Zさんと組み、2008年から2017年まで国内外で積極的に活動したユニット)の活動を休止して、自分的にもいろんな問題点を抱えて、『もう1回ゼロからのスタートだ』と思ったときに、あらためて人との関わり方を見直したんです。せっかくのダメージをダメージのまま終わらせたくないから。転んだ分、それを糧にして次に生かしたいと思った」

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2021年8月14日パシフィコ横浜にて 撮影/緒車寿一

問題を抱えたときは「変化のチャンス」

またも金言が飛び出した。曲作りで制約があることを逆手に取るように、生き方においても問題を抱えたときに、「変化のチャンス」と捉える。自分の内面を掘り下げていくアーティストでありながら、物事を俯瞰で捉えるプロデューサーの視点を持っているHYDEさんならではの発言には、溜飲が下がることばかりだ。そこで、多くの読者が抱える悩みである、「好きだった人に裏切られた」「信じていたのに騙された」に対するアドバイスをもらうことにした。

「『騙された!』とか『裏切られた!』とか言って、元カレに対して怒っている女の子って、本当に騙されているんですかね? 誤解を恐れずに言えば、『前はこんなに好きだって言ってくれたのに、今は……』とあなたが嘆くその原因は、『あなたが変わってしまって相手の心が離れただけかもしれないよ』って。あと相手を信用しすぎたのかもれない。人の心は変わるもの。人と人の関係がこじれるときって、どちらかが完璧な被害者で、もう片方が加害者っていうものでは、僕はないような気がするんです。もちろん、最初から騙そうとして近づく人もいるだろうから、全部が全部そうとは言わないですけど」

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2021年6月25日中野サンプラザにて 撮影/岡田貴之

「FINAL PIECE」とは、つまりあくまでも自分の中にある確信。相手のことを最後のピースだと思うのは自分であり、そう思えた今があることに感謝するべき。「思ってたのに、違った」と嘆いていても、その先の人生は豊かにはならない。常に「自分ができることは何か」を考えて、いついかなるときも「人と人は対等」であることを実感しているHYDEさんだからこそ、たくさんの人に慕われているのだろう。

人のことはなるべく好きになりたい

そんなHYDEさんだから、ストレートに好き好き光線を放つ人には滅法弱い。

「素直に慕ってくれる人が好きですね。好き好き光線を出されると素直に嬉しいし『可愛いな』と思う。ただ、そうじゃない人のことは誘いにくいから、(BREAKERZの)DAIGOとか慕ってくれる後輩との絆ばかりが深まっていって……(笑)。とにかく、年齢とかキャリアを盾にして威張るタイプの人は苦手ですね。

前にある後輩から、『HYDEさんって僕に優しいですね』って言われて、『なんで? 普通じゃん』って答えたときに、『僕は、後輩には偉そうなんです』って告白(?)されて。そんな人いるんだとビックリして、『そりゃあダメだよ。今はよくても、いつか離れていくよ』って忠告したことがあるんです。そうしたら、しばらくして彼から、『後輩にも優しくするようになりました。HYDEさんのお陰です』と報告を受けた。

そんなに僕は人を見る目はないと思います。ただ、なるべく自分の意思で人のことは好きでありたい。たまに友達から、『あいつには気をつけた方がいいよ』みたいなことを言われたりすることもあるけど、そういうときは、ちょっと観察して、『いや、俺は好き』って思うこともあれば『確かにダメだね』となる時もある。周りの評判も一応参考にしつつ、付き合うか付き合わないかは自分で判断して決めます」

HYDEさんの「人のことはなるべく好きになりたいと思うし、適度に信用もするけれど、過度な期待はしない」という距離感。それは人と人の関係だけでなく、自分と人生の関係、アーティストとファンの関係などに置き換えることもできる。何かに期待しすぎないことこそが、自分自身を発掘するためのきっかけになり、人に対する優しさにつながるのだ。

「歌うことは天職だと思ってるし、ずっと続けるつもりだけど、人生、どこで何があるかわからない。だから、一生歌い続けますとは簡単に宣言できないですよね。みんなが期待してくれるのは有難いし、まだまだ、やりたいことはたくさんあるけど。そこは、最終的には僕の人生なので」

それこそが、一瞬一瞬確実に、自分の人生を生きている人の言葉である。

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HYDE
L'Arc-en-Ciel、VAMPSのボーカリスト。2001年からソロ活動をスタートし、日本のみならずワールドワイドに活動している。ツアーの一環でアメリカ・Madison Square Gardenや東京・国立競技場などで単独ライブを行い成功を収めている。2021年5月に、コロナ禍の中で行われたアコースティックツアー「HYDE LIVE 2020-2021 ANTI WIRE」の模様を収録した映像作品を発表した。6月よりソロ1stアルバム「ROENTGEN」を再現するツアー「20th Orchestra Tour HYDE ROENTGEN 2021」を開催した。ツアーに合わせて先行配信した「NOSTALGIC」を10月6日にシングルCDとしてリリース。11月24日にはニューシングル「FINAL PIECE」を発売。

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FINAL PIECE
前作「NOSTALGIC」から続く「静」の世界観を表現する第二弾シングル。壮大なオーケストラが奏でる音色にHYDEのロマンチックな歌声が印象的なバラードにして、HYDE初の“ウエディングソング”。カップリングには、全国ツアーで披露されていたglobe「DEPERTURES」のカバーを、オーケストラバージョンとして新録。11月24日(水)発売(ヴァージンミュージック)

出典/youtube HYDE - 「FINAL PIECE」 MUSIC VIDEO

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